【インタビュー】COCOON PRODUCTION 2021「泥人魚」磯村勇斗、俳優業への思い「答えがないものを追い求める面白さがある」

2021年11月25日 / 08:05

 演劇賞を総なめにした伝説的戯曲とも呼ばれる唐十郎の「泥人魚」が、初演以来18年ぶりに上演される。主演は宮沢りえ。演出を、唐と蜷川幸雄を師とする金守珍が担当し、磯村勇斗、愛希れいか、風間杜夫など豪華なキャストが脇を固める。NHK大河ドラマ「青天を衝け」の徳川家茂役でも話題となった磯村に、初の唐作品挑戦への思いや公演への意気込みを聞いた。

磯村勇斗 COCOON PRODUCTION 2021「泥人魚」(撮影:大久保惠造/ヘアメイク:佐藤友勝/スタイリスト:笠井時夢)

-本作への出演が決まったときの心境は?

 驚きました。自分が蛍一役をできるのかと不安もありましたし、プレッシャーも感じました。唐さんの戯曲は、かなり難解で、すぐに理解できる作品ではないので、どうやって演じていけばいいのだろうと迷路に入っていくような感覚もありました。今、稽古がスタートし、やっと徐々に見えてきた気がします。社会的なテーマを持った作品ですが、それを前面に出すのではなく、そこで生きている人たちの思いや憧れ、愛を大事にしている作品だと思うので、その部分を大切に演じたいと思います。

-難解な作品、役に挑むに当たって、役作りはどのようにしていますか。

 僕自身、今回のような難解な戯曲にはチャレンジしたことがなかったので、とにかく相手にせりふをぶつけ続けることで見えてくるものなのかなと思って、今、稽古をしているところです。(演出の)金さんが「あまり考えないでやり続けることが習得を早くする」とおっしゃっていましたので、早くつかみたいなと思います。

-現在は、磯村さんが演じる蛍一はどのような人物だと考えていますか。

 まだまだつかみきれていないので、稽古を重ねることで変わるかも知れませんが…。港町を去ってブリキ店で働いていますが、過去の干拓事業によって海を分断された人々の思いや、漁港に対する憧れ、子ども心を失いたくないと思いつつ、現実の世界でも生きないといけないという、狭間で揺れ動いている人なのかなと思っています。

-やすみ役の宮沢さんとは、映像作品では何度か共演していますね。

 一度ご一緒させていただきました。それとこの作品に入る前に、過去に上演された唐さんの作品を映像で拝見したのですが、その作品に宮沢さんも出演されていて、改めて輝きがすごい方だと感じました。がっつりと一緒にお芝居をさせていただくのは今回が初めてなので、楽しみです。唐さんの作品にも多数ご出演されていて、その世界を知っている方なので、いろいろとお話を聞かせていただきたいと思っています。

-宮沢さんの俳優としての魅力はどこにあると感じましたか。

 役の世界を作り出す力が素晴らしいと思いました。まとう空気が美しく、目が魅力的で。役に寄り添って作っていく方だと思うので、そういった役作りもすてきだと思います。

-磯村さんにとって、本作は2年ぶりの舞台出演になります。舞台に立つことに対しては、どのような思いがありますか。

 俳優として参加する以上は、映像であっても、舞台であっても、スタンスは同じですが、舞台はよりエネルギーを放出しなければいけない場所だと思うので、体力と集中力が必要だと感じます。神聖でもあり、怪物が潜んでいる世界だとも思うので、毎回、力が入ります。今回、こうしたアングラと呼ばれる作品というのは、僕にとって大きな挑戦でもあります。俳優として一皮むけ、また成長したいという思いもあり、出演を決めました。この作品で、何かがつかめればいいなと思っています。

-2021年は、大河ドラマへの出演をはじめ、映像作品でも大活躍でした。改めて、振り返ってどんな1年でしたか。

 俳優として起伏があった1年だったと思います。自分の仕事は何なんだろう、自分は何をしていきたいのかと悩んだ時もありました。でも、楽しかったり、面白かったり、新鮮な出会いもたくさんありました。そんな1年を、この舞台で締めくくり、俳優として自分の志が見えたらいいなと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

井上祐貴「決して美しい人間関係を描いているわけではありませんが、リアルな描写が多いので、それが共感につながると思います」『男ともだち』【インタビュー】

映画2026年11月5日

 29歳のイラストレーター・神名(かんな・松岡茉優)は、仕事もプライベートも順調に見えるが、実際は人生に行き詰まりを感じ、不毛な恋愛に逃げる日々を過ごしていた。そんなある日、神名は大学時代の先輩である男ともだちのハセオ(成田凌)と7年ぶりに … 続きを読む

相葉雅紀「チームメイトの障がい者の皆さんから、ものすごい熱量を感じました」黒島結菜「相葉さんは本物の野球チームの監督のようでした」実際の障がい者たちとも作り上げた奇跡の物語『4アウト ─もう一度、プレイボール─』【インタビュー】

映画2026年11月3日

 東京に初めて結成された身体障害者野球チーム「東京ブルーサンダース」創設の実話に基づく奇跡の物語『4アウト ─もう一度、プレイボール─』が、11月6日から全国公開となる。  戦力外通告を受け、失意の日々を送っていた元社会人野球選手の矢上雄一 … 続きを読む

山崎育三郎「一番、自分に近い存在」 ミュージカル「ファインディング・ネバーランド」が伝える「解釈力」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年10月31日

 山崎育三郎が主演するミュージカル「ファインディング・ネバーランド」が2027年1月8日から上演される。本作は、ジョニー・デップ主演で2004年に公開された映画『Finding Neverland』(邦題『ネバーランド』)を元に作られたミュ … 続きを読む

【映画コラム】10月の公開映画から

映画2026年10月31日

「ディスクロージャー・デイ」(10月1日公開)★★★★ 宇宙人の存在を知った人類は…  地球外生命体を巡る秘密と、その開示に迫るスティーブン・スピルバーグ監督のSFサスペンス。「未知との遭遇」から約50年。宇宙からの来訪者を描いてきた監督が … 続きを読む

柳楽優弥「川栄さんと真剣に作品に向き合ってきた」川栄李奈「柳楽さんを信頼しています」共演4度目の2人が伝説的作品に挑む『RYUJI 竜二』【インタビュー】

映画2026年10月30日

 1983年に公開されるや否や観客の熱狂的な支持を集めた『竜二』。直後に主演・脚本の金子正次が急逝したことも重なり、伝説的作品として時代を超えて語り継がれてきた。その伝説が、新たに『RYUJI 竜二』として令和の現代によみがえる(10/30 … 続きを読む

page top