【インタビュー】舞台「阿呆浪士」南沢奈央 喜劇に挑戦「自分の引き出しを増やしておきたい」

2020年1月3日 / 08:00

 喜劇作家・鈴木聡の代表作「阿呆浪士」が1月8日から上演される。本作は、一介の魚屋「八(はち)」が、赤穂浪士として討ち入りを果たすまでを、たっぷりの笑いと、ちょっぴりの涙で描くエンターテインメント時代劇。今回の上演では主人公・八役を戸塚祥太(A.B.C-Z)が演じ、その他のキャストも新たな顔ぶれが出演する。その中で、八が心引かれている長屋小町のお直を演じる南沢奈央に、本作に懸ける意気込みを聞いた。

お直役の南沢奈央

-2019年は3本の舞台(「罪と罰」「恐るべき子供たち」「HAMLET―ハムレット―」)に出演されました。「2019年は舞台の年にする」など、何か狙いがあったのですか。

 この仕事を始めて13年ほどたちましたが、「女優の仕事をしたい」と思ったそもそものきっかけは「舞台をやってみたい」と思ったからでした。実際に舞台をやると、いろいろ鍛えられたり、根性もすわったり(笑)と得るものが多くて…。「またやりたいな」と思っていたときに、舞台の仕事をたくさん頂けたのが2019年でした。TVの仕事では、NGを出してはいけないという思いから、どうしても瞬発力が求められますが、舞台は稽古中なら何回試してもいいし、失敗してもいい。その上で本番を迎えればいい、という作り方が好きなんです。

-本作のオファーを受けて、台本を読んだ印象はいかがでしたか。

 「落語みたいな作品だな」と思いました。私は落語が好きでよく聴くんですが、たくさんの登場人物が入れ代わり立ち代わり出てきては、1対1で話を進め、場面もどんどん変わっていくテンポの良さとか、江戸言葉を使ったやり取りが、まさに落語の世界観。すごく引き込まれました。みんなちょっとずつあほで、完璧な人がいない。駄目な人しか出てこないんですが、憎めない人ばかりなんです。八が主人公ではあるんですが、ならば貞四郎(福田悠太/ふぉ~ゆ~)はどうなる? (大石)内蔵助(小倉久寛)はどうなっていく? など、他のキャラクターのそれぞれのストーリーも気になって、サイドストーリーを追い駆けたくなりました。

-南沢さんは、主人公の八が心引かれるお直という女性を演じます。この役とどのように向き合おうと考えていますか。

 今年やった3本の舞台が、いずれも古典でシリアスな作品ばかりでしたので、「阿呆浪士」では、ガラッと雰囲気を変えて、明るくておきゃんで、元気いっぱいで、ちょっと抜けているお直を、自分を開放した状態でやっていきたいです。喜劇ということですから、自分の中のいろいろな引き出しを用意しておかないと、とも思っています。稽古当初は、いっぱいいっぱいで大変でしたが、今、ようやくせりふが入ってきて、心に余裕が出てきたので、また、ここから本番まで、いろいろ発見しながら取り組んでいきたいです。

-ラサール石井さんの演出を受けてみていかがですか。

 初め、ラサールさんは俳優さんのイメージの方が強く、事実、演出中に時々「こうやってみて」とご自分で演じてみせたりするのを見て、さすがうまいなあって(笑)。でも、演出となると、特に笑いに関しては「こうやったらもっと面白くなる」と的確に言ってくださるし、すごく細かい変化まで見てくださいます。最初の顔合わせのときに、作品全体のテイストとして「庶民のエネルギーに満ちたお祭りみたいな作品にしたい」とおっしゃっていて、その言葉でみんなが一気に熱くなったのが印象的でした。

-座長の戸塚さんとは初共演ですが、戸塚さんの役者ぶりはいかがでしょうか。

 せりふ覚えがめちゃくちゃ速いんです! 八は、せりふ量も、場面も多いんですが、何につけても戸塚さんの記憶力に驚いています。一度やった動きも全部覚えていますし。また、力んでいるわけでも、前のめりなわけでもないんですが、ものすごく「攻めている」芝居をなさる方だなと。それでいて、いい意味で力を抜いて全体を見ていて、ひょうひょうと仕事をされている。そして動きや表情も面白くて。個人的に、戸塚さんはシリアスなイメージを持っていたんですが、コメディーセンスもある方なんだなと感じています。

-また、福田さん、そして内蔵助の娘すず役の伊藤純奈さん(乃木坂46)の存在も気になります。

 福田さんは、本読みのときに、せりふの声色の使い方がうまくて、表現力のある方なんだな、と思いました。今日から立ち稽古でご一緒できるので楽しみです。そして純奈ちゃんは…かわいいですねー! 稽古場では隣の席なんですが、狙っていないのに、素で面白い子だなと感じています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】3月後半の映画から『プロジェクト・ヘイル・メアリー』『マーティ・シュプリーム 世界をつかめ』

映画2026年3月27日

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(3月20日公開)   未知の原因によって太陽エネルギーが奪われ地球に滅亡の危機が迫る中、その謎を解明する“イチかバチか(ヘイル・メアリー)” のプロジェクトのために、中学の科学教師グレース(ライアン・ゴズ … 続きを読む

望海風斗が挑むラテンミュージカル「ただのドタバタコメディーではなく、深みを持った作品に」ミュージカル「神経衰弱ぎりぎりの女たち」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年3月27日

 望海風斗主演、スペイン映画界の名匠ペドロ・アルモドバルによる傑作映画を原作としたミュージカル「神経衰弱ぎりぎりの女たち」が、6月7日から上演される。本作は、ある日、唐突に恋人から別れを告げられた女優のぺパが、彼のアパートへ向かったことで、 … 続きを読む

戸塚祥太&辰巳雄大、ビートルズの結成初期を描いた「BACKBEAT」がついにFINAL 「今回だけのビートがそこに生まれる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年3月26日

 戸塚祥太と辰巳雄大が出演する「BACKBEAT」が、4月17日から開幕する(プレビュー公演は4月12日)。本作は、世界的ロックバンド・ビートルズの結成初期を描いた1994年公開の伝記映画『BACKBEAT(バックビート)』をイアン・ソフト … 続きを読む

木村佳乃「私が声優をやるなら小田急線のロマンスカーがいいです」『映画 きかんしゃトーマス いっしょに歌おう! ドレミファ♪ソドー島』【インタビュー】

映画2026年3月25日

 イギリス生まれの絵本を原作に、世界中の子どもたちに愛される児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版最新作『映画 きかんしゃトーマス いっしょに歌おう! ドレミファ♪ソドー島』が3月27日から全国公開される。ソドー島で開かれる音楽祭のリ … 続きを読む

【映画コラム】3月前半の公開映画から『私がビーバーになる時』『ウィキッド 永遠の約束』『スペシャルズ』

映画2026年3月24日

『私がビーバーになる時』(3月13日公開)  人間の意識を動物ロボットに転送し、本物の動物たちと話すことができる技術が開発された時代。 大切な森を守るため、ビーバー型ロボットに意識を転送した動物好きの女子大生メイベル・タナカは、動物たちが人 … 続きを読む

page top