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東京で映像作家になる夢に破れ、過疎化が進む故郷・春野町役場で働く青年・三田。一度はご当地アイドルとしてデビューしながらも、挫折したまま、なじめない高校生活を送る古泉ニナ。満たされない日々を送る2人は、町の活性化を目指したPR用ダンス動画の制作を通じて出会うが…。3月7日から新宿シネマカリテほか全国順次公開となる『踊ってミタ』は、「踊ってみた」「ボカロ」「Vtuber」など、日本発のインターネットカルチャーを題材に、ダンスを通じて再生していく若者の姿を描いた地方再生型ヒューマンダンスムービーだ。主人公・三田役の岡山天音とヒロイン古泉ニナを演じた加藤小夏が、撮影の舞台裏を語ってくれた。
岡山 三田くんは、とにかく人をイラつかせるキャラクターです(笑)。でもそれは、三田が、人間の普遍的な駄目さを背負わされているからなんです。だから、台本を読んでいくうち、一周回って、いとおしく見えてきました。そういう駄目さは誰もが持っているものだと思うので、それはそれで愛らしいな…と。
加藤 ニナは、表面的には強いけど、中身は弱い女の子です。だから、弱さを、とんがっている部分でカバーしようとしているところがありますよね。そういう高校生独特の部分は、昔の私にもあったのでニナの気持ちはとても理解できました。ダンスが好きなのも私と同じだし、重なる部分が多いな…と思って。
岡山 僕は、今振り返ると、学生の頃、行き詰まっていたのかも…と思います。その頃は学校に通うのも惰性で、感情もあまり揺れないし、どこを足場にしていけばいいのか分からない…みたいな時期があって。その後、「中学生日記」に出演したとき、「楽しい!」と思うことができ、それ以来、毎日充実した感覚になることができました。それがある種、句読点が打たれた瞬間かもしれません。そういう意味では、年齢は違いますけど、三田に通じるものがあります。
加藤 行き詰まることは、すごく多いです。でも、私はそういう場合、できるだけ環境を変えていくようにしています。幸いこの仕事をしていると、常に環境が変わっていくので、助かっています。でもニナの場合、環境を変えていくのが難しい状況です。私にも似たような経験はありますが、そういう時は、感情をポジティブに変えていくようにしています。例えば、「お茶がおいしくない」と思ったら、「これにはこういうおいしさがあって…」と見方を変えて、できるだけ良さを見つけるようにしたり…。そんなふうにして、行き詰まりを打開するようにしています。
岡山 僕は小学校から中学校ぐらいまで、ダンスを習っていたことがあります。その頃は、発表会やイベントにも参加していました。ただ今回は、振り付けを担当したのが、ニコニコ動画の「踊ってみた」で有名な踊り手のめろちんさん。踊り手の方の振りって、独特なんです。いろいろなジャンルのダンスが少しずつミックスされている感じで。だから、すごく難しかったです。泊まりがけの撮影だったので、撮影が終わった後、夜な夜な河川敷で自主練をしていました(笑)。
加藤 私も、もともとダンスを習っていて、中学生のときは「将来の仕事はダンスしかない」と思っていたんです。スカウトされたときも「女優をやっていれば、いつかダンスができるから」と説得され、この業界に入ったぐらいなので。だから、今回ようやく夢がかないました(笑)。おかげで思い出に残る作品になりました。
加藤 ものすごく練習しました。ダンスを辞めて、もう5、6年たっていたので、振り付けを覚えるのも精いっぱいで…。しかも、最初は左右反転して覚えてしまったんです。一回覚えてしまうとなかなか戻せないので苦戦しました。ただやっぱり、踊ることができたのは、気持ちよかったです。特に、エンディングのダンスは気持ちよく踊らせてもらいました。
岡山 自分の出番じゃないとき、加藤さんが踊っているシーンを見学したんですけど、ものすごくクオリティーが高くて…。驚きました。
岡山 印象は今回も変わらなかったです。等身大の若者らしい部分と、すごく大人びた部分の二面性があって、不思議な方だな…と。
加藤 「I”s(アイズ)」で天音さんとご一緒した時が、私の初めてのお芝居の現場だったので、今回また共演できたことがすごくうれしかったし、ありがたかったです。実は役者として、天音さんをすごく尊敬しているんです。ご本人の前で言うのは、恥ずかしいんですけど(笑)。
岡山 うそでしょ(笑)。
加藤 本当ですよ(笑)。すてきな俳優さんだと思って、尊敬しています。一緒にお芝居をしていると、こっちが恥ずかしくなるぐらいで…。
岡山 恐縮です…。でも、うれしいですね。そんなこと言ってくれる人、いないので(笑)。
加藤 前回も今回も、ご一緒したときの目標は、天音さんの隣に立って恥ずかしくない芝居をしたいということだったのですが、まだまだ遠いな…と思って。だから、またいつかぜひご一緒して、今度こそ恥ずかしくない芝居をしたいです。
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