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「世の中は、2割の人が支えている」。イタリアの経済学者ビルフレド・パレートが唱えた経験則「パレートの法則」をモチーフにした「連続ドラマW パレートの誤算 ~ケースワーカー殺人事件」で主演を務める橋本愛。学生時代、「パレートの法則」に似た「2:8の法則」を発見したという橋本は、本作にシンパシーを感じてオファーを即決。この自ら見いだした法則によって、女優として生きることが「楽になった」とも話すが、その真意とは? 撮影中のエピソードとともに語ってくれた。
本作は、殺⼈に隠された社会保障の闇と、そこに差し込む新たな希望を描き出すヒューマンミステリー。市役所の福祉課に勤める牧野聡美(橋本)が、殺されたベテランケースワーカーの素顔と不正受給の実態に迫る中、福祉や市政、医療を取り巻く町の闇に巻き込まれていく…。
「パレートの法則」とは、「組織では全体の約2割の⼈間が⼤部分の利益をもたらしている。そこで有⽤な2割に当たる⼈間を外すと、残りの8割の中から2割の⼈間が新たに利益を⽣み始める」という経験則。
タイトルの「誤算」には、「パレートの法則」を曲解すれば、社会から生活保護受給者は決していなくならず、誰もが“8割”側に転落する可能性を秘めている。また、そこからはい上がる者もいるため、弱者を弱者と単純に切り捨ててはならないという警鐘が込められている。
橋本は高校生の頃、「パレートの法則」を知らなかったものの、「日本を『東京:その他』に分けると、いろんな意味で『2:8』ぐらいなのかな?」と思ったことをきっかけに、社会や人の動きなどから、この世界には「2:8の法則」があることに気付き、「そう考えると楽になった」と打ち明ける。
その真意を問うと、「全ての人が同じ方向を向いて仕事をすることはできないし、自分らしく生きることを全員に認めてもらうことは難しくて悩むこともありました。でも、この法則を発見してからは、自分を肯定してくれる人が2割いれば、あとの8割にどう思われても仕方がないという安心材料になりました」と吐露。今では「2:8の法則」は、橋本を支える確固たる思想になっている。
そのため、本作のオファーを受けた時のことを「運命的なものを感じました。普段は原作や脚本を読んでから決めますが、今回はこのテーマだけでやるべきだと感じました」と振り返る。
「結果的につまらなかったらどうしよう…という未知で不安なところもあった」というが、脚本を読むと一安心。「スピード感があって面白かったです。原作と違う部分はありますが、本質を見失わず、原作者へのリスペクトもありつつ、監督の考えも落とし込まれていて、作品へのパッションを感じました」と感嘆の声を漏らした。
聡美は、不本意ながらもケースワーカーの仕事を任されることになった嘱託の市役所職員。役へのアプローチでは、「ケースワーカーの勉強はもちろん、聡美が身の危険を顧みず、先輩の死の真相に向かって突き進む力の源を掘り下げることに時間をかけた」という。
実際に演じると「聡美の中にある、日本、社会、町、人に対しての怒りという感情が鮮明に見えてきたとき、私の中に共通するものがあると感じたので、役に入り込みやすかったです」と明かす。
さらに、「役によっては詰め切らないと動けないこともありますが、今回は、手は抜かないけど、力を抜いて動くことができて楽しかったです」とうれしそうに笑みもこぼした。
聡美のことを「精神力、行動力、生命力にあふれる強い女の子」と称賛する橋本。役に敬意を示す理由は過去の“慢心”にある。実は「おごっていた時期」があり、「役は必ず未熟な時点からスタートするけど、私は役に足りていないものを持っているから、役よりも先の成長段階にいる。大げさに言えば、私は役よりも偉いんじゃないかと思うことがありました」と反省の弁を口にする。
しかし、ある大女優の「自分への尊敬が役への尊敬を上回ることはない」という言葉を聞いて心機一転。「この役は、私がためらうようなことを毅然とやっているし、言っている」「この役を演じることで、勇気や力をもらっている」「今まで役の素晴らしさをきちんと感じ取っていなかった」と気付き、「役は必ず自分より偉い。私は役には到底及ばない」と気持ちを改めたのだとか。
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