中川晃教「憧れることが原動力」 ミュージカル「サムシング・ロッテン!」で7年ぶりにニック役に挑戦【インタビュー】

2025年11月22日 / 08:00

 数々のミュージカル作品へのオマージュが登場するコメディーミュージカル「サムシング・ロッテン!」が12月19日から上演される。2015年にブロードウェイで初演された本作は、「コーラスライン」、「アニー」、「レ・ミゼラブル」などの人気ミュージカル作品や、シェークスピア作品をほうふつとさせるシーンの数々が舞台・ミュージカルファンの心をくすぐるとして話題となり、2015年のトニー賞では9部門10ノミネート、1部門受賞を果たした。日本では2018年に初演。今回、7年ぶりの再演となる。日本初演からニック役を務める中川晃教に公演への思いを聞いた。

中川晃教 (C)エンタメOVO

 -7年の時を経て再びニックを演じるお気持ちを聞かせてください。

 世の中にはいろいろなコメディーがありますが、コメディーは難しいですよね。いくつかのコメディー作品を経験させていただきましたが、その中で、山田和也さんと一緒にやらせていただいた「FIRST DATE」が僕の中ですごく大きな経験になりました。「アパートの鍵貸します」、「プロミセス・プロミセス」という2作品もそうですが、ブロードウェイの匂いがするミュージカルのコメディー作品を経験させていただいたことで、自分の中に自信がついてきたように思います。中川晃教にコメディー作品の印象を持たれていない方にとって、自分がその中にいることが一つの武器になるのではないかと。もしかしたら武器というほどのことはまだできていないかもしれませんが、温めてきたものなので何かできるのではないかという思いがあります。この作品が再演されることは僕にとってとても大きなことで、すごくうれしいです。

-ニックという役柄についてはどのように感じていますか。また、再演ではどのように深めていきたいですか。

 僕が演じるニックが「シェイクスピアなんて大っ嫌いだ!」と歌うほどの存在のシェイクスピアを加藤和樹さんが演じます。実際のプライベートでは僕たちはお互いに大好き。そういう関係性の僕たちが(嫌い合うという)真逆の関係をやるのが面白いなと思っています。和樹さんと僕は、これまで何度も共演していますが、不思議な組み合わせをいただくことが多いんですよ。今回は(加藤をはじめとした)このキャストの皆さんと一緒に、(演出の)福田(雄一)さんの演出によって、この作品の面白さを再構築し、進化させていかなければいけないと思います。ただ、ニックは引っ張っていくような役でもなくて。どちらかというと、自分のふがいなさにがんじがらめになって、「何とかしなくては」と焦るがあまり、間違ったチョイスをしてしまう人間くさい役だと思います。周りのキャストさんとのバランスの中で、ニックの人間くささが見えてくるのかなと思うと、今回のメンバーでどんなニックが新たに生まれるのかを楽しみにしながら、進化をしていけたらいいなと思っています。

-本作でニックとシェイクスピアは対抗心を持った関係性ですが、中川さんご自身は例えば共演者や同じ業界の方をライバルとして意識して努力したり、ときにはうらやんだりすることはありますか。

 僕自身はこの仕事を怒りの感情でやったことがないと思います。好きでやっている気持ちが大きいんです。なので、ライバルとして張り合うということは僕の中で不自然な感情なんですよ。ただ、切磋琢磨(せっさたくま)して盛り上げるということは世の中にありますよね。僕自身もそうした中でここまでやってきているとは思うのですが、限りなく平和主義で、おのおのの良さを引き立て合える間柄、関係性を築いていくことの方が、僕にとって大事なことです。「ライバルだと思う人って誰なのかな」と考えたこともありますが、特定の誰かというのはいないんです。ただ、もちろん誰かが良い曲を書いていたらチッと思うし、歌がうまかったらチッと思うことはある。そういう意味では、誰もがライバルなのだと思います。

-特定の誰かということではないのですね。

 そうですね。でも、尊敬する俳優さんや「いいな」と思う方はたくさんいらっしゃいます。先日、市村正親さんが主演されていた音楽劇「エノケン」を拝見しましたが、やっぱり市村さんは芝居がすごい。それに松雪泰子さんもお上手でした。そうして本物に触れる瞬間に、いつも自分は「まだまだです」と思います。ライバルというよりははるか遠くにいる方々ですが、そうした方に憧れることが原動力になっているのかもしれません。

-今回、年末年始を挟んでの公演になります。そこで、2026年の目標ややりたいことを教えてください。

 2026年はデビューして25年目に入る年で、一つの節目を迎えます。なので、大きな意味を持った1年にしたいなと思っています。まだ今は出演作品が出ていないですが、いろいろな新しいことにもチャレンジしていこうと思います。絶えず挑戦していくときに、自分の中で、好きだという気持ちを忘れないようにしているんです。例えば、忙しくなると音楽さえ聞く時間がなくなってしまいますが、「歌うことが好きだ。音楽が好きだ」という気持ちに立ち返ることで、より音楽、歌への気持ちが強くなっていくような気がします。好きこそものの上手なれではないですが、「好き」という気持ちを持って、見る人にもそれが作品となって届くように、そしていろいろな自分をお見せできる1年になるように頑張っていきたいと思います。

(取材・文・写真/嶋田真己)

 ミュージカル「サムシング・ロッテン!」は、2025年12月19日~2026年1月2日に都内・東京国際フォーラム ホールC、2026年1月8日~12日に大阪・オリックス劇場で上演。

ミュージカル「サムシング・ロッテン!」


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

浜辺美波「池松壮亮さんから様々な刺激をいただいています」大河ドラマ初出演で豊臣秀吉の妻・寧々を好演【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年4月11日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄の秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの奇跡を描く物語は快調に進行中だ。本 … 続きを読む

佐野晶哉「祖母が泣いて喜んでくれました」 連続テレビ小説初出演への意気込み【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年4月11日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

早乙女太一「“劇団朱雀”という新たなジャンルを作るような気持ちで」早乙女友貴「お祭りを楽しむような感覚で」豪華ゲストと共に3年ぶりの公演に挑む 劇団朱雀「OMIAKASHI」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月9日

 大衆演劇の伝統を大切にしつつ現代的な感性や表現を取り入れ、多くの観客を魅了してきた劇団朱雀。2代目座長・早乙女太一率いるこの一座が、2023年5月以来3年ぶりとなる公演「OMIAKASHI」に挑む。  二部構成で一部は芝居、二部は舞踊ショ … 続きを読む

岸井ゆきの「『死』をポジティブに捉えることで、人生を前向きに考えられる」患者の最期をみとる看護師役を通して芽生えた死生観「お別れホスピタル2」【インタビュー】

ドラマ2026年4月3日

 現代医療のセーフティーネットというべき療養病棟を舞台にした沖田×華のコミックを原作に、死を迎える人が最後に出会う人=看護師の目線で死と生を描いた「お別れホスピタル」。2024年に放送されたこのドラマの続編「お別れホスピタル2」が、4月4日 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第12回「小谷城の再会」豊臣兄弟の運命を左右する出会い【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月2日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。3月29日に放送された第12回「小谷城の … 続きを読む

page top