【インタビュー】『のみとり侍』鶴橋康夫監督「この作品に登場する江戸の人々のたくましさは、今の人たちにも共感してもらえるはず」

2018年11月2日 / 15:41

-なるほど。

 ただ、映画の結末は原作とは少し変えています。そこには「人は一人では生きていけない」という僕のロマンチシズムが出て、ちょっと非現実的でシュールになっています。「甘い」と言われるかもしれないけど、そういうところは昔から変わりません(笑)。本当は、映画の最後に「登場人物たちのその後」も出したかったんです。寛之進がどうなったとか、松重豊さん演じる殿様がどうなったとか…。いろいろな事情があって実現しませんでしたが(笑)。

-人々が生き生きとしているという点では、俳優陣も魅力的です。主演の阿部寛さんをはじめ、物語の中心となる男優陣の印象をお聞かせください。

 阿部さんは、とにかく熱心。この作品では、柔軟な芝居を見せてくれました。彼が寛之進を演じてくれて、本当に良かったと。僕の大学の後輩でもあるので、やっぱりかわいいですよね。清兵衛役の豊川悦司さんは、僕にとって今や欠かせない俳優。この2人は、これからの日本映画を引っ張っていく存在であることは間違いありません。僕の中ではそういう未来がはっきりと見わたせる俳優です。この2人がいれば大丈夫。だから、僕の体力と気力が続くうちに、あと2本ぐらいは彼らとやりたいです。

-佐伯友之介役の斎藤工さんは?

 彼は本当に勉強熱心で、本人が監督もやっているせいか、現場では役柄だけでなく、テレビと映画の違いについても質問してくる。阿部さんや豊川さんよりも若いし、たどってきたキャリアも違うけど、居住まいがいいので、野心的な破壊力を身に付けて、2人にぶつけたら面白いことになるんじゃないでしょうか。そういう意味では、斎藤さんも僕の中では未来が見える俳優の1人です。

-また別の作品で、この3人の共演を見てみたい気がします。

 僕はいつも、出てくれた俳優の皆さんの次の作品のことを考えています。だから、会う人、会う人、みんなが「次はどんな作品?」と聞いてくるんです。今回の阿部さん、豊川さん、斎藤さんともまたぜひ一緒にやりたい。今度は現代劇で切迫した男のドラマなんか面白いんじゃないでしょうか。甚兵衛を演じてくれた風間杜夫さんは、もう40年近い付き合いなので、風間さんにも加わってもらって。やっぱり、人は1人では生きられませんから、役者さんやスタッフに囲まれているのが一番です。これからもずっと、次の作品のことを考えていきたいです。

(取材・文/井上健一)

阿部寛(左)に演技指導をする鶴橋康夫監督

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

戸塚祥太&辰巳雄大、ビートルズの結成初期を描いた「BACKBEAT」がついにFINAL 「今回だけのビートがそこに生まれる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年3月26日

-戸塚さんの忘れられない瞬間も教えてください。 戸塚 僕はJUONくんのお芝居です。物語の後半で、ジョンが「Twist And Shout」を歌う前に、ポールがはやし立てるんですが、そのシーンがすごく好きで、毎回、袖から見ていました。JUO … 続きを読む

木村佳乃「私が声優をやるなら小田急線のロマンスカーがいいです」『映画 きかんしゃトーマス いっしょに歌おう! ドレミファ♪ソドー島』【インタビュー】

映画2026年3月25日

-先ほど、子ども向けの仕事に携わりたいという夢があったと伺いました。それが今回かなった感じですけど、その辺りはいかがですか。  昔Eテレで「ゴー!ゴー!キッチン戦隊クックルン」という番組を2年間ぐらいやりました。その時に、すごくいろんなとこ … 続きを読む

【映画コラム】3月前半の公開映画から『私がビーバーになる時』『ウィキッド 永遠の約束』『スペシャルズ』

映画2026年3月24日

『ウィキッド 永遠の約束』(3月6日公開)  オズの国の隠された真実を知り、それぞれの道を歩むことになった「悪い魔女」エルファバ(シンシア・エリボ)と「善い魔女」グリンダ(アリアナ・ グランデ)。2人の溝が深まる中、オズの国は“カンザスから … 続きを読む

天宮沙恵子プロデューサー「最終話では、ようやく未来と颯太の間で明かされる真実があります」火曜ドラマ「未来のムスコ」【インタビュー】

ドラマ2026年3月24日

-続けて、将生役の塩野瑛久さんについては。  今までに見たことのない塩野さんを見たいという思いでキャスティングしました。最初は、塩野さんもわれわれも、将生をどういうふうに描いていこうか、結構悩みながら作っていった感じでした。塩野さん自身も「 … 続きを読む

佐々木大光「新たな気持ちで、フラットに見ていただけるとうれしい」 悔しい気持ちを乗り越えて挑む「ダッドシューズ 2026」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年3月24日

 KEY TO LITの佐々木大光が主演する「ダッドシューズ 2026」が4月16日から上演される。2025年、惜しくも完走できなかった本作がさらにパワーアップして復活。“ダッドシューズ”と呼ばれる古臭いデザインのシューズを手に入れた主人公 … 続きを読む

page top