エンターテインメント・ウェブマガジン
ついに放送が始まったNHKの大河ドラマ「おんな城主 直虎」。このドラマで主人公・井伊直虎(柴咲コウ)の父・直盛を演じているのが、すでに何作もの大河ドラマ出演歴を持つベテラン俳優・杉本哲太だ。領地・井伊谷を守るため、主家・今川家と家臣たちの間で板挟みになる当主であり、一人娘を愛する父親でもある直盛を演じる意気込みと、撮影の舞台裏を聞いた。
あれはすごかったです。一面に田んぼがあって、その中に火の見やぐらやちょっとした通りがあって、もともとそこに川が流れているのですが、その川沿いが断崖絶壁みたいになっていて。よくこんなところを見つけてきたなという場所で撮影させていただきました。前田吟さんとも「風景に圧倒される」という話をしました。そういう自然の力を借りて演じられたのは、すごく大きかったです。
そう思います。最近、あんなに「うわーっ!」と思うオープンセットにはお目にかかったことがありません。久しぶりにオープンセットを見て、テンションが上がりました。すごいですね。
浜松でもロケ撮影があったので、その時に井伊家の菩提寺の龍潭寺や井伊谷城跡などを訪れました。お城の跡に上って風景を見わたしてみたら、自然に守られているような印象を受けました。単に戦国時代の殿さまというだけではなく、ものすごく地域や村の人たちと密着した当主だったんだろうなと。だから、おとわ(新井美羽)と一緒に棚田を歩いてくる場面は、田んぼの風景に目をやりながら歩くという芝居になりました。
すごく優しい人だけど、逆に言えば優柔不断でもあります。上からはたたかれ、家来からも突き上げられる中間管理職的な立場の人で、どちらの意見も分かるので決断できない男です。その上、奥さんからも突かれ、自由奔放な娘からもストレートに物を言われてまた悩み…。板挟みになって答えが出せない殿さまという部分をうまく出せれば、と思って演じています。
財前さんとは久しぶりの共演で、夫婦役は初めてですが、呼吸が合うのでとてもやりやすいです。すごくいい夫婦になっていると思います。
おとわが小さいころ、「おぬしが男であったらのう」とぼやく場面もあるのですが、できれば直親か他の誰かでもいいので、跡を継いでくれる相手を見つけて結婚してくれればと願っていたでしょう。だから、出家して少しずつ彼女の人生が変わっていく様子を、複雑な思いで見守っていたのではないでしょうか。時代こそ違いますけど、娘を愛する気持ちは現代の父親と変わらないと思います。
祖父の代で既に叔母が今川家の人質になっていますし、さかのぼったらもっとその前からいろいろあるでしょうから、井伊家にとってはかなりの存在です。自分の娘や身内を人質に出して関係を保つというのは、想像を絶するようなことだと思うんです。直盛は生まれた時からそうやって育ってきたので、今川家に対して強い思いはあったでしょうね。
いくら優柔不断でも、あまり情けない顔をしていたら、みんなが不安になってしまいますから、普通はそれを隠しますよね。だから、家臣と一緒だったり、何か大事なことを決めたりするようなシーンでは、殿さまらしい表情を心掛けています。逆におとわと一緒のシーンではなるべくそういうのは取り払って、ただの父親のように演じています。
3人で仲良くやっていますね。小声で何を話しているのかと思って聞き耳を立ててみましたけど、仲間には入れてもらえませんでした(笑)。おとわ役の新井美羽ちゃんと共演する場面が多いのですが、芝居がストレートなのでやっていて楽しいです。
何の違和感もなくて、すごいなと思いました。美羽ちゃんが成長して柴咲さんが演じる次郎法師になったみたいで、スムーズに演じられました。打ち合わせをしたのかと思うぐらい自然にバトンタッチしていました。
柴咲さんとは以前も映画で共演したことがあるのですが、今回もやはり存在感がありました。でもそれは、強烈なものというよりも、太陽の光とか自然光みたいな、ナチュラルな存在感です。なんとなく当たり前のようにいるんだけど、実はものすごく強くてなくてはならない存在。改めてそんな印象を受けました。
「翔ぶが如く」(90)の時は“人斬り半次郎”と呼ばれた中村半次郎、「信長 KING OF ZIPANGU」(92)の時は武将の丹羽長秀、「元禄繚乱」(99)では四十七士の不破数右衛門という、どちらかというと勇ましい人物をやらせていただくことが多かったのですが、今回はちょっと違う役を頂けたので、やりがいがあります。
(取材・文/井上健一)
映画2021年3月4日
ベトナム戦争にまつわる実話を、ユニークな視点から描いた『ラスト・フル・メジャー 知られざる英雄の真実』が3月5日から公開される。タイトルは、エイブラハム・リンカーンのゲティスバーグの演説の一節「最後の全力を尽くせ」から取られている。監督・ … 続きを読む
ドラマ2021年3月3日
『桐島、部活やめるってよ』『何者』などで知られる直木賞作家・朝井リョウの小説を原作にしたオムニバスドラマ「世にも奇妙な君物語」が、3月5日からWOWOWで放送開始となる(全5話/第1話無料放送)。世の中を鋭い視点で見つめた斬新なアイデアを … 続きを読む
舞台・ミュージカル2021年3月3日
1990年に公開され、世界中で大ヒットした映画『ゴースト/ニューヨークの幻』のミュージカル版「GHOST」が3月5日から上演される。日本では2018年に初演された本作は、同作で第63回アカデミー賞脚本賞を受賞したブルース・ジョエル・ルービ … 続きを読む
映画2021年3月3日
ホリプロ60周年を記念した映画『NO CALL NO LIFE』が3月5日から公開される。本作は、壁井ユカコの同名小説を原作に、親からの愛情を知らずに育った主人公の女子高生・有海と、同じ境遇の不良少年・春川の、痛いほどに切ない恋を描いた青 … 続きを読む
ドラマ2021年3月2日
手塩に掛けて育てた藍葉が虫害に遭い、苦境に陥った家業を助けたい一心から、母・ゑい(和久井映見)に頼み込み、父・市郎右衛門(小林薫)に無断で、他の村から藍葉を買い付けてきた栄一(吉沢亮)。それを怒られるのではないかと、庭に積まれた藍葉の山を … 続きを読む