【インタビュー】舞台「神の子」田中哲司&大森南朋&赤堀雅秋が「物を作ることに純粋で、それに没頭できるという環境」で作り上げる新たな作品

2019年10月11日 / 12:00

 2016年2月に上演された舞台「同じ夢」以来、約4年ぶりに田中哲司と大森南朋、赤堀雅秋のユニットが復活し、コムレイドプロデュース 舞台「神の子」を12月15日から上演する。赤堀の最新作となる本作は、ストーリーなどの全貌はまだベールに包まれているものの、赤堀独特の世界観が漂う作品になることが期待される。田中、大森、そして赤堀に、本作の概要、そして赤堀作品の魅力を聞いた。

(左から)赤堀雅秋、大森南朋、田中哲司

-4年ぶりのユニット復活にどんな思いがありますか。

赤堀 僕自身は、ユニットをやっているという意識はあまりないのですが…。でも、前作の「同じ夢」を上演していたときから、このお二方と「またやりたいね」って話は出ていました。具体的に、いつやるかということはその時点では話していなかったのですが、それがたまたま今だったということです。なので、満を持してということはあまりないんです(苦笑)。

田中 (前作の)舞台の本番中からその話は出ていたね。飲んでいると、最後まで残るのはこの3人なんです。なので、3人で話していて、次も、となったという感じです。

赤堀 通常の仕事はいろいろなしがらみがあるのが常ですが、こういったユニットにはそれがないので、すごく楽しみな企画ではあります。まだ台本もプロットもない状況で、このお二方がやってくださると言ってくれて、今回は、長澤(まさみ)さんをはじめとした、名だたる方たちが参加してくれた。何でもいいよ、好きなものを書きなよと言ってくれるのは、作り手としてはすごくうれしいものです。

-田中さん、大森さんは前作で手応えを感じて、出演を決めたのですか。

大森 僕は一俳優として出ていただけなので、お客さんの反応や手応えがあったかどうかはまったく分かりませんが、ただ、毎日、楽しかった。大先輩の哲さん(田中)と一緒に演じることができて、小劇場に出ていた頃に戻ったような懐かしさもあって、楽しくて自由でした。

田中 僕も楽しいしかなかった。

-赤堀作品というと、内容的にはえぐいものも多いですが、それでも楽しい?

田中 そう、それでも楽しかった。

赤堀 多分、余計なストレスがないんだと思います。ただ物を作ることに純粋で、それに没頭できるという環境が楽しい。もちろん、制作していく過程では、いろいろな問題も出てくるとは思いますが。

-楽しいという言葉がたくさん出ていますが、前回の稽古場の雰囲気は?

赤堀 若い方には少し強めに言ったこともあったかもしれませんが、極めて、粛々とやっていたつもりです。皆さんも、そうやっていたと思います。

大森 ほかの現場と変わらないです。楽しいとは言っても、(前作は)重い内容でしたし、きちんと向き合って、粛々とやりました。「こうかもしれない」と話し合いをしているのが楽しいというだけで。

田中 楽しい稽古場ですよ。僕は、赤堀くんの世界観を大切にするという1点だけは持っていれば、役から外れてもいいと思っているんです。もし、違えば、赤堀くんが「そういうのは必要ないですよ」って優しく叱ってくれるので(笑)。

-(取材時)台本はまだできあがっていないということですが、プロットとなるテキストは公開されています。漠然としたイメージは出来上がっているんでしょうか。

赤堀 そうですね。今は、何が自分に引っかかるか、いろいろと“食べて”みている状況です。そしゃくして、何を吐き出せるかというところですが、漠然と、底辺の人たちがうごめいている雰囲気にしたいなということは思っています。今の世の中の空気感の中で、その人たちがうごめかざるを得ないという悲しみや無常感を出せるものになればと思っています。

-では、タイトルの「神の子」はどこからインスパイアされて出てきたものなのでしょうか。

赤堀 「UFO襲来」とか「なんとか大作戦」みたいな、ばかみたいなタイトルを付けたいなと思って考えていたときに、浮かんだものです。

-田中さん、大森さんはタイトルを聞いて、どんな印象がありましたか。

大森 なかなか大きく出たなって思いました。面白みやばかばかしさも感じますし、でも、名作っぽさがあります。

田中 (赤堀から)誰もが、みんな祝福されて生まれてきた赤ちゃんだったという意味があると聞き、どうとでもつながっていくタイトルなので、いいなと思いました。

 
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