【インタビュー】ミュージカル「ドン・ジュアン」蓮佛美沙子「そこまでドン・ジュアンを愛しきることができるのはちょっとうらやましい」

2019年8月22日 / 12:00

 ヨーロッパを中心に広く知られる「ドン・ジュアン伝説」を、フェリックス・グレイ作曲による情熱あふれる名曲でミュージカル化した「ドン・ジュアン」。世界各国でフレンチミュージカルとして大好評を博し、2016年には本作でも潤色・演出を務める生田大和の演出により宝塚歌劇で日本初上演されて大きな話題を呼んだ。物語の舞台はスペイン。ドン・ジュアンは女と酒、そして快楽を求め続け、数多の女たちを魅了していくが、やがて「愛の呪い」に苦しんでいく…。ドン・ジュアンを演じるのは初ミュージカルとなるKis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔。そして、ドン・ジュアンが一瞬にして恋に落ちるヒロインのマリアを蓮佛美沙子が演じる。今回は、蓮佛に本作に懸ける思いや、演じる役についてなどを語ってもらった。

マリア役の蓮佛美沙子

-ミュージカルは2018年の「リトル・ナイト・ミュージック」以来の2回目となりますが、本作への出演が決まったときの心境は?

 ここまでのラブストーリーを映像のお仕事でもやったことがなくて、それにスペインの人たちのように情熱的に動いていく役をやったことがなかったですし、フラメンコなどのダンス経験があまりないので、大変そうだなと思いました。

-稽古前からフラメンコのレッスンを受けていたそうですが。

 単純な動きは覚えればできるんですけど、やっぱり先生が踊ると手首のしなやかさとか、内からあふれ出る情熱がすごかったです。フラメンコは悲しみを忘れるための踊りだったそうなんですけど、そういう根本的なことも教えていただきました。もちろん振りも大事ですけど、パッションなどの気持ちを大事にすべきだとレッスンで感じました。

-レッスンを始めた頃に比べて今の手応えは?

 ダンスは大変だけれど、家でも勉強したり、なんとか付いていくようにしています。共演者の方々がいい人たちなので、体を動かすことが楽しいというのが救いです(笑)。稽古で、みんなとコミュニケーションを取るようになるにつれて、より良いクオリティーのものにできるように頑張りたいという気持ちになってきています。

-この作品に懸ける思いは気合十分のようですね。

 もう気合しかないぐらいです(笑)。本読みでも、生田さんが「挑戦できる人たちと一緒に新しい『ドン・ジュアン』を作りたかった」とおっしゃっていて、藤ヶ谷さんも初めてのミュージカルで、彼にとっても挑戦だし、私にとっても挑戦です。みんなそれぞれ越えなきゃいけないものがあることで、より勇気づけられていますし、本当に素晴らしい作品なのでその良さがそのままお客さまに届けられるように頑張らなきゃいけないという気合はあります。

-芸術家で、婚約者がいるにも関わらすドン・ジュアンに引かれていくマリアという役をどのように捉えていますか。

 ラファエルという婚約者がありながら、ひどい女性だなと思いながら見ていました(笑)。亡霊の呪いによって、マリアもそうなってしまったという解釈もできますけど、そこまでドン・ジュアンを愛しきることができるのはちょっとうらやましいです。芸術家として自立した女性という印象を受けたので、今までドン・ジュアンが出会ってきた女性たちとは違う、母と子の関係にも見えなくもない、それぐらい自立した女性というところは大事にしたいです。

-蓮佛さんから見てドン・ジュアンとはどんな男性ですか。

 彼の根っこにある寂しさとか、本当は甘えたかった気持ちとか、本人すら気付いていない愛を渇望している感じに引かれてしまうのは分からなくもないです。「本当はそんな人じゃないのかな?」と思うことがあるんですけど、その時点で私はだまされるタイプだなと思います(笑)。頭では拒絶するけど、ありとあらゆる女性が求めにいってしまう男性としてそれぐらい魅力的で、踏み入れたくなる何かはあると思います。

-藤ヶ谷さんとの共演はいかがですか。

 藤ヶ谷さんとは連ドラで2回共演していて、人となりも分かっていたつもりなんですけど、稽古を一緒にやってみると、ものすごくピュアなんです。好青年で真面目だし、プレッシャーを感じているそうなんですけど、稽古場では全然そんなふうには見えなくて、軽やかに悩んでいる感じが座長として頼れる存在です。

-好青年の藤ヶ谷さんがドン・ジュアンという役を演じることをどう思いますか。

藤ヶ谷さんは形容しがたい色気がある人だなと思っていましたけど、そういう天性の、出そうと思って出せるものじゃない色気みたいなものが、それこそ立ち姿みたいなものからある方です。いろんな女性に囲まれるシーンの稽古ではすごくうれしそうにしていて、「全然、プレーボーイじゃないじゃん」と思いましたけど(笑)。でも、役に入ったときには色気や孤高さが出ていてすてきです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

「光る君へ」第十六回「華の影」まひろと道長の再会から窺える物語展開の緻密さ【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年4月27日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。4月21日に放送された第十六回「華の影」では、藤原道隆(井浦新)率いる藤原一族の隆盛と都に疫病がまん延する様子、その中での主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の再会が描かれた。  この … 続きを読む

宮藤官九郎「人間らしく生きる、それだけでいいんじゃないか」 渡辺大知「ドラマに出てくる人たち、みんなを好きになってもらえたら」 ドラマ「季節のない街」【インタビュー】

ドラマ2024年4月26日

 宮藤官九郎が企画・監督・脚本を手掛けたドラマ「季節のない街」が、毎週金曜深夜24時42分からテレ東系で放送中だ。本作は、山本周五郎の同名小説をベースに、舞台となる“街”を12年前に起きた災害を経て建てられた仮設住宅のある“街”へと置き換え … 続きを読む

【週末映画コラム】全く予測がつかない展開を見せる『悪は存在しない』/“反面教師映画”『ゴジラ×コング 新たなる帝国』

映画2024年4月26日

『悪は存在しない』(4月26日公開)  自然豊かな高原に位置する長野県水挽町は、東京からもそう遠くないため移住者が増加し、緩やかに発展している。代々その地に暮らす巧(大美賀均)は、娘の花(西川玲)と共に自然のサイクルに合わせたつつましい生活 … 続きを読む

志田音々「仮面ライダーギーツ」から『THE 仮面ライダー展』埼玉スペシャルアンバサダーに「埼玉県出身者として誇りに思います」【インタビュー】

イベント2024年4月25日

 埼玉県所沢市の「ところざわサクラタウン」内「角川武蔵野ミュージアム」3Fの EJアニメミュージアムで、半世紀を超える「仮面ライダー」の魅力と歴史を紹介する展覧会『THE 仮面ライダー展』が開催中だ。その埼玉スペシャルアンバサダーを務めるの … 続きを読む

岩田剛典 花岡の謝罪は「すべてが集約された大事なシーン」初の朝ドラで主人公・寅子の同級生・花岡悟を熱演 連続テレビ小説「虎に翼」【インタビュー】

ドラマ2024年4月25日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「虎に翼」。明律大学女子部を卒業した主人公・猪爪寅子(伊藤沙莉)は、同級生たちと共に法学部へ進学。男子学生と一緒に法律を学び始めた。そんな寅子の前に現れたのが、同級生の花岡悟だ。これから寅子と関わっていく … 続きを読む

Willfriends

page top