エンターテインメント・ウェブマガジン
2020年の大河ドラマ「麒麟がくる」が、いよいよ1月19日から放送開始となる。大河ドラマとしては3年ぶりに戦国時代を舞台にした本作の主人公は、「本能寺の変」で主君・織田信長を討った武将・明智光秀。謀反人と言われる一方で、それ以外は謎の多い波乱の生涯が、400年以上のときを経てよみがえる。演じるのは、『シン・ゴジラ』(16)、連続テレビ小説「まんぷく」(18~19)など、数々の話題作に出演してきた長谷川博己。放送を前に、1年にわたって主演を務める意気込みを語ってくれた。
面白い題材を選んだな、と興奮しました。明智光秀といえば、「信長を殺した反逆者」というイメージが定着していますが、中にはそうではないという説もあり、人によって見方は異なります。それをどう演じることになるのか、とても楽しみでした。
光秀というのは、もしかしたら今の時代に求められている新しいヒーローなのかもしれません。上司に対してものを言うべきときはズバッと言うし、決断するときは知性を持って決めていく。そういう、知性と品性で突き進んでいく人物です。「ヒーロー」と言うと違和感を覚える人もいるかもしれませんが、少なからずそういう部分があるような気がします。僕自身、今の時代にこんな人がいてくれたら…と思っています。
いろいろな資料も読みましたが、基本的にそれは現場には持ち込まず、池端(俊策/脚本家)先生の脚本の中での光秀を演じたいと思っています。池端先生からは「本能寺の変を起こした明智光秀から逆算して考えないでほしい」と言われていますが、最初はどうしても逆算してしまうところがありました。でも、それだとやっぱり違和感が出てくる。だから、読んだ資料のことはいったん忘れて、無の状態で臨んだ方がしっくりくるな…と。池端先生から「光秀は僕自身」というお話も伺っているので、今は「麒麟がくる」という作品の中での光秀像を作りたいという気持ちで臨んでいます。
読んでいると、ものすごく筆が踊っている印象を受けます。きっと池端先生も乗って書いていらっしゃるんだろうな…と。ただ、表現がとても繊細なので、演じるのは一筋縄ではいきません。白黒がはっきりとした感じではなく、どちらかというと淡い色合いで、行間の受け止め方によって表現が変わってくる。例えば、劇中で光秀はさまざまな選択を強いられますが、その際、「…」と黙っていることが多いんです。(斎藤)道三(本木雅弘)に無理難題を言われて「…」、帰蝶(川口春奈)に何か言われても「…」(笑)。そこを埋めるのが、なかなか難しい。それまでの光秀を考えると「こういう選択をするはず」と思っても、歴史的な事実を見ると、必ずしもそうなっていないんです。
池端先生に聞いてみたら、「五分五分。どちらの可能性もある中で、その時々で瞬発的に決めている」とのこと。そう言われて、さらに難しくなったのですが(笑)。結局、その現場、現場で対応していく感じです。例えば、道三と対面する場面では、本木さんが演じている姿を見て、「ならば、僕はこういうふうに」とか「表現をこう変えよう」とやってみるような。おかげで最近は、その難しさが面白くなってきたところです。瞬発力が要求されますが、その分、僕自身が本当に光秀になっているような手応えがあります。
光秀と信長は共にナイーブなところがあり、よく似ているな…と。劇中には「俺は何者なのか分からない」「まだ何者でもない」という信長のせりふがありますが、池端先生に「光秀も同じですよね?」と聞いてみたら、「その通り」と。根本的なところで似ている2人だから、シンパシーを感じるものがあったのではないでしょうか。その2人の関係が、「本能寺の変」に向けてどんなふうに変わっていくのか、楽しみにしていただければと思います。
染谷さんが持つ独特のムードが、「何かあるな」と思わせる信長らしさとうまくマッチして、とても魅力的なキャラクターに仕上がっていると思います。その一方で、家族との関係においては、どこか孤独を感じさせるものがある。そういう意味では、今までの信長とは全く違う印象です。だから、一緒にお芝居をしていても、すごく面白い。まだ序盤なので、役の関係性を考えて現場では距離を取り、僕も染谷さんも「この人は一体、何者なのか?」と互いに探り合っているような状態です。
映画2025年12月30日
2026年1月1日全国公開となる『迷宮のしおり』は、「マクロス」、「アクエリオン」シリーズなどで知られる河森正治監督初のオリジナル長編アニメーションだ。 引っ込み思案な女子高生・前澤栞(声:SUZUKA(新しい学校のリーダーズ))は、親 … 続きを読む
舞台・ミュージカル2025年12月29日
映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む
映画2025年12月28日
今回は、筆者の独断と偏見による「2025年公開映画ベストテン」を発表し、今年を締めくくりたいと思う。 【外国映画】 2025年公開の外国映画を振り返った時に、今年の米アカデミー賞での受賞作は最近の映画界の傾向を象徴するようで興味深いもの … 続きを読む
ドラマ2025年12月26日
今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む
映画2025年12月24日
脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む