【インタビュー】ミュージカル「ボディガード」新妻聖子「楽しみ倒そうという気しかないです」

2022年1月4日 / 08:00

 1992年にケビン・コスナーとホイットニー・ヒューストン主演で大ヒットした映画『ボディガード』を舞台化した、ミュージカル「ボディガード」が2022年1月21日から上演される。本作は、グラミー賞受賞曲「I Will Always Love You」をはじめとした映画の楽曲をふんだんに使ったミュージカルで、日本では20年に日本キャスト版を上演。しかし、新型コロナの影響によりわずか5回のみの上演となり、ほとんどの公演回が中止となった。今回は、待望の再演となる。レイチェル・マロンを柚希礼音、May J.とトリプルキャストで演じる新妻聖子に、本作の見どころや公演への意気込みを聞いた。

レイチェル役の新妻聖子(ヘアメイク:丹羽寛和/スタイリスト:小堂真里)

-新妻さんにとっても待望の再演となるかと思いますが、公演が決まったときの気持ちを改めて教えてください。

 とてもうれしかったです。初演は大阪で2回公演させていただいて、その後コロナ情勢が悪化したため大阪公演は中止。自宅待機中に東京公演の中止も決まり、キャストやスタッフにごあいさつもできないまま終わってしまったんです。自分の中でも、これからさらに深めて、お客さまともっと楽しい時間を共有しようと思っていた矢先の中止だったので、やり場のない思いが滞ったままでした。なので、ようやくまた流れ出すんだという喜びがあります。レイチェル役にこのタイミングで出会えたことに運命のようなものも感じていますし、子どもの頃から大好きだった洋楽を、日本語のミュージカルとして芝居に変換する作業には、ある種の使命感を持って取り組んでいたので、中止が決まった日から「再演を無事に務め上げるまでは絶対に死ねない」と思って生きていました(笑)。またこの作品に戻ってくることができて本当に幸せですし、とにかくみんなで楽しみ倒そうという気しかないです。

-大ヒット映画の舞台化で、映画をご存じの方も多いと思いますが。

 そうですよね。私自身は(映画は)レイチェル役が決まるまで見たことがなかったんですが、映画のおおまかなあらすじは知っていましたし、とにかくホイットニー・ヒューストンが歌う主題歌の「I Will Always Love You」を聴いたことがないという方はいないですよね。音楽とストーリーになじみがある分、初めてミュージカルに触れる方にも入りやすい作品だと思います。

-“ミュージカル”と銘打っていますが、心情を歌い上げるタイプの作品ではないので、余計ミュージカル初心者にも入り込みやすそうですね。

 そうなんです。厳密に言えば、この作品はミュージカルではないんですよ(笑)。ショー付きの芝居といったらいいのかな。主人公のレイチェルが歌手なので、彼女が歌手としてステージで歌うシーンがほとんどです。時々お芝居の心情にからめた演出もありますが、ミュージカル調に歌で会話をしたりはありません。「ストレートプレーだと飽きちゃう」とか「ザ・演劇はハードルが高い」と思っている方や、「ミュージカルは見てみたいけど、知らない曲を何十曲も聞き続けるのは…」と二の足を踏んでいる方などにもすごくお薦めの作品です。

-どんなところにポイントを置いて演じたいと考えていますか。

 やはりレイチェルとフランクが引かれあう過程は、大切に描いていきたいですね。スーパースターとボディガードの恋がとてもスピーディーに展開していくので、稽古場でフランク役の大谷亮平さんとも相談しながら、丁寧に作っていきたいです。先日、約2年ぶりに台本を読んで、新しい感情やインスピレーションが湧き上がってくることに自分でも驚いたんです。初演で培ったベースはそのままに、作品から少し距離と時間を置いた今だからこそ分かる、細かいエッセンスを足していけたらと思っています。

-今回は柚希さん、May J.さんとトリプルキャストになりますが、新妻レイチェルならではの見どころを教えてください。

 レイチェルという役は、現役の3人の女性アーティストの姿がそのまま投影できる役だと思っています。曲の解釈ですとか、観客との距離感や気持ちの届け方という、普段のアーティスト活動で行っていることがそのまま芝居の色として出るでしょうし、私は「新妻レイチェルを見たい」と言ってくださるお客さまに向けて、ご期待に沿えるよう精いっぱい頑張るのみです。

-フランク役の大谷亮平さん、それからレイチェル役の柚希さんとは初演に続いての共演です。お二人の印象は?

 3人とも同世代なんですよ。なので、初演のときから稽古場では同級生の集いのような感覚で和気あいあいとお稽古ができました。大谷さんは、一般的には、ダンディーで屈強なイメージだと思いますが、実はすごく少年っぽくておっとりした方です。ボディガード役にぴったりな男らしいビジュアルと、ピュアな笑顔のギャップというのが、フランク役そのものだと思います。

 柚希さんも、すごく気持ちの優しいすてきな方です。役者さんとしては、やはり存在感がすごいですよね。舞台稽古を拝見したときは、「ライオンが歩いてくる」と思いましたもん(笑)。少し離れているところにいると思ったのに、一瞬で間近まで迫っている。人間離れしたダイナミックさがある人だと感じています。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

安田章大「体験したことのない違和感を持ち帰ってくれたら」 アングラ演劇の旗手・唐十郎作品に関西弁で挑む『アリババ』『愛の乞食』【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月18日

 2024年に亡くなったアングラ演劇の旗手・唐十郎の初期作品『アリババ』『愛の乞食』が、全編関西弁で、8月31日から9月21日にかけて世田谷パブリックシアターで二作連続上演される。現実と幻想、現在と過去が溶け合うふたつの物語は、叙情的に紡が … 続きを読む

【映画コラム】7月前半『スーパーマン』『ストレンジ・ダーリン』『「桐島です」』『生きがい IKIGAI』

映画2025年7月18日

『スーパーマン』(7月11日公開)  1938年に発行されたコミックに始まり、何度も映画化されてきたアメコミヒーローの原点をジェームズ・ガン監督が新たに映画化。  いきなり、戦いに敗れ、傷だらけになったスーパーマン(デビッド・コレンスウェッ … 続きを読む

俳優デビュー25周年の上戸彩が15年ぶりの写真集を発売 台湾で幻想的な夜市でのロケから寝起き姿まで多彩な魅力満載

イベント2025年7月14日

 俳優デビュー25周年を迎えた上戸彩の写真集『Midday Reverie(ミッドデイ・リヴァリー)』(宝島社)が、7月10日に発売された。発売記念イベントが、7月12日(土)に大阪で、そして7月13日(日)に東京・紀伊国屋書店 新宿本店で … 続きを読む

JT・モルナー監督「この映画の実現は厳しいと言われた時に、『羅生門』を見れば分かると言いました」『ストレンジ・ダーリン』【インタビュー】

映画2025年7月11日

 シリアルキラーの恐怖に包まれた街を舞台に、とある男女の出会いが予測不能な展開へと突き進んでいく様子を、時系列を巧みに交錯させた全6章の構成で描いたスリラー映画『ストレンジ・ダーリン』が7月11日から全国公開される。米映画批評サイトのロッテ … 続きを読む

鹿賀丈史「演じることよりも感じることの方が先だったかなと思います」『生きがい IKIGAI』【インタビュー】

映画2025年7月10日

 2024年の元旦に発生した地震で甚大な被害を受け、さらに8カ月後の豪雨によって2度目の災害に見舞われた能登で、ボランティア活動に参加した宮本亞門監督が、復興支援を目的に製作したショートフィルム北陸能登復興支援映画『生きがい IKIGAI』 … 続きを読む

Willfriends

page top