【インタビュー】映画『ずっと独身でいるつもり?』稲葉友 一見、いい男風な彼氏役に「どこかでうらやましいと思う気持ちもあります」

2021年11月18日 / 08:05

 田中みな実主演、ふくだももこ監督の、映画『ずっと独身でいるつもり?』が11月19日から上映される。本作は、おかざき真里のコミックを原作に、立ちはだかる現実に苦しみ、揺れる4人の女性の姿を描く。田中が演じる主人公・本田まみの彼氏・橋田公平を演じた稲葉友に、自身の役柄についてや、本作の見どころを聞いた。

橋田公平を演じる稲葉友 (C)エンタメOVO

-稲葉さんが演じた公平は、まみより年下ですが、一見申し分のない、いい男風の彼氏です。しかし、物語が進んでいくと、絶妙な駄目さが露見してきます。稲葉さんから見て、公平はどんな人物だと捉えて演じましたか。

 誰から見ても、良くない部分のある男だとは思います。ただ、「良くないこと言ってるな」と思わずに演じようとは思っていました。育ってきた環境があって、公平には公平の思いや考えがあった上で、あれらの発言になっている。しかも、公平には悪気はない。まあ、だからこそタチが悪いという意見ももちろんあると思いますが、僕が敵になってしまってはいけないと思ったので、公平のいいところを探して演じました。

-稲葉さんが感じた公平のいいところというのは、例えばどんなところですか。

 多趣味で友達も多いし、自分の楽しませ方も自分自身の機嫌の取り方も分かっている。それから、好きな人に対して自分から行動することもできる。そうやって並べていくと、割といい男なんですよ。劇中では、確かに公平の至らない部分も見えていますが、それも含めて人間らしいとも思います。いい部分だけの人間なんていませんから。それに、そういう公平をどこかでうらやましいと思う気持ちもあります。こんなふうに生きられたら、きっともっと楽で、楽しいと思えることが増えるんじゃないかなと思いました。

-公平の部屋を訪れたまみにカレーを振る舞うシーンは、良くも悪くも公平のキャラクターをよく表したシーンでしたね。

 象徴的ですよね。一つ一つのエピソードが、公平をうまくかたどっているので、役を作り過ぎなくてもよかった。(それらのエピソードが)公平を後押ししてくれていたと思います。

-田中さんとは初共演ということですが、田中さんの印象は?

 とてもかっこいい人でした。今回は、恋人役だったので、どれだけフラットに入り込めるかが大事だと思っていたのですが、(休憩中も)自然と会話ができるように持っていってくださったので、ありがたかったです。器が大きく、すごい人だと改めて感じました。

-劇中には、田中さんが演じたまみ以外にも、人生に悩む女性が出てきます。稲葉さんから見て、一番、理解しやすい女性キャラクターは誰ですか。

 僕にとっては、等しくみんな遠かったような気がします。ですが、市川実和子さんが演じた由紀乃と、徳永えりさんが演じた彩佳は、胸に刺さるところがありました。自分の中で勝手に感じていた、「結婚して、子どもが生まれたら幸せ」というイメージにメスが入れられた気がしています。ふくだ監督もご結婚されて、お子さんが生まれた後にこの作品を作られたそうなので、リアルを知っているからこそ繊細に、よりリアルに描かれていると思います。

-この作品をきっかけに、結婚観や恋愛観に変化はありましたか。

 よく聞かれるのですが、特に変化はなかったんですね(笑)。僕にとっては、「生きねば!」という思いにさせられた作品だったので、あまり結婚観や恋愛観については考えなかったのかもしれません。ただ、きちんと自分の足で立って、人と関わって歩いていくことが大切なんだというのはすごく感じました。愛する人と巡り合って、子どもを授かり、人と支え合って生きるとなっても、お互いに自分の足で立っていることで、人生も少しは歩きやすくなるんじゃないかなと、僕は思いました。それから、孤独を感じる瞬間は、生きていればいくらでもありますが、でも、そういうときは、自分の視界をシャットダウンしていることが多いんだなということにも気付かされました。この作品を見て、少し視界が開けた気がするので、見てくださる方にもそう感じていただけたらいいなと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

瀬戸利樹、セラピスト役は「マッチョな体も見どころ」 役作りは「実際に施術を見学して、レクチャーを受けました」

ドラマ2024年4月24日

 現在放送中のドラマ「買われた男」で主演を務める瀬戸利樹が取材に応じ、本作の魅力や役作りについて語った。  本作は、三並央実氏と芹沢由紀子氏による漫画『買われた男~女性限定快感セラピスト~』が原作。セックスレスの主婦、芸能人、女社長、風俗嬢 … 続きを読む

Willfriends

page top