【インタビュー】PARCO劇場オープニング・シリーズ「ゲルニカ」上白石萌歌「ゲルニカの人たちに起こったことは決して他人事じゃない」

2020年7月8日 / 08:00

 演出家の栗山民也と気鋭の劇作家・長田育恵が初タッグを組む、PARCO劇場オープニング・シリーズ「ゲルニカ」が9月4日から上演される。本作は、栗山がスペイン内戦時のゲルニカ無差別爆撃を描いた画家パブロ・ピカソの「ゲルニカ」と出会って以来、温めてきた構想を基に、長田がゲルニカに生きる人々の人間ドラマにフォーカスした物語をつむいだ作品。ゲルニカの貴族の家に生まれ、甘やかな世界を信じて生きてきたものの、スペイン内戦を通し、世の中の厳しい風にさらされるヒロイン・サラを演じる上白石萌歌に、役柄への思いや意気込みを聞いた。

サラ役の上白石萌歌(ヘアメイク:冨永朋子(Allure)/スタイリング: 道端亜未 )

-この舞台に出演することが決まったときの心境は?

 長年、演出の栗山民也さんとご一緒したいという夢があったので、何よりも栗山さんとご一緒できることが楽しみでした。本作は、PARCO劇場のオープニング・シリーズの一つにラインアップされていますが、シリーズはどの作品も素晴らしい演出家、脚本家、そしてキャストの皆さんが名を連ねていますので、そのバトンを私がつなぎ切ることができるのかという不安はありますが、今はこのキャストの皆さんとお芝居できることが楽しみですし、無事に上演できることを願うだけです。

-栗山さんとご一緒したかったということですが、具体的にどんなことを楽しみにしているのですか。

 昨年、姉(上白石萌音)が「組曲虐殺」で栗山さんとご一緒させていただいて、そのときに「とにかく駄目出しが面白い」と話していました。普段、駄目出しって心がえぐられるような状況になることが多いのですが(苦笑)、栗山さんの駄目出しは、一つの駄目に対していろいろな知識を授けてくださるそうです。お芝居の付け方も独特らしく、役者たちが自分から動いて、自分から生み出していくものを大切にしてくださると聞いています。栗山さんの演出を受けることで、自分のお芝居も変えてくださるような気がしています。

-これまではファンタジー色の強い舞台作品に出演されることが多かったと思いますが、今回は史実に沿った設定です。作風的にも真逆の作品になりそうですが、それについてはいかがですか。

 現実に起きたこと、忘れてはいけないことを伝える責任があると思います。私自身が、本作の背景となっているスペイン内戦について学んで理解することが大切な作品になると思うので、ゆっくりかみ砕いていきたいと思っています。

-サラという役について、どう捉えていますか。

 元領主の娘なので、小さい頃からとても環境に恵まれていて、たくさんの人から慕われているお嬢さまです。でも、サラ自身は、その地に暮らしている普通の人たちと変わらない感覚で生きたいという願望を強く持っていて、自分の置かれている立場に疑問を抱きながら生きていると思います。

-サラと恋に落ちるイグナシオ役の中山優馬さんの印象は?

 「きれい」「端正」という言葉が誰よりも似合う方だなと思います。まだお会いできていないのですが、初共演なので楽しみです。

-脚本の長田さんとはすでにお会いして、話もされたそうですが、どんなことを話しましたか。

 自粛期間をどう過ごしていたか、というお話をさせていただきました(笑)。作品に関しては、今現在、執筆なさっているということでしたが、現段階で頂いていた原稿も読ませていただいたので、その感想をお伝えしました。長田さんが書かれた脚本は、一見すると穏やかな話に思える物語が、読み進めていくうちに、何かが変わっていく違和感があって、徐々にそれが深刻になっていくことを強く感じました。私が読ませていただいたのは、全体の7割ほどのストーリーだったので、緊急事態が刻々と近づいていることを感じた後、どう展開するのか、楽しみにしています。

-「緊急事態」というと、新型コロナウイルスが、いまだ脅威となっている現在も、ある意味、似たような状況なのかと思いますが、この社会情勢を受けて、本作に対しての思いも変わったのではないですか。

 はい。私たちが、まさかこんな状況になるとは思っていなかったのと同じように、ゲルニカに住んでいる人たちも、スペイン内戦に巻き込まれることは想像できなかったと思います。今、誰もがこれからどうなるのか分からないという不安を抱えながら自粛生活をしていると思いますが、私自身も今までコンスタントにお仕事させていただいていた中で、突然、2カ月も自粛生活を送るというのは初めてのことでした。だからこそ、ゲルニカの人たちに起こったことは決して他人事じゃないということを感じましたし、この状況を経験した私たちがゲルニカの時代を演じることで、きっと伝えられるものがあるんじゃないかなと思います。

 
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