【インタビュー】『ドラゴンボール超 ブロリー』野沢雅子 30年にわたって変わらない秘訣は「能天気に生きている」こと

2019年5月31日 / 12:00

 全世界興収130億円超えの大ヒットを記録し、日本のみならずアメリカでも大ヒットを記録した『ドラゴンボール超  ブロリー』のブルーレイ&DVDが6月5日に発売される。1986年に初めてアニメ化されて以来、30年以上にわたって、主人公の孫悟空(後に、孫悟飯、孫悟天など複数人を担当)の声を演じている野沢雅子に、「ドラゴンボール」への思い、そしてサイヤ人3人の壮絶な闘いを描いた本作の見どころを聞いた。

野沢雅子

-シリーズが始まって30年を超え、劇場版は本作が記念すべき20作目になります。

 そう、20作目なんですよね! 一番面白いですよ、今までの映画の中で!

-ここにきて、一番面白いと言える作品ができるというのは素晴らしいことですね。

 本当に素晴らしいことだと思います。それはもちろん、鳥山明先生のお力もありますし、スタッフの力も大きいと思います。主役は、皆さんに支えられて、上に持ち上げてもらって成り立つものだと思っているので、私にとっては皆さんがすごく大切な存在です。自分一人でできることではないと思っているので。

-とはいえ、「ドラゴンボール」が始まってからすでに30年、野沢さんの変わらないお声と熱量には脱帽します。変わらない秘訣(ひけつ)があるのですか。

 私は、能天気に生きているからだと思いますよ(笑)。皆さんは、いろいろなことを考えながら生きているのだと思いますが、私は、命さえあればどうにかなるっていう生き方だから。だって、考えたって、どうにかなることじゃないでしょう? なるんだったら考えるけれど、ならないんだったら自然に変わってくれればいいって。そういう考え方だから、変わらないままでこられたのかなって思います。

-長きにわたって、悟空だけでなく、悟飯、そして悟天と「ドラゴンボール」だけでも何役もこなされていらっしゃいますね。本作では、悟空、悟飯、そしてバーダックを演じられましたが、演じ分けはどのようにされているのですか。

 パッと切り替わります。何がどうやって切り替わるのかは、自分でも答えられないんです、自然とストンストンって切り替わっていくから。

-新たに役が増えていっても自然と?

 そうなんです。例えば、本作ではバーダックという「お父さん」が出てきますが、それも自然と。でも、(演じているキャラクターは)みんな、血のつながりはありますから、そういう点では違和感もないのかなとは思います。この役だからこうしようっていうことは、一度も考えたことがないんです。絵の中にスーッと入っていって出た言葉が、その役になっちゃうんです。

-では、野沢さんから見て、本作の一番の魅力は?

 バトルです。ずっと戦っていました。収録が終わったときに、「ねえ、今日、私、せりふ言った?」って思わず言ってしまったほど戦っていたんですよ(笑)。でも、それも悟空らしい。

-圧巻のバトルシーンでした。

 作画的にも新しい試みがありましたが、それに加えて監督さんがかなり入り込んで作ってくださいました。私たちも毎回、真剣に戦っていますが、やはり監督さんたちが作ったものに乗っかっていくので、今回はまたいつもと違っていました。達成感を感じるほど、素晴らしい戦いだったと思います。それから、今回はブロリーの物語がポイントでもあります。ブロリーはかわいそうな人ですよね。かわいそうって思っちゃいけないのかもしれないですし、そう思うならその生き方を何とかみんなで変えてあげるっていうことが理想なんでしょうが…。引かれるキャラクターではあると思います。

-改めて、この30年を振り返ってみると、どんな思いがありますか。

 もう30年たったのか、というのが正直な気持ちです。毎週、収録がありますから、常に一緒にいるような気持ちで、そのまま30年たちました。悟空が何か行動したら、一緒になってスッと入っていって行動しているので、改めて年数を考えることはないのですが、30年と言われるとすごいことだなって思います。

 
  • 1
  • 2

関連ニュースRELATED NEWS

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

DAIGO「クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、『パーシーのクリスマス急行』にぜひ乗車してください」『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』【インタビュー】

映画2025年12月12日

 イギリスで最初の原作絵本が誕生してから80周年を迎えた人気児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』が12月12日から全国公開された。シリーズ初のクリスマスムービーと … 続きを読む

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(8)百年ぶりの復活へ 四代目が掲げた三つの大願

舞台・ミュージカル2025年12月4日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。    2016年に四代目・玉田玉秀 … 続きを読む

Willfriends

page top