【インタビュー】「名もなき復讐者 ZEGEN」阿部進之介「『このミス』大賞の受賞作品。そんなに単純なミステリーではありません」馬場ふみか「『正義って何だろう?』と考えさせられました」

2019年9月26日 / 10:00

-阿部さんは、この作品のほか、企画・原案・主演を務めた『デイアンドナイト』(18)など、単純に「正義と悪」で割り切れないものを描いた作品に意欲的に取り組んでいる印象があります。その思いは?

阿部 世の中のルールはルールで、みんながより良く生きるためにあるもの。でも、人間の感情はルールだけでは割り切れません。役者である以上、人間の感情というものを大切にしていきたい。役を通してそれを表現できるのは、やりがいの一つではあります。『デイアンドナイト』は、僕が企画した作品なので、そういう要素を盛り込もうと思って、自ら発信していきました。そういうことが、今回の役を引き寄せたのかなと。

馬場 今回は「正義って何だろう?」とすごく考えさせられました。人それぞれ、自分にとっての善や悪があるので、「これが正義です」とは一概に言えないな…と。

阿部 僕は「復讐したい」と思ったことは一度もありませんが、そういう役を演じる以上、「なぜそう思うのか」というところに寄り添っていかなければならない。そうやって女衒という役を理解しようとするうちに、いつの間にか自分のことになる。そういうふうに、一つの役を受け入れるのは、実際に対面している人間を受け入れることに近いと思うんです。それができると、人として豊かな感情を持てるようになる。だから、役者としてのやりがいはもちろんですが、一人の人間として、自分のためでもあるな…と。

馬場 阿部さんのお話に、ものすごくうなずかされました。今まで、そういうことをきちんと考えたことがなかったので、人間的に成長するいい機会になったと思っています。

-最後に作品の見どころを。

阿部 ミステリーとして、とても面白い作品に仕上がっています。女衒という男が、何を抱え、どこに向かっているのか。その点にぜひ注目してください。

馬場 シュウランは次々と波瀾(はらん)万丈な運命に翻弄されていきます。そんな世界の中で、どんなふうに彼女が強く生き抜いていくのか。そこをぜひ見ていただけたらうれしいです。

(取材・文・写真/井上健一)

 「名もなき復讐者 ZEGEN」(全8話)は、8月29日から毎週木曜深夜0時25分、カンテレで放送(関西ローカル)。放送終了後から動画配信サービスU-NEXTにて配信スタート。

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

高橋一生、平山秀幸監督「アクションはもちろん、人間ドラマとしてもちゃんと娯楽性を持っている作品に仕上がっていると思います」「連続ドラマW 1972 渚の螢火」【インタビュー】

ドラマ2025年10月20日

-高橋さん、沖縄の言葉は大変でしたか。 高橋 真栄田に関しては「ないちゃー(本土の人間)」と言われているような男なので、そこまで大変ではなかったのですが、(小林)薫さんや青木(崇高)さんは結構大変だったと思います。真栄田は彼なりによかれと思 … 続きを読む

オダギリジョー「麻生さんの魅力を最大限引き出そうと」麻生久美子「監督のオダギリさんは『キャラ変?』と思うほど(笑)」『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』【インタビュー】

映画2025年10月17日

-豪華キャストが生き生きとコメディーを演じているのが「オリバー」の人気の理由ですが、そういうアイデアは、現場で出演者の皆さんから出てくる部分も多いのでしょうか。 オダギリ みんなで楽しもう、という雰囲気はあるとは思うんですが、コメディーって … 続きを読む

【映画コラム】初恋の切なさを描いた『秒速5センチメートル』と『ストロベリームーン 余命半年の恋』

映画2025年10月17日

『ストロベリームーン 余命半年の恋』(10月17日公開)  病弱な体のため、学校にも通えず毎日独りで家の中で過ごしてきた桜井萌(當真あみ)。彼女のひそかな夢は、自分の誕生日に好きな人と一緒に見ると永遠に結ばれるという、6月の満月 「ストロベ … 続きを読む

大谷亮平「お芝居の原点に触れた気がした」北斎の娘の生きざまを描く映画の現場で過ごした貴重な時間『おーい、応為』【インタビュー】

映画2025年10月16日

-そうやって出来上がったふわふわとした初五郎の存在が、対照的に絵の道を極めようとする北斎親子の生きざまを際立たせている印象です。北斎親子についてはどのような印象を持たれましたか。  2人とも自分の意志を曲げないので、ことあるごとにぶつかり、 … 続きを読む

黒崎煌代 遠藤憲一「新しいエネルギーが花開く寸前の作品だと思います」『見はらし世代』【インタビュー】

映画2025年10月15日

-団塚監督の印象は? 遠藤 出来上がった映像を見て、びっくりしました。予想だにしないアングルがあったり、編集にも想像がつかないような斬新さがあって面白かった。監督は、撮影中に何か言う時も、この若さでと思うぐらいとても適切でした。言うことが全 … 続きを読む

Willfriends

page top