【インタビュー】舞台「千と千尋の神隠し」醍醐虎汰朗&三浦宏規、ハクは「美しさの中にはかなさが混在している存在」

2022年1月5日 / 10:00

 宮崎駿監督のアニメーション映画を世界で初めて舞台化する「千と千尋の神隠し」が3月2日から上演される。舞台化に当たり、翻案と演出を手掛けるのはジョン・ケアード。千尋役を橋本環奈と上白石萌音がWキャストで演じる。千尋が迷い込んだ油屋で働く謎の美少年・ハクをWキャストで演じる醍醐虎汰朗と三浦宏規に、本作への意気込みを聞いた。

ハクを演じる、三浦宏規(左/Hairmake:AKi/Styling:小田優士)と醍醐虎汰朗(Hairmake:七絵/Styling:MASAYA) (C)エンタメOVO

-オーディションでハク役に決まったと聞いていますが、オーディションはどのような内容でしたか。

三浦 ジョン・ケアードさんがいらっしゃっていて、原作にあるせりふを読んで…。それから事前にハクが龍に変わるシーンの音楽素材を頂いて、「振りを付けてきて踊ってほしい」という要望があったので、自分で振り付けたダンスを踊りました。僕は、ずっとバレエをやっていたので、「振りを付けて」というオーダーがあったんだと思いますが、振り付けは経験したことがなかったので、すごく大変でしたが(笑)、とてもいい経験でした。実際のオーディションでは、せりふを淡々と読んで、ダンスも音楽をかけて一度踊っただけで、あとは雑談をして終わったので、自分では落ちたんだなと思っていました(笑)。あまり手応えを感じることもなく。なので、受かったと聞いたときは、本当にびっくりしましたし、うれしかったです。

醍醐 僕は、リモートでした。パソコン画面の向こうにジョンがいて、お芝居の課題は「カメラから目を離さないで」と要望があって、カメラを見つめながらせりふを話しました。それから、僕の場合は、ダンスは未経験だったので、振付師の方が作ってくださったダンスを練習して、動画を送りました。これまでにないオーディションではありましたが、駄目だったという感覚もなかったので、手応えはそれなりにあったんだと思います。

-オーディションで踊ったということは、やはりハクはダンスシーンが見どころになるのでしょうか。

三浦 どうなのでしょう(笑)。僕たちもまだ何も分からないんです。(取材当時)台本も頂いていないので。僕自身は、特に踊りたいということではなく、ハクを表現するに当たってダンスを取り入れた方が伝わりやすいということでしたら、それはもちろん精いっぱいやらせていただきますが、まだ何とも。自分が得意だからというよりは、この作品の中で必要かどうか、ハクという役にダンスがうまくリンクできるのかが重要だと思うので、必要なのであればもちろん、踊らせていただきますが。

醍醐 でも、僕は踊るんじゃないかなと思っています(笑)。ダンスというよりは「舞い」だと思いますが、人間から龍になるのを表現するには、舞うことが最善の方法なんだろうと思うんです。ただ、僕はダンスの経験がないので、ダンスや舞いがあるならば、とにかく時間を懸けて作り上げていくしかない。舞いのシーンが増えれば増えるほど練習量も膨大になっていくと思うので…。とにかく頑張ります。

-お二人は、これまでに2.5次元作品にも出演してきました。今回は、アニメ原作ということもあり、その経験が役立ちそうですか。

三浦 僕はそもそも、2.5次元作品でも、ほかの原作のある作品でも、キャラに寄せたり、似せるということはあまりしないんです。まねをするというのは誰でもできると思いますが、それならば3次元にする意味があまりない。もちろん、(原作と)全く違うキャラにしようとは思いませんし、必然的に原作に寄っていくものだと思いますが、あくまでもキャラの心情や内面が大事だと思って役作りをしています。それに、アニメーションをまねしようと思ってもできるものではないので(笑)。今回も、台本を読んで、そこから受け取ったものをジョンの前に提示して、そしてさらに深めていくという作り方をしていきたいと思っています。それとは別に、もちろん原作の世界観は取り入れていきたいとは思っています。

醍醐 僕も役作りにおいての考えは似ていると思います。ものまねではなく、その役をその場に体現させるためにも、「生きる」ことが大切だと思います。ただ、最近、需要と供給が大事だと学んだので、そういう意味で作品に合わせたお芝居をしなければいけないなとは思うようになりました。それから、監督や演出家の方を信頼して、話し合って作っていくということも、僕が大切にしているところです。もし、自分が納得できないことがあれば、納得できるまで監督や演出家とディスカッションするようにしています。そこは今回も変わらず、ジョンととことん話し合って、役を作っていけたらと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語も、残すは12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」の … 続きを読む

「べらぼう」ついに完結! 蔦重、治済の最期はいかに生まれたか?「横浜流星さんは、肉体的にも作り込んで」演出家が明かす最終回の舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月14日

 NHKの大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」を持ってついに完結し … 続きを読む

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

DAIGO「クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、『パーシーのクリスマス急行』にぜひ乗車してください」『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』【インタビュー】

映画2025年12月12日

 イギリスで最初の原作絵本が誕生してから80周年を迎えた人気児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』が12月12日から全国公開された。シリーズ初のクリスマスムービーと … 続きを読む

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

Willfriends

page top