【インタビュー】『小さな恋のうた』森永悠希「5人で知恵を絞ったおかげで、とてもいいバンドになりました」

2019年5月31日 / 17:38

 5月24日に全国公開された『小さな恋のうた』は、MONGOL800のヒット曲をモチーフに、音楽に情熱を注ぐ沖縄の高校生たちの姿を描いた鮮烈な青春映画だ。本作では、佐野勇斗、山田杏奈、眞栄田郷敦、鈴木仁といった若手俳優たちが5カ月に及ぶ特訓を経て披露した熱気あふれる演奏シーンや、みずみずしい演技が見どころとなっている。中でも、これまで自主的に磨いてきた見事なドラムの腕前を披露しているのが森永悠希。メンバーの中で最年長という立場で取り組んだバンド練習の舞台裏や、演技に込めた思いを聞いた。

森永悠希

-本格的な演奏場面は大きな見どころですが、練習はどのように?

 正確な演奏はもちろんですが、一番大事にしたのは“バンドっぽさ”です。「お芝居ではなく、本当のバンドになってほしい」と言われていたこともあり、バンドとしての空気作りに重点を置きながら、演奏も上達するように…という方向で進めていきました。

-“バンドっぽさ”という点では、具体的にどんなことを?

 最初に僕から「アイコンタクトを大事にしよう」と提案させてもらいました。「楽器は初めて」というメンバーが多い中で、一応、僕にはドラムの経験もあり、他の4人よりもバンドの音楽を聴いている数も多いと思ったので…。ライブの映像などを見ながら、「こうすれば、いいバンドに見えるのでは?」みたいな話をして、最終的にそれが自然にできるようにすることを目標にしました。

-そういう意味では、森永さんがメンバーを引っ張っていった感じでしょうか。

 年上の僕に、みんなが付いてきてくれた感じです。僕が最年長ということで、スタッフさんとディスカッションをする機会も多かったので、「皆さんの思いも大事にしたい」という気持ちから、やや厳しいことを言ったこともありました。でも、そうやって5人で知恵を絞っていったおかげで、一つのバンドとしてまとまった気がします。先日、イベントで全員そろってお客さんの前で演奏する機会があったのですが、みんなすごくいい表情をしていて…。会場全体も盛り上がったので、本当にいいバンドになったな…と。僕も、普段は一人でドラムをたたいていることが多いので、バンドという形で演奏できたのは、すごく楽しかったです。

-お芝居の面では、森永さんが演じた池原航太郎は、みんなのために一生懸命頑張るキャラクターですが、共感する部分はありましたか。

 自分に似ているな…と(笑)。僕自身も人のために何かをしてあげたくなるタイプで、自分を後回しにしてしまうようなところがあります。もっとうまく立ち回れたら楽なのに…と自分を戒めることもありますが、小さな頃から培われた性分は、なかなか変えられません(苦笑)。そういう意味では、空回りしてしまう航太郎の気持ちも理解できましたし、自分とリンクする部分が多かったので、とても入りやすかったです。

-撮影は沖縄で行われたそうですが、現地の風景にインスピレーションを受けた部分はありますか。

 沖縄の海からは、ものすごくインスピレーションを受けました。実は、大事なシーンで航太郎が海にお祈りする場面は、台本にはなかったんです。でも、航太郎は漁師の息子だし、自然を大切にして、ガジュマルの木を拝むような人。それならば、海も大事にするはず…と思い、アドリブでやらせてもらいました。

-そういうアドリブは、普段からよくするのでしょうか。

 そうですね。お芝居では、その場で感じたことが一番大事だと思っているので、「相手がそうくるなら、こう返すのが普通だよね」というふうに、臨機応変に変えていくようにしています。もし駄目なら、監督が「駄目」と言ってくれるはずですから。

-共演した皆さんとのお芝居で、そういうアドリブ的なことは?

 スタジオで亮多(佐野勇斗)と口論になる場面の後半はアドリブです。かなり勢いよくまくし立てさせてもらいました(笑)。他にも、僕が起点になって「カットが掛かるまで、芝居を続けてください」と言われることも多かったです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【週末映画コラム】“原爆の父”と呼ばれた男は一体何者だったのか『オッペンハイマー』/80年代と現代が交錯しながら合体している『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』

映画2024年3月29日

『オッペンハイマー』(3月29日公開)  才能にあふれた物理学者のロバート・オッペンハイマーは、第2次世界大戦中、核開発を目的とした米政府のマンハッタン計画において、原子爆弾開発プロジェクトの委員長に任命される。  だが、実験での原爆の威力 … 続きを読む

岡本圭人、岡本健一と2度目の親子共演への思い 「成長した姿を見せられたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2024年3月27日

 若村麻由美と岡本圭人、岡本健一が出演する舞台「La Mère 母」と「Le Fils 息子」が2つの劇場で同時上演される。同作は、劇作家フロリアン・ゼレールによる家族三部作のうちの2作で、若村が主演する「La Mère 母」は日本初上演、 … 続きを読む

「光る君へ」第十一回「まどう心」互いの思いとは裏腹に、さらに開くまひろと道長の距離【大河ドラマコラム】

ドラマ2024年3月23日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「光る君へ」。3月17日に放送された第十一回「まどう心」では、藤原兼家(段田安則)によるクーデター“寛和の変”の事後処理、およびそれに伴う主人公まひろ(吉高由里子)と藤原道長(柄本佑)の行動が描かれた。  兼 … 続きを読む

【週末映画コラム】4K復元版で「ドル3部作」を一挙上映『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『続・夕陽のガンマン 地獄の決斗』

映画2024年3月22日

 監督セルジオ・レオーネ、音楽エンニオ・モリコーネ、主演クリント・イーストウッドという伝説のトリオが放った「ドル3部作」(「ドル箱3部作」と表記されることも多い)が、マカロニ・ウエスタン誕生60周年を記念し、4K復元版として3月22日から一 … 続きを読む

「生への回帰というのがこの映画の目指したところです」荒木伸二監督、若葉竜也『ペナルティループ』【インタビュー】

映画2024年3月21日

 朝6時、いつものように目覚めた岩森淳は、恋人の砂原唯(山下リオ)を殺した溝口登(伊勢谷友介)を殺害する。翌朝目覚めると周囲の様子は昨日のままで、なぜか溝口も生きている。そして今日もまた、岩森は復讐(ふくしゅう)を繰り返していく。荒木伸二監 … 続きを読む

Willfriends

page top