「『せがれの高座、見るんじゃねえのか!』というせりふを書ける宮藤官九郎さんはすごい」中村七之助(三遊亭圓生)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

2019年10月13日 / 20:50

-「いだてん」で感じた宮藤官九郎さんの脚本の魅力は?

 巧みな伏線の張り方や落語の使い方のうまさには、たまらないものがあります。それに加えて、キャラクター一人一人に対して愛情がある。「この人なら、こういうことを言うだろうな」と納得できるせりふを書いてくるところに、深い愛情が感じられます。そういうキャラクターや役者の生かし方と巧みな物語の構成が一体となり、素晴らしい作品に仕上がっていると思います。

-共演場面はありませんでしたが、お兄さんの中村勘九郎さんが演じる金栗四三の印象は?

 金栗さんの真っすぐでストイックなところは、まるで兄を見ているようです。走ることしか考えず、熊本の家族の下にも帰らないという、見方によってはひどい人ですが、ものすごく純粋なので、周りのみんなが支えてくれる。そういうところも、兄にそっくりだなと。ただ、兄は家に帰らないほど、ひどい人間ではありませんが(笑)。真剣にやっていることが面白く見えてしまうというのが、宮藤さんの描きたかった金栗四三像だと思いますが、そういう意味では、兄にぴったりではないでしょうか。

-今後の「いだてん」への期待を。

 第24回までの第1部では、日本人のスポーツに対する考え方を変えていこうと、みんなで一生懸命、畑を耕してきました。ようやく種まきが終わったところで、関東大震災が起きて一度は駄目になりながらも、再び立ち上がった人々の思いを受け継ぎ、東京でのオリンピック開催を目指そうというのが第2部。その間、戦争が起きてくじけそうになりますが、第39回でそれも一段落。この先はその思いがようやく実現していくことになります。第1部から見守ってきた皆さんもきっと「よくここまで来たな…」と実感できるのではないでしょうか。僕自身も、そういう熱い展開を期待しています。

(取材・文/井上健一)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

JT・モルナー監督「この映画の実現は厳しいと言われた時に、『羅生門』を見れば分かると言いました」『ストレンジ・ダーリン』【インタビュー】

映画2025年7月11日

-最初に35ミリフィルムで撮ったというテロップが出ますが、画面の色遣いや音楽の使い方を見ていると、70年代のニューシネマのような雰囲気があると思いましたが、そういう狙いはあったのでしょうか。  その通りです。ただ、それはアメリカ映画に限った … 続きを読む

鹿賀丈史「演じることよりも感じることの方が先だったかなと思います」『生きがい IKIGAI』【インタビュー】

映画2025年7月10日

-2度の災害を経験して行き場のない怒りを抱いている山本が、ボランティアの若者と出会って心が解けていって笑顔を浮かべる場面が印象的でしたが、若者役の小林虎之介さんとの絡みはいかがでしたか。  僕は若い人と芝居をするのがすごくうれしいんです。今 … 続きを読む

千賀健永、頭が良くてゲームが上手な弟に「かわいい復讐心はありました」【インタビュー】

ドラマ2025年7月7日

 トリンドル玲奈が主演するドラマ「レプリカ 元妻の復讐」が、7日23時6分からテレ東系で放送がスタートする。本作は原作・タナカトモ氏、作画・ひらいはっち氏による同名漫画を映像化。整形して別人として生きる主人公・伊藤すみれ(トリンドル)が、人 … 続きを読む

安田顕「水上くんの目に“本物”を感じた」水上恒司「安田さんのお芝居に強い影響を受けた」 世界が注目するサスペンスで初共演&ダブル主演「連続ドラマW 怪物」【インタビュー】

ドラマ2025年7月5日

-そのほか、撮影を通じて特に印象に残ったことがあれば教えてください。 安田 撮影が終盤に差し掛かった頃、原作者のキム・スジンさんにお目にかかる機会があったんです。キム・スジンさんは、それぞれのキャラクターに、ものすごく細かいバックボーンを作 … 続きを読む

TBS日曜劇場「19番目のカルテ」が7月13日スタート 新米医師・滝野みずき役の小芝風花が作品への思いを語った

ドラマ2025年7月5日

-松本さんとは初共演ですね。現場での印象は?  「はい、行くよ!」って声をかけて引っ張っていってくださる兄貴肌です。スタッフの皆さんとも積極的にコミュニケーションを取っていらっしゃる姿も見ますし、松本さんの存在で撮影現場全体が活気づいている … 続きを読む

Willfriends

page top