【インタビュー】ミュージカル「アナスタシア」葵わかな 2度目のミュージカル出演は「私もまた挑戦したい!」の思いから始まった

2019年11月1日 / 12:00

 米ブロードウェーでロングラン上演され、高い評価を得たミュージカル「アナスタシア」が本国のクリエーティブ・スタッフと日本のキャストによって3月1日から上演される。本作は、第70回アカデミー賞で歌曲賞・作曲賞にノミネートされたアニメ映画『アナスタシア』に着想を得て制作されたミュージカル。1918年に帝政ロシア時代最後の皇帝となるロマノフ2世をはじめ、一族が殺害される中、皇帝の末娘アナスタシアだけは難を逃れて生き続けたという歴史上の謎「アナスタシア伝説」に基づいた物語を描く。主演のアーニャ役は、葵わかなと木下晴香がダブルキャストで出演。「ロミオ&ジュリエット」以来、2作目となるミュージカルに挑む葵に、本作への意気込みを聞いた。

アーニャを演じる葵わかな

-まずは、出演が決まった率直な感想は?

 今年出演させていただいたミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(以下、ロミジュリ)が、私にとって初めての舞台で初めてのミュージカルだったのですが、また次のお話を頂けると思っていなかったので、お声掛けを頂いたときはただ驚きました。「ロミジュリ」のときは、初めての挑戦ということもあり、今やるべきことなのかとか、やって失敗してしまったらどうしようという不安もあったのですが、今回、声を掛けていただいて、やるという選択をしたことが間違っていなかったんだと実感できてうれしかったです。

-もともと、ミュージカルや舞台はお好きだったんですか。

 はい、宝塚が大好きで、高校の3年間は宝塚を追い駆けていました(笑)。その延長線上として、宝塚以外のミュージカルや舞台も見るようになりました。

-では、ミュージカルに出演しようと思ったきっかけは?

 私にとって、ミュージカルは見るもので出るという想定はなかったのですが、「ロミジュリ」を見たときに、このジュリエット役をすごくやりたいと思ったんです。その公演には、大野拓朗さんなど、映像で活躍されている俳優さんもたくさん出ていらっしゃったので、もしかしたら私も頑張ったら出られる可能性があるのかもしれないと思いました。それで、思い切ってオーディションを受けてみようと、歌やダンスを練習して受けさせていただいたんです。ミュージカルに出たいというよりは、ジュリエット役をやりたいという思いでした。なので、「ロミジュリ」をやっていたときは、今後もミュージカルを続けていくということもあまり考えていなかったんです。でも、公演も終わりに近づいてくると、共演者の方たちが「次はこれに出るから見に来て」という話をしていて、みんなには次があるんだということに気づいて…そうしたら、私もまた挑戦したい!って(笑)。それが、今回につながりました。

-実際に出演したことで感じたミュージカルの魅力は?

 舞台に立ってお芝居をすることは、映像と似ているようで全く違いました。今まで身につけてきたものが通じない場面も多くて、私には困難ばかりの現場でしたが、求められたことを返すことができたときは大きな達成感を感じましたし、生でリアクションが聞ける場所でお芝居できることは魅力だと思いました。映像では、その場でお芝居をしているのを見るよりも、編集をして音楽を付けた映像を見る方が感動は増すものだと思いますが、ミュージカルでは皆さんの気持ちをかき立てるような音楽を自分の中から発信できるということも面白いと感じました。

-そんな「ロミジュリ」を経ての本作。原作となったアニメ映画や海外での公演をすでにご覧になったとお聞きしましたが。

 はい。アニメ映画を見ましたが、ただそれは、ミュージカルとはまた少し内容が違うものではあります。ですが、アナスタシア像は変わりませんし、ミュージカル版でもどこか「アニメ感」は損なわれていないので、そこは本作の魅力の一つにもなっていると思います。ミュージカルは、私はスペインで観劇させていただいたのですが、衣装も音楽も舞台装置もブロードウェーのオリジナル版をそのまま引き継いでいる公演なので、素晴らしい完成度でした。舞台装置はハイテクで、ワクワクするような演出もたくさんありますし、楽曲もすてきで、演じることが楽しみになりました。

-今現在、アーニャ役についてはどう捉えていますか。

 記憶がない中、何かに導かれるように、すごく長い距離を旅してパリに向かう女性です。それだけを見ても、すごく意志の強い女性なんだろうなと感じましたし、その強さはもちろん大事にしたいと思っています。ただ、その強さはアーニャの表面上の部分で、実際には心細いこともあるだろうし、記憶がないことで自分の存在がなかったことになってしまいそうな恐怖感も感じているだろう、と。アーニャの強さの陰にあるものも出していけたら、立体的な役になるのかなと思っています。そうすることで、日本人にも共感しやすいキャラクターになると思うので、日本の方に感情移入してもらえるように演じたいです。

 
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