【インタビュー】「連続ドラマW 東野圭吾『さまよう刃』」竹野内豊「ゆり子さんには、女優さんに感じる壁が全くない」石田ゆり子「竹野内くんはミントガムみたいな人」15年ぶりの共演を語る

2021年5月15日 / 07:00

 東野圭吾原作の「連続ドラマW 東野圭吾『さまよう刃』」(全6話)が、5月15日からWOWOWで放送・配信される。男手一つで育ててきた娘を少年たちに惨殺され、復讐(ふくしゅう)の道に走る主人公・長峰重樹を竹野内豊が演じ、長峰の正体を知りつつも手を差し伸べる木島和佳子を石田ゆり子が演じる。15年ぶりの共演となった2人が、久々に共演した感想や、撮影の舞台裏などを語った。

石田ゆり子(ヘアメイク:岡野瑞恵/スタイリスト:長瀬哲朗)と竹野内豊(ヘアメイク:miho araki/スタイリスト:檜垣健太郎(辻事務所))撮影:中村功

-共演が決まったときの感想を教えてください。

竹野内 台本を読んで、和佳子役はどなたになるのかな…とずっと気になっていたので、ゆり子さんだと聞いたときは素直にうれしかったです。女優さんに感じる壁みたいなものがゆり子さんには全くなくて、15年の月日のブランクも全く感じることなく、自然とお話ができました。

石田 世代がほぼ一緒なんです。共演するのは3回目。15年空きましたが、いつも互いにそれぞれの作品を見ていたりしました。私、いつも「竹野内くん」と呼んでいるのですが、すみません。「竹野内さん」は…。

竹野内 やめてくださいよ(笑)。

石田 竹野内くんって、失礼な言い方かもしれないけど、私にとって「竹野内くん」なんですよね。竹野内くんは、いつも誰に対しても変わらず、いるだけで心地よい風が吹いてくるような人なので、私にとっては芸能界の中のオアシスみたいな人です。

竹野内 何ですか、それ(笑)。

石田 芸能界という“いばらのジャングル”の中のミントガムみたいな感じ。そういう存在感。不思議な人だなと思っています。

竹野内 自分にとっては、芸能界の先輩ですから「ゆり子さん」と呼ばせていただいています。緒形拳さんとのNHKドラマ「海の群星(むりぶし)」、あれって、ゆり子さんのデビュー作ですよね?

石田 私が18歳だったので、88年とかかな。

竹野内 自分はまだ普通の学生でアルバイトをしていた頃で、その頃からゆり子さんのことは拝見していたので、「ゆり子さん」ですね。

-撮影の様子はいかがでしたか。

竹野内 監督の片山(慎三)さんが、すごいんですよ。片山組は、本当に10年に一度、出会えるか出会えないかといった、そういったチームでした。普通の監督さんなら「これは、一発オーケーを出すかな」というシーンでも、片山さんは「今のはすごく良かったんだけど、もう少し見せてもらってもいいかな」と。人が想像もつかないようなことを現場で思い付いたりして、「こういうパターンでもやってみて」という演出がある。だから、同じシーンを重ねることは全く苦ではなかったですし、題材は非常に重たいものでしたが、本当に楽しい現場でした。

-滅多に経験できない現場だったということですね。

竹野内 普通、連続ドラマというのは、だんだん追い詰められていくものなんです。スケジュール的なことも含めて、後半にしわ寄せがきてしまって、スタッフもキャストも結構ヘトヘトの中でやっているイメージがあるのですが、今回に関しては、コロナ禍によって、いい意味で、撮影スタイルが見直された部分がありました。

 こまめに休憩時間を取ったり、空気の入れ替えをしようという感じで。スケジュールも若干ゆとりがありましたし、誰もがコロナという得体の知れないものに対して不安を抱えながら、真夏の猛暑の中で撮影していたわけですが、そのリスクを背負ってでも、「何とかいい作品を作りたい」という一致団結感、それがもう本当に素晴らしいな…と。みんなの熱意に「自分も頑張らなきゃ」という気持ちにさせられました。

石田 とにかくチームワークのいい組でした。みんなが「監督のために何でもやります」という感じで、そういう空気って、最近実はなかなかないんですよ。とても気持ちのいい一体感があって、そこに自分が存在できたことだけでも幸せだったなと思います。

-長峰は娘を殺した相手に復讐をしようとします。お二人はもし自分が長峰と同じ立場になったとしたら、同じ選択をすると思いますか。

竹野内 自分の大切な人が、もしそういうむごい仕打ちを受けたら、やはり人間ですので、自然とそういう感情が湧き上がってくると思います。でも、それだけでは片付けられないのが今回の話の深いところなので、ぜひ、そこをドラマでご覧いただけたらと思います。

石田 恐らく、焦点は、法によって(未成年の)相手が裁かれないというところだと思うんです。納得がいかないということですよね。それは分かるな…。法って何なんだろうと考えたら、それととことん闘う気持ちは、私にはあると思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第十六回「華の影」まひろと道長の再会から窺える物語展開の緻密さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月27日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月21日に放送された第十六回「華の影」では、藤原道隆(井浦新)率いる藤原一族の隆盛と都に疫病がまん延する様子、その中での主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の再会が描かれた。  この … 続きを読む

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

Willfriends

page top