【インタビュー】『デイアンドナイト』清原果耶「プロデューサーの山田孝之さんから『清原さん自身が奈々に見える』という言葉を頂き、とても励まされました」

2019年1月26日 / 12:00

-「人間の善と悪」というテーマについては、奈々という役を演じてどんなふうに感じましたか。

 完成した映画を見終わった後、言葉が出てきませんでした。本当に深いテーマだなと…。自分の中でも善と悪はその時々で変わりますし、感情や感性で左右される部分もあるでしょうから…。言葉が出てこなかったのは、今の私の経験値では「これが善、これが悪」と言い切ることができないからなんだろうと。北村(健一/安藤政信)さんのように法に触れることはよくないと思いますが、私も北村さんの立場になってみたら、どうするか分かりませんし…。ただ、そういうふうに、自分と相いれない相手の立場に立って考えてみることは大事だと思います。

-藤井監督は「この作品で描きたかったものの一つが“血のつながらない家族の愛”」とおっしゃっています。最近は血のつながらない家族を描く作品が増えてきていますし、奈々も養護施設で血のつながらない家族と一緒に生きてきた少女です。血のつながらない家族については、どんなことを感じていますか。

 難しい問題だと思います。実際にその立場にいる方たちからしてみれば、私に自分たちの気持ちが理解できるはずはない、と思われてしまうかもしれませんから…。ただ、血がつながらなくても、大切にし合えて、互いに思いやれる相手であれば、「家族」と名乗るのは悪いことではないと思っています。

-清原さんは現在16歳だそうですが、お話を伺っていると物事を深く考える姿勢に驚かされます。この作品の他にも、これまでドラマ「透明なゆりかご」(18)や映画『3月のライオン 前編/後編』(17)などで難しい役を演じてきたと思いますが、そういう作品を通してご自身の視野が広がった部分はありますか。

 あります。作品によって考えることも、感じることも違いますが、この作品も含めてここ最近は生命や生きることをテーマにした作品に参加させていただく機会が多く、いろいろと考え直すきっかけをいただきました。おかげで、生きることや日常の出来事など、当たり前だと思っていることがそうではないんだなと気付くことができました。だから、そういったことを考え続けながら、充実した日々を送れるようにしたいな…と今は思っています。

(取材・文/井上健一)

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