【インタビュー】映画『#ハンド全力』醍醐虎汰朗「僕らが普段忘れがちなことをポップな形で気付かせてくれる映画」

2020年7月9日 / 06:15

 どうにもならない現実やSNSに翻弄(ほんろう)されながらも、熊本地震復興の盛り上げ役となった高校生たちの青春を描いた映画『#ハンド全力』が、7月31日からシネ・リーブル池袋ほかで全国公開される。SNSに投稿したかつての写真がバズったことから、真相を伏せたまま、“頑張ってるフリ”を続ける主人公・マサオを演じるのは加藤清史郎。共演には、醍醐虎汰朗、佐藤緋美ら次世代を担う若手俳優が集結し、『アフロ田中』で知られる松居大悟監督がメガホンを取った。加藤演じる主人公・マサオの幼なじみの岡本を演じる醍醐に、撮影の舞台裏や役者業への思いを聞いた。

醍醐虎汰朗

-今回の役柄はオーディションで決まったそうですね。

 はい。岡本は僕のイメージとはだいぶ違うので、(岡本役で受かることは)ないんじゃないかなとは思いました。でも、だからこそ演じがいがあると思ったので、うれしかったです。

-脚本を最初に読んだときには、本作のどこに魅力を感じましたか。

 この作品は青春映画ではありますが、きらびやかな青春というよりは、リアルで、ひねくれ者の集まりが、頑張って青春をしている姿が描かれています。その世界観が松居監督らしくて、面白いなと思いました。それから、登場人物がみんな個性豊かで、アニメのようなキャラクターが多いのも、この作品の魅力だと思います。

-醍醐さんが演じた岡本という役について、松居監督からどんな演出がありましたか。

 実はあまりなかったんです。撮影前にお話もさせていただいたのですが、松居監督が考えている岡本という役と、僕が考えている岡本像が最初から近かった感じがします。

-松居監督の印象は?

 熱い思いを持っていて、とても接しやすい優しいお人柄の方です。松居監督のそういうところは作品にすごく出ているなと思いました。

-今回、ハンドボール部のメンバーとして、若手俳優の方が多数出演しています。役柄的にもチームワークが必要だったと思いますが、どのようにして仲良くなったのですか。

 僕は、全員と初共演でしたが、年齢が近かったこともあり、1日で仲よくなれました。最初に顔を合わせたのは、ハンドボールの練習でしたが、プロのコーチの方が来てくれて、体育館で練習をして、その後にみんなでご飯を食べに行きました。撮影中は熊本に2、3週間泊まり込みだったので、合宿のような感じで、夜に誰かの部屋に集まってゲームをしていました(笑)。

-本作では加藤さんや鈴木福さんなど、子役としてキャリアを積んできた方とも共演されていますが、彼らから刺激を受けましたか。

 清史郎は、いろいろなことを深く考えていて、大人だなと思いました。福くんもそうですが、すごくしっかりしていて、キャリアを積んできたことが目に見えるようで、輝いているものがあると感じました。現場では、福くんの物まねがはやったりして、いじられキャラではありましたが(笑)。

-醍醐さんはスポーツが得意だそうですが、ハンドボールはいかがでしたか。

 最初からうまくできちゃいました(笑)。僕は、運動神経が悪い方ではないので、きっと人より少しだけ覚えるのが早いんです。なので、チームの誰よりもうまくできたと思いますが、岡本は誰よりも下手じゃないといけない役なので、転ぶ練習や下手に見える投げ方を練習していました(笑)。

-この作品を通して感じた、ハンドボールの魅力は?

 この作品に出演するまで、僕自身も詳しく知らなかったスポーツですが、バスケとドッジボールとサッカーを融合したような、新感覚のスポーツだなと感じました。ボールが小さいので、ドッジボールやバスケよりも速い球が投げられますし、自由に扱えるので、幅が広いスポーツだと思います。

-醍醐さんはこれまでに、舞台「弱虫ペダル」やハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」など、舞台作品でも部活動に励む少年役を演じています。舞台でスポーツものを演じる場合と映像で演じる場合、どのような違いがありますか。

 お芝居の表現方法は、もちろん違います。例えば、舞台「弱虫ペダル」だったら、自転車ではなく、ハンドルだけを使って演技をしますし、「ハイキュー!!」ではボールをほとんど使いません。どちらも体の動きのみで競技をしているかのように見せなければいけません。でも、今回は、実際にハンドボールを使ってのプレーで撮影したので、僕はやりやすかったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

目黒蓮が抱いた“継承への思い ”妻夫木聡、佐藤浩市から受け取った“優しさ”と俳優としての“居住い” 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」【インタビュー】

ドラマ2025年11月9日

 日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」への出演発表時、“物語の鍵を握る重要な役どころ”という情報のみだった目黒蓮演じる謎の人物。そこから約2か月、11月2日放送の第4話でようやくその正体の一端が解禁された。男の名は中条耕一、佐藤浩市演じる山王 … 続きを読む

堤真一、三宅唱監督「実はこういうことも奇跡なんじゃないのということを感じさせてくれる映画だと思います」『旅と日々』【インタビュー】

映画2025年11月6日

 三宅唱監督が脚本も手掛け、つげ義春の短編漫画『海辺の叙景』と『ほんやら洞のべんさん』を原作に撮り上げた『旅と日々』が11月7日(金)から全国公開される。創作に行き詰まった脚本家の李(シム・ウンギョン)が旅先での出会いをきっかけに人生と向き … 続きを読む

【映画コラム】俳優同士の演技合戦が見ものの3作『爆弾』『盤上の向日葵』『てっぺんの向こうにあなたがいる』

映画2025年11月1日

『爆弾』(10月31日公開)  酔った勢いで自販機を壊し店員にも暴行を働き、警察に連行された正体不明の中年男(佐藤二朗)。自らを「スズキタゴサク」と名乗る彼は、霊感が働くとうそぶいて都内に仕掛けられた爆弾の存在を予告する。  やがてその言葉 … 続きを読む

福本莉⼦「図書館で勉強を教え合うシーンが好き」 なにわ男⼦・⾼橋恭平「僕もあざとかわいいことをしてみたかった」 WOWOW連ドラ「ストロボ・エッジ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 福本莉⼦と⾼橋恭平(なにわ男⼦)がW主演するドラマW-30「ストロボ・エッジ  Season1」が31日午後11時から、WOWOWで放送・配信がスタートする。本作は、咲坂伊緒氏の⼤ヒット⻘春恋愛漫画を初の連続ドラマ化。主人公の2人を軸に、 … 続きを読む

吉沢亮「英語のせりふに苦戦中です(笑)」主人公夫婦と関係を深める英語教師・錦織友一役で出演 連続テレビ小説「ばけばけ」【インタビュー】

ドラマ2025年10月31日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」。明治初期、松江の没落士族の娘・小泉セツと著書『怪談』で知られるラフカディオ・ハーン(=小泉八雲)夫妻をモデルに、怪談を愛する夫婦、松野トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ) … 続きを読む

Willfriends

page top