【インタビュー】『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』窪田正孝「アニメでなければできない表現が満載」広瀬アリス「カッコいいバトルシーンだけでなく、人間ドラマにも注目してほしい」

2018年10月5日 / 18:14

-完成した映像を見た感想は?

窪田 もう、別世界でした。アニメでなければできない表現が満載で…。例えば今、実写映画を渋谷のど真ん中で撮影しようと思っても、なかなか難しい。まして、無人の渋谷なんて絶対に無理。アクションシーンにしても、例えばユウナ(声:悠木碧)というキャラクターは大きな棺桶型の武器を持って走り回るけど、実写ではあんなことできない。僕もアクションをやりますが、三味線を背負って戦うだけでも、ものすごく大変ですから(笑)。でも、アニメであれば、そういうものを実写以上に迫力ある映像として作ることができる。そういうところがアニメの特権だなと、今回改めて思いました。

広瀬 東京の風景がリアルに描かれているのが楽しかったです。工事中の場所などもそのままなので、よりリアリティーが増したし、そういう見慣れた風景が崩壊していくのも面白くて…。普段は絶対に見られないですからね(笑)。しかも、バトルシーンは迫力があるだけでなく、色彩的にもとても美しいんです。思わず見入ってしまいました。声を録音したときに想像していた以上のものが出来上がっていたので、本当に今のアニメーションはすごいなぁと…。

-お二人が考えるこの作品の魅力とは?

窪田 若い子向けなのかと思っていたら、実は大人に向けた部分もすごく多い。例えば、「人間は必ずしも正義ではない」という指摘ですが、目の前に害虫がいた場合、駆除するのは人間にとって当たり前のことだけど、害虫の立場に立てば、俺たちだって生きている、ということになる。でもそれができるのは、人間は自分たちが頂点にいると思っているからで、人間にとって都合のいい考え方をしていることも少なくないんだなと。そういうふうに、アニメだからこそできる設定を生かした今までとは違う視点の物語からは、いろいろなことに気付かされました。

広瀬 カッコいいバトルシーンはもちろん大きな見どころですが、「戦って、勝って、めでたしめでたし」というだけではないんです。ソラとカナタの友情やトウヤ(声:細谷佳正)とユウナの兄妹の絆とか、いろいろな人同士の関係が描かれています。とてもシンプルだけど「子ども向け」という枠に収まらない、しっかりとした人間ドラマにも注目してほしいです。

窪田 子どもの頃に見たアニメって、大人になっても心の中に残りますよね。そういう意味で、これが子どもたちの心に残ってくれたらいいなと。何十年かたって大人になったとき、その子たちのルーツになってくれたら、この作品をやった意味がもっと生きてくるのではないでしょうか。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)XFLAG

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

早見沙織「プレデターの新しい魅力をこの映画から感じていただけると思います」『プレデター:バッドランド』【インタビュー】

映画2025年11月19日

-アニメーションの声優としての活動が中心ですが、こうした映画の吹き替えとの違いはありますか。  私の個人的な感覚になりますが、マイクの前で自分の心を動かしながら表現をすることは変わらないので、ベースの部分はあまり違いがないと思います。ただ吹 … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】「ユミの細胞たち」の原作者、ウェブトゥーン作家イ・ドンゴン

インタビュー2025年11月17日

▽キム・ゴウンはユミ役にぴったり  –ドラマ化にはどのくらい関わっていますか。   事前にクリエーターと何回かミーティングをしました。物語の順序を入れ替えてみようとか、どこまで表現していいかなどを事前に話し合いました。ウェブトゥ … 続きを読む

尾上眞秀「お母さんやおばあちゃんが喜んでくれました」寺島しのぶの長男が舘ひろしとの共演で映画初出演『港のひかり』【インタビュー】

映画2025年11月14日

-撮影で特に印象に残った場面を教えて下さい。  近所の少年たちにいじめられた幸太が大雨の中、おじさんの家の前で黙って座り込んでいるシーンが、すごく印象に残っています。カメラに綺麗に映るように、大量の雨を降らせていたので、その水圧がものすごく … 続きを読む

『物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家の物語』(7)神々がすむ土地を語る

2025年11月14日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈  銭湯の湯け … 続きを読む

ハリウッド・リメイク決定!インド発ノンストップ・アクション!「日本の皆さんにも楽しんでいただけるはず」ニキル・ナゲシュ・バート監督『KILL 超覚醒』【インタビュー】

映画2025年11月13日

-その結果、完成したこの映画では、強盗団が使う刀やナイフのほか、列車備え付けのシャッターや消火器、乗客の荷物など、一見武器になりそうにない身近なものを使った多彩なアクションが見所です。そういうアイデアはどこから生まれたのでしょうか。  私は … 続きを読む

Willfriends

page top