【インタビュー】映画『事故物件  恐い間取り』 亀梨和也「お客さんのリアクションが返ってきて、初めてこの作品の『怖さ』が分かる」 松原タニシ「僕自身も思い直さないといけないところがいっぱい出てきた」

2020年8月27日 / 06:07

 殺人・自殺・火災による死亡事故などがあった“いわくつき”の部屋「事故物件」に住み続けている芸人・松原タニシの実体験を記したノンフィクションを映画化した、亀梨和也主演の『事故物件  恐い間取り』が8月28日から公開される。本作は、売れない芸人の山野ヤマメ(亀梨)が、TV番組への出演を条件に、事故物件に住み始めたことから起こる怪奇現象を描くホラー作品。監督は『リング』や『スマホを落としただけなのに』で知られる中田秀夫。次々と恐ろしい現象に遭遇するヤマメを演じた亀梨と、原作者の松原に撮影の裏側を聞いた。

2020『事故物件 恐い間取り』製作委員会

-よろしくお願いします。

亀梨 タニシさんとの対談なので、(録音機材に)雑音が入るかもしれませんよ。定期的に、止まっていないかも確認していただいた方がいいです。変な声が入っていたら、それも記事にしてください(笑)。

-脅かさないでください(笑)。映画もトラウマになるほどの恐怖を感じましたが、お二人は完成した映画を見ていかがでしたか。

松原 めちゃくちゃ面白かったです。怖いだけじゃなくて、笑える要素もあるし、泣けるシーンもある。いろいろな要素が詰まった、何回も見たい映画だなと思いました。

亀梨 タニシさんがおっしゃていたように、僕自身、現場でお芝居をさせていただいていて、エンターテインメントな作品に仕上がっていることは感じました。謎解きあり、ラブあり、一人の男の子の成長ありと、さまざまな要素が入っていて、その中に、事故物件を通じて起きるホラー要素が組み込まれています。

 ただ、僕自身は撮影現場で、お化け役の方とお話しをしたり、メークがどうなっているのかという裏側を見てしまっているので、どのぐらい怖い作品になっているのかというのはよく分かってないんです。今、「トラウマになるほどの恐怖」と言っていただきましたが、それを聞いて、「そうか、怖いんだ」と気付くんです。なので、お客さんのリアクションが返ってきて、初めてこの作品の「怖さ」が分かると思います。

-確かに、怖いだけでなくエンターテインメント性も高い作品で、冒頭の亀梨さん演じるヤマメと瀬戸康史さん演じる中井の漫才のシーンも印象的でした。

亀梨 売れない芸人ということが説得力を持って伝わるシーンにしなくてはいけなかったので、打ち合わせで監督やプロデューサーさんともいろいろとお話しをさせていただきました。当初は、女装をする予定もなかったんです。最終的には、あのような形になりましたが、滑るためにステージに立っているわけではないのに、滑らなくちゃいけないというのが、難しくもありました。

松原 全力でやっていましたね(笑)。本気で笑わせにいっているけど、ずれているというのは、芸人側から見ても、すごくリアルだなと思いました。

-ヤマメを演じるに当たってどのように役作りをしましたか。

亀梨 タニシさんから、いろいろなインスピレーションを頂きました。撮影前にタニシさんが出演されている番組の映像も見ましたし、実際にお会いして、しぐさやビジュアル的な部分も参考にさせていただきました。当初、ヤマメは眼鏡を掛ける予定ではなかったんですが、タニシさんとお会いして、やっぱり掛けた方がいいと思って、意見を通させていただきました。

-タニシさんから具体的にアドバイスはしましたか。

松原 初対面のときに、亀梨さんから「事故物件ってどうやって住むんですか」という質問をもらって、そういうことにはお答えしました。でも、「周りの人に対して、どんな気持ちでいたらいいですか」という質問をされたときに、僕も悩んでしまって…。今回、亀梨さんが、事故物件に住む僕を演じることで、僕自身も思い直さないといけないところがいっぱい出てきました(苦笑)。

亀梨 僕は、キャスターを10年もやらせてもらっているので、そのインタビュー力を生かして(笑)、事故物件に住む経緯だったり、どんなお気持ちで住んでいるのか、というリアルな思いをご本人の口から聞かせていただこうと、たくさんお話を聞かせていただきました。ヤマメ自身が、「嫌だな」と思いながら事故物件に住んでいるのか、「よし、仕事取るぞ」とやる気満々で住むのか、では表現の仕方も変わってくると思ったので、その辺りはタニシさんの感覚を落とし込もうと思ったんです。演じる上で、とても助けになるエピソードをたくさん聞かせていただけたので、よりヤマメという人物を作りやすくなりました。

-「売れない芸人」という役どころを演じるに当たって、共感する部分はありましたか。

亀梨 もちろんあります。僕は芸人ではないですが、大きなくくりで考えたら同じ仕事ですし、僕自身も、売れることができるのか分からない中、仕事をしてきました。たとえ、ジャニーズ事務所にいても、全員が同じ成果を上げられるものではないですし、確信を持って生きているわけではないんです。だからこそ、もがいているし、自分の感覚を持ってやっていこうと僕は思ってやってきました。それはヤマメと共通することなのかもしれません。

 
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