【インタビュー】アニメ「映像研には手を出すな!」伊藤沙莉「『この声に合う作品と巡り合えないかな…?』とずっと思っていました」テレビアニメの声優初挑戦に懸けた思い

2020年1月4日 / 10:00

 『月刊!スピリッツ』に連載中の大童澄瞳の人気コミックを原作にしたテレビアニメーション「映像研には手を出すな!」が2020年1月5日深夜0時10分(関西地方は0時45分)からNHK総合で放送開始となる。本作では、「夜明け告げるルーのうた」(17)などで世界的に評価される湯浅政明監督の下、アニメーション制作を目指して“映像研”を設立した女子高生3人組の奮闘が、イマジネーション豊かな映像とともに描かれる。主人公・浅草みどりの声を演じるのは、連続テレビ小説「ひよっこ」(17)、「これは経費で落ちません!」(19)などで注目の若手女優・伊藤沙莉。テレビアニメの声優初挑戦となる本作に懸ける思いを聞いた。

主人公・浅草みどりの声を演じた伊藤沙莉

-アフレコの様子を教えてください。

 同じ映像研の3人娘を演じる田村(睦心/金森さやか役)さん、松岡(美里/水崎ツバメ役)さんと一緒にやらせていただいています。以前、声のお仕事をさせていただいたときは、1人でヘッドホンから流れてくる声を聴いてお芝居するというやり方だったので、生の声を聴きながらやれるのは心強いし、一緒にお芝居をしている感覚にもなれるので、楽しいです。

-3人一緒というのは、いかがでしょうか。

 浅草氏はアニメだけじゃなく、機械についての難しい専門用語を早口でまくし立てる場面も多いんです。でも、3人一緒なので「意味分かりました?」みたいな話ができる。それが、すごく心強いです。収録の合間にそういう話をしていると、「今、映像研だったな…」と感じることもたくさんあって。田村さんが冷静に突っ込んでくると、「金森氏!」みたいな(笑)。お二人はものすごく優しくて、いろんなことを教えてくれますし。今度、親睦会をやる予定です(笑)。

-ご自身が演じる浅草みどりの印象は?

 とてもかわいらしい女の子ですが、アニメ制作のことになるとプロ意識も高く、熱い気持ちを持っていてカッコいい。そのギャップが、演じていてすごく楽しいです。人とのコミュニケーションが苦手で、何かを演じないと自分の思いを伝えられないところも共感できます。私も、伝えたいことを砕けた感じで言ったり、おかしな言い方をしたりすることがあるので。そういう意味では、すごく寄り添える役だと思っています。

-演じるに当たっては、どんな指示が?

 浅草氏が何かを演じているような話し方をするときは、音響監督さんから「ここは寅さんぽく」みたいなことをよく言われます(笑)。寅さん以外によく言われるのが、江戸っ子、西部劇、バナナのたたき売り…(笑)。とても分かりやすいディレクションで、それに沿ってやると浅草氏に寄っていくので、ありがたいです。

-テレビアニメの声優は初挑戦だそうですが、今まで声の仕事に対してはどんな印象を?

 声のお仕事をしている方に対する「憧れ」みたいなものはずっとありました。「目指す」というよりも、手の届かないアイドルを拝んでいるような感覚で(笑)。海外ドラマなどの吹き替えは、人のお芝居に対してさらにお芝居を乗せるわけですから、壊すわけにはいきませんし、アニメの場合は自分たちでキャラクターを作り上げて、みんなの記憶に残るような声を出していかなければいけない。そういう意味で、私が今までやってきたこととは全くアプローチが違うので、すごいな…と。だから、「自分がやるなんて、おこがましい」とずっと思っていました。

-とはいえ、最近は声優をやられる俳優の方も多いですし、伊藤さんと仲のいい松岡茉優さんもやられていますよね。そういう姿を見て、どんなふうに思っていましたか。

 「すごい!声優やってる!」と(笑)。本人に伝えたら、「激ムズだよ」と言われましたが、やりがいを感じている様子を見て、「いいな…」とも思っていました。私自身、どこでも声のことを聞かれるので、「そんなに特徴的なものなら、この声に合う作品と巡り合えないかな…?」という思いもずっと持っていましたし。だから、今回のお話を頂いて、本当にありがたかったです。

-実際にやってみた感想は?

 今は昔よりも自分の声に自信が持てるようになりましたが、それでも「声オンリー」の仕事は、自分にとっては大きな挑戦です。アフレコの現場に行くときは、毎回、「お邪魔します。勉強させていただきます」という気持ちでいます。とはいえ、田村さんも松岡さんも作品を作る仲間として「一緒に頑張りたい」と思ってくださっているでしょうから、私がいつまでもそのままではきっとやりづらいはず。だから、「責任と自信を持って、しっかりやらなきゃ」という覚悟を持って臨んでいます。

-実写のお芝居との違いを感じる部分は?

 私が普段やっているお芝居は、基本的には引き算です。ある程度、自分がプランニングしてきたものを現場でぶつけて、「もう少し削ろう」というスタンス。その方が、監督が求めている答えに近づきやすい。でも、アニメの場合は足し算だなと。自分の中で、「これは大げさだろうな…」と思っていることが、意外にOKだったりするんです。実際に映像を見ると、確かにそれがちょうどよくて。アニメならではの表現に関しては、リアルなだけでは伝わらない部分がたくさんあることを知りました。だから、自分が思っているよりも一個上のお芝居を心掛けて、常に声も張るようにしています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】『六人の嘘つきな大学生』/『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(11月22日公開)

映画2024年11月22日

『六人の嘘つきな大学生』(11月22日公開)  大手エンターテインメント企業「スピラリンクス」の新卒採用の最終選考に残った6人の就活生への課題は「6人でチームを作り、1カ月後のグループディスカッションに臨むこと」だった。  全員での内定獲得 … 続きを読む

生駒里奈が語る俳優業への思い 「自分ではない瞬間が多ければ多いほど自分の人生が楽しい」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年11月20日

 ドラマ・映画・舞台と数多くの作品で活躍する生駒里奈が、ストーリー性のある演劇的な世界観をダンスとJ-POPで作り上げるダンスエンターテインメント集団「梅棒」の最新作、梅棒 19th GIFT「クリス、いってきマス!!!」に出演する。生駒に … 続きを読む

史上最年少!司法試験に合格 架空の設定ではないリアルな高校2年生がドラマ「モンスター」のプロデューサーと対談 ドラマ現場見学も

ドラマ2024年11月17日

 毎週月曜夜10時からカンテレ・フジテレビ系で放送している、ドラマ「モンスター」。趣里演じる主人公・神波亮子は、“高校3年生で司法試験に合格した”人物で、膨大な知識と弁護士として類いまれなる資質を持つ“モンスター弁護士”という設定。しかし今 … 続きを読む

八村倫太郎「俊さんに助けられました」、栁俊太郎「初主演とは思えない気遣いに感謝」 大ヒットWEBコミック原作のサスペンスホラーで初共演『他人は地獄だ』【インタビュー】

映画2024年11月15日

 韓国発の大ヒットWEBコミックを日本で映画化したサスペンスホラー『他人は地獄だ』が、11月15日から公開された。  地方から上京した青年ユウが暮らし始めたシェアハウス「方舟」。そこで出会ったのは、言葉遣いは丁寧だが、得体のしれない青年キリ … 続きを読む

「光る君へ」第四十三回「輝きののちに」若い世代と向き合うまひろと道長【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年11月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。11月10日に放送された第四十三回「輝きののちに」では、三条天皇(木村達成)の譲位問題を軸に、さまざまな人間模様が繰り広げられた。  病を患い、視力と聴力が衰えた三条天皇に、「お目も見えず、お耳 … 続きを読む

Willfriends

page top