【インタビュー】『今日も嫌がらせ弁当』篠原涼子「子どもが反抗しても、見守っているよという思いが伝われば」

2019年6月28日 / 05:30

 圧倒的クオリティーのキャラクター弁当が注目を集めた「kaori(ttkk)の嫌がらせのためだけのお弁当ブログ」を書籍化した『今日も嫌がらせ弁当』が映画化され、6月28 日から公開される。本作で、反抗期の娘(芳根京子)への伝えられない思いをキャラクター弁当に込めた母を演じた篠原涼子に、映画の裏話や、弁当や家族について聞いた。

篠原涼子(写真 : 田中舞)

-今回の普通のシングルマザーという役柄についてはどう思いましたか。

 原作をとても面白く読んで、kaori(ttkk)さんはどんな方なんだろうという興味が湧きました。それで、この本を書いた人にスポットを当ててみたいと思いました。ごく普通の家庭の奥さんでも、その一人一人にスポットを当ててみれば、さまざまな努力の跡がうかがえると思います。今回はその一つを描いたという感じがします。なかなかこうした作品とは出会う機会がないので、今回はとてもいい経験になりました。

-では、実在の人物を演じることについてはいかがでしたか。

 塚本(連平)監督から、原作者のkaori(ttkk)さんのイメージに近い衣装にしたいと言われたので、衣装はkaori(ttkk)さんがよく着ているというチェック柄のものがほとんどです。あとはメークと眼鏡で見た目をkaori(ttkk)さんに似た感じにしました。ただ映画は、リアリティーよりも分かりやすさの方が大事なので、もちろん実物のkaori(ttkk)さんとは違うところもたくさんあります。ご本人にも撮影前にお話をして了解していただきましたが、お話をする中で「朝、娘を起こすときはラテンダンス風に踊っていた」など、映画に取り入れた部分もありました。ただ、あのシーンは自分の中ではふに落ちていませんが…(笑)。

-この映画のテーマは、嫌がらせとは名ばかりの究極の愛情弁当ですが、ご自分の子どもさんに嫌がらせ弁当を作ったことはありますか。

 嫌がらせ弁当を作ったことはないです。うちの息子は普通のお弁当ですら食べてくれない時期があったので、嫌がらせをしたらもっと食べてくれなかったかもしれません(笑)。幼稚園のときに、「まずは栄養よりも、僕、全部食べられたよという感覚を覚えさせることが大切」だと教えられたので、完食できるように、息子の好物の唐揚げやウインナーや卵焼きを入れて作っていました。

-では、弁当とはどういうものだと思いますか。

 お弁当は愛の塊だと思います。お弁当は、作ってくれた人がその場にいなくても、その人の顔が浮かびます。中身を見て、作ったときの様子や気持ちを想像しながら、かみしめながら食べるところがあります。なので、作ってくれた人の深い愛を感じるものだと思います。

-ご自分の息子さんにもやがて反抗期が来ますね。

 そのことは最近よく考えます。相手は男の子で異性なので、どうやって対抗していこうかなと。頭ごなしに怒っても駄目だと思うので、息子の意見をちゃんと聞いて、コミュニケーションを取っていければいいなと思います。ただ、息子の出方によって対応は変わると思うので、それを考えると今からドキドキします。

-演じた役とご自身のお子さんとの接し方で共感できる部分はありましたか。

 うちは男の子で、会話も多く、今はコミュニケーションも取れているので、映画とは状況が違います。でも、いつかは反抗期が来て、この映画のようになるのかなとは思いました。そういう意味では、自分の子もこうなるかもしれないと考えながら、覚悟をしながら演じたところはありました。ただ、反抗期は誰にでも訪れるものだし、成長の証しでもあるので、むしろ健康的で喜ばしいものだと思います。だから反抗期が来たら、「よし来たぞ」という感じで、楽しみながら乗り切れればいいかなと思います。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

染谷将太 天才絵師・歌麿役は「今までにない感情が湧きあがってきた」 1年間を振り返る【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月15日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語も、残すは12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」の … 続きを読む

「べらぼう」ついに完結! 蔦重、治済の最期はいかに生まれたか?「横浜流星さんは、肉体的にも作り込んで」演出家が明かす最終回の舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月14日

 NHKの大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、12月14日放送の最終回「蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)」を持ってついに完結し … 続きを読む

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

DAIGO「クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、『パーシーのクリスマス急行』にぜひ乗車してください」『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』【インタビュー】

映画2025年12月12日

 イギリスで最初の原作絵本が誕生してから80周年を迎えた人気児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』が12月12日から全国公開された。シリーズ初のクリスマスムービーと … 続きを読む

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

Willfriends

page top