【インタビュー】映画『君が世界のはじまり』松本穂香&中田青渚 熱量の高いクライマックスの撮影を「2人で乗り越えた感があった」ふくだももこ監督「おかげで『絶対にいい映画になる』と確信」

2020年8月1日 / 06:00

 注目の若手俳優が集結した青春映画『君が世界のはじまり』が、7月31日からテアトル新宿ほかで全国ロードショーされている。本作は、ふくだももこ監督が手掛けた短編小説「えん」(すばる文学賞佳作受賞)と「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を原作に、それぞれに悩みを抱えた高校生たちの日常を温かなまなざしで見つめた物語。公開を前に主人公・えん役の松本穂香、オーディションでえんの親友・琴子役に抜てきされた中田青渚、ふくだ監督の3人が撮影の舞台裏を振り返ってくれた。

(左から)ふくだももこ監督、松本穂香、中田青渚

-穏やかなえんと、はつらつとした琴子との生き生きとしたやりとりが魅力的です。松本さんと中田さんは、どんなふうに2人の関係を作り上げていったのでしょうか。

松本 この2人の距離の近さが一番大事かな…と思ったので、一緒にお茶に行ったりしました。でも、最初は全然しゃべれなくて(笑)。

中田 「松本穂香さんに呼ばれた!?」と思って、すごく緊張していたんです。実際に会ったら、さらに緊張してしまって…。そのときは本当に、壁が何十枚もあるような感じでした。

ふくだ 中田ちゃん、すごく緊張してた(笑)。

松本 でも、現場に行ったら、もう琴子になっていたので、「すごいな…」と思って。「相当なエネルギーを使って、琴子に成り切っているな…」と。だから、私も現場では、ずっとえんのつもりで一緒にいました。

中田 現場では、ずっとえんと琴子の関係性でいられたような気がします。

-松本さんは、えんのキャラクターをどんなふうに作り上げていったのでしょうか。

松本 最初に台本を読んだときから、つかみどころのない不思議な人だな…と思っていました。だから、もう少し台本を読み込んで考えた方がいいのかな…と。そうしたら、リハーサルのときにふくださんが「又吉(直樹)さんみたいなしゃべり方をイメージしている」と言ってくださったんです。「“伝える”というよりも、独り言のようにぼそぼそしゃべる」みたいな。それが大きなヒントになりました。

ふくだ それだけであそこまで理解してやってくれたのはすごい!

松本 ただ、琴子と一緒にいて初めてえんになれるのかな、と思っていたので、リハーサルの時点では、私もまだ、しっくりきた感じではなかったんです。一緒にやっていくうちにだんだんと…ですね。

-中田さんご本人は、劇中の琴子とは雰囲気が全く違いますね。

中田 違いますよね(笑)。だから、「琴子と私の共通点は?」みたいなところから役を考え始めたら、どんどん琴子が遠く離れていってしまって…。オーディションのときは、何も考えずに思い切りやって、すごく楽しかったんですけど。そういう意味では、決まった後の方が難しかったです。

-そうすると、あの元気いっぱいな琴子のお芝居はどんなふうに?

中田 どうにかしてエネルギーを出すしかないな…と思っていました。とりあえず、台本のタイトルになっていたザ・ブルーハーツさんの曲を聞いて、走ったりしていました(笑)。劇中でも歌が流れるので、その歌のエネルギーを少しでも琴子に…と思って。あとは、琴子とえんの関係性について3人で話し合ったり…。そういうことをしているうちに、だんだん琴子が見えてきました。

-ふくだ監督が中田さんを琴子役に選んだ理由は?

ふくだ オーディションのときは、完璧に琴子だったんです。かわいらしい顔から、あの威勢のいいマシンガントークがさく裂したとき、そのギャップがメチャクチャ面白くて。「琴子って、こういう子なんや」と思ったんです。「今まで自分が思い描いていた琴子像とはちょっと違うけど、面白い!」って。でも、本読みのときに会ったら、ものすごく緊張していたらしく、別人みたいでした(笑)。

-映画を見ると、琴子を演じているという感じではなく、中田さんそのままのように見えますね。

ふくだ 見えますよね。

中田 そう言っていただけて、よかったです。

-えんは、琴子以外の人物と一緒のシーンも多いですが、撮影はえんと琴子のシーンをまとめて撮るようなスケジュールだったのでしょうか。

ふくだ 撮影の順番はバラバラでした。ただ、えんと琴子、2人だけのクライマックスは、2日目に撮ったんです。晴れの日が絶対条件だったので、候補日をいくつか挙げておいたら、2日目が晴れてしまって。これを逃すと今後晴れる保証がないから、撮ってしまった方がいいと。だから、2人はすごく難しかったと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】夏にちなんだ異色ホラーを紹介『オブセッション 災愛』『ユースフル・ゴースト』『だぁれかさんとアソぼ?』

映画2026年7月24日

 今夏は、ただ怖がらせるだけではなく、恋愛や社会風刺、青春ドラマなど異なるジャンルを巧みに掛け合わせた“異色ホラー”が目を引く。恐怖の中に笑いがあり、切なさがあり、現代社会への視線もある。そんな一筋縄ではいかない作品がそろった。  1本目は … 続きを読む

関口メンディー「舞台での経験を積んでいきたい」 初主演舞台タクフェス第14弾 「北の島から」で家族愛を描き出す【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年7月24日

 宅間孝行が主宰するエンターテインメントプロジェクト「タクフェス」の最新作、第14弾「北の島から」が11月20日から上演される。主演を務めるのは、本作が舞台初主演となる関口メンディー。日本最北の島・礼文島を舞台に、家族の絆を描き出す本作で、 … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#「オディソパンマリヤ」、なぜKドラマのケンカは「タメ口」から始まるのか

ドラマ2026年7月23日

 K-POPや韓国ドラマは、エンターテインメントであると同時に、韓国社会を映す鏡でもある。何気ない言葉やしぐさ、習慣の背景をたどると、その国ならではの価値観や歴史、人との関わり方が見えてくる。この連載では、韓国カルチャーを入り口に、知ってい … 続きを読む

星乃あんな「この映画で「ザ・Jホラー」の魅力を思う存分に感じてほしいと思います」『だぁれかさんとアソぼ?』【インタビュー】

映画2026年7月23日

 若者たちの間でひそかにはやる絶対にやってはいけない遊び。それは、学校の誰もいない階段の13段目でカセットテープに日付と名前を吹き込むと、名前を吹き込まれた人は死ぬというものだった…。「呪怨」シリーズの清水崇監督が、アイドルグループ「FRU … 続きを読む

望海風斗&坂本昌行が初共演で挑む、新たな「ファニー・ガール」 「元気とパワーと自信をもらえる作品」に【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年7月22日

 望海風斗と坂本昌行が出演するミュージカル「ファニー・ガール」が、9月8日から日生劇場で上演される。本作は、ニューヨークのブロードウェーレビュー、ジーグフェルド・フォリーズの大看板だったファニー・ブライスの伝記ミュージカルとして1964年に … 続きを読む

page top