【インタビュー】『天気の子』主役の醍醐虎汰朗・森七菜が明かす、新海誠作品への思い 醍醐「『秒速5センチメートル』はショッキングでした」

2019年7月19日 / 18:15

 7月19日に公開された、新海誠監督の最新作『天気の子』。主人公・森嶋帆高とヒロイン・天野陽菜の声は、オーディションで2000人以上の中から抜てきされた、俳優の醍醐虎汰朗と森七菜が演じる。声優初挑戦の2人が、本作に懸ける思い、新海監督作品への思い、そして今後の展望についても語ってくれた。

醍醐虎汰朗(左)と森七菜

-お二人は声優初挑戦ですが、新海監督から指導されたことや、褒められたことなどはありますか。

醍醐 細かい指摘はありましたが、具体的な演技の指導はなかったです。「帆高は醍醐くんであって、醍醐くんは帆高だから、自然体でやっていいんだよ」と最初に言っていただいたので、その言葉に救われました。

 このアニメを見られる方にも「なんで声優さんがヒロインじゃないんだ」と思う方もいるでしょうし、それに対する不安を与えたくないなと思っていました。でもある日、新海さんが「息づかいも声優さんっぽくなってきたね」と言ってくださって、意識せずともそうなれるぐらいに余裕が出てきたのかなと、うれしくなりました。

-今までの新海監督の作品で、特に印象に残っているものはありますか。

醍醐 『秒速5センチメートル』は、とてもショッキングでした。あんなに物事がうまくいかないなんて…と初めて感じたアニメです。あと、花澤香菜さんが好きなので、(彼女がヒロインを演じる)『言の葉の庭』も大好きです。もちろん『君の名は。』も映画館に3回ぐらい行きましたし、本当に面白いですよね。

 オーディション前に一気に全作品を見ました。もう1回『秒速~』を見返したいなと思います。一番好きなのは『言の葉の庭』でした。ゆったりした時間が流れているように感じたけれど、意外に46分しかないなんて。濃かったなって。

醍醐 うんうん。

-『君の名は。』に続き、今回もRADWIMPSさんが全楽曲を担当されます。その曲を聴いて、どういう印象を持ちましたか。

醍醐 初めて聴いたときは、「神だな!」と思いました(笑)。野田(洋次郎)さんの書かれる歌詞は、常人では思いつかないものだなと。実はファンでもあるのですけど、今回もメッセージ性の強い歌詞で、『君の名は。』同様に、曲も映像ときれいにハマっていました。作中で生きるキャラクターたちの気持ちを代弁してくれていると思うし、やっぱり「神だな!」と思いました。

 曲の歌詞が、見ているお客さんと陽菜と帆高の距離を近づける、はしごになってくれていると思います。不器用な主人公たちの気持ちを代弁してくれている場面がたくさんありました。だから、物語に集中する回と、音楽を感じる回と、何回も見てほしいなと思います。

-演じた役柄への思い、ご自分と似ている点や違う点などあれば教えてください。

 新海監督には「天気みたいなところが似ているね」と言われました。私は気まぐれで、陽菜は感情的で、怒っていると思ったら、泣いていたりする。確かに似ているかなとも思うのですが、お姉さんぽいとか、積極的なところとかは似ていないなと思います。

-なるほど。森さんにごきょうだいはいらっしゃるのですか。

 (陽菜と一緒で)弟がいるのですが、弟が料理を作ってくれるなど、人にお世話されて生きているので、陽菜と真逆です。陽菜が突発的に何かをすると最初は「そんなことしちゃうんだ」と思うこともありましたが、最終的には全て理解できましたし、「似てきたね」と言われることが多々あったので、ちょっとずつ寄ってきたのかなと。

醍醐 「顔が似ているね」とよく言われます(笑)。「頑張って空回りしちゃっているところ」が似ているとも。そこはあまりうれしくはないのですが(笑)、でも一生懸命さ(の表れ)なのかなと。僕が計算的に演じるのではなく、できる限り自分が帆高になって進もう、と思って演じました。

 
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