「禁門の変で来島又兵衛を討ち取る場面は、大事に演じさせていただきました」泉澤祐希(川路利良)【「西郷どん」インタビュー】

2018年7月22日 / 20:50

 ついに明治維新へ向けて動き出した大河ドラマ「西郷どん」。第27回では長州軍と幕府軍が京の町で激突する“禁門の変”が勃発した。その激戦の最中、長州軍を率いる来島又兵衛(長州力)を得意の銃で討ち取ったのが、薩摩藩士・川路利良。以後、西郷吉之助(鈴木亮平)の下で戦い抜きながらも、明治維新後にたもとを分かち、「西郷暗殺の刺客を送った男」と呼ばれることとなる。演じるのは連続テレビ小説「ひよっこ」(17)で注目を集めた若手俳優・泉澤祐希。役に込めた思いや撮影の舞台裏を聞いた。

川路利良役の泉澤祐希

-今回の出演が決まったときの感想は?

 大河ドラマへの出演は3回目になりますが、これほどしっかり芝居をさせていただくのは今回が初めて。だから、とてもうれしかったです。歴史上の人物を演じるときは、何をした人なのか実感が湧かないことも多いのですが、川路さんは警察を作った方とのこと。それを知って、責任を感じるのと同時にやりがいを覚えました。

-禁門の変が描かれた第27回では、初登場でいきなり長州の来島又兵衛を討ち取る見せ場がありましたね。

 まるでスナイパーです。僕はアクション映画が好きで、スナイパーが主役の映画を見たときも「かっこいい!」と思っていたのですが、まさか自分がやることになるとは(笑)。とはいえ、来島を討ち取る場面は、その功績で川路が認められていく上に、物語も大きく動く部分なので、大事に演じさせていただきました。

-演じる上で工夫した部分はありますか。

 川路は、銃を撃つときのフォームも他の兵とは違うんです。照準を素早く定められる腕前を持っているので、そういうところで差別化を図るように、どんなフォームがいいのか、銃の先生と相談した上で撮影に臨みました。ただ、その銃がものすごく重くて…。当時の本物と同じ重さなのですが、これを持ちながら走って戦っていたのかと思うと、改めてすごいなと。

-川路はこれから吉之助の下で幕末の動乱を戦い抜くことになりますが、川路にとって、吉之助はどんな存在でしょうか。

 先生です。いろいろな意味で大きい存在で、すごく懐が深い。今は全てを任せて、信じて付いていこうと思いながら演じています。

-史実では、川路は後に西郷とたもとを分かつことになりますが、そのあたりは意識していますか。

 まだ全然考えていません。今は意見の相違もなく、どう一緒に行動していけばいいのかと考えている段階なので。明治維新が実現して警察ができた後は、考えも変わってくると思いますが、それはそのときに考えようかと。ただ、藩のため、みたいな小さな理由ではなく、日本を良くしたいという、国全体のことを考えての行動だったんだろうな…とは思っています。

-吉之助を演じる鈴木亮平さんの印象は?

 とてもストイックです。せりふの言い方はもちろん、歩き方やたたずまいも常に意識されていて。リハーサルの場でもずっと「こうした方がよくなるんじゃないか」と考えていて、「川路がこのせりふを言った方が、場が締まるんじゃない?」などと提案していただいたり…。常に作品のことを考えているその姿勢は、ものすごく尊敬します。

-鈴木さんとはどんなお話を?

 仕事の話はそれほどしていませんが、一緒に筋トレに連れて行ってもらっています。現場に行くと皆さん体がすごく大きいので、一緒にいる僕が子どもみたいに見えてしまうんです。そこで「鍛えたい」と相談したら、トレーニングの方法を親身になって教えていただきました。今はそこが大きなコミュニケーションの場になっています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

稲垣吾郎「想像がつかないことだらけだった」ハリー・ポッターの次は大人気ない俳優役で傑作ラブコメディーに挑む【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月13日

 稲垣吾郎が、2026年2月7日から開幕するPARCO PRODUCE 2026「プレゼント・ラフター」で傑作ラブコメディーに挑む。本作は、劇作、俳優、作詞、作曲、映画監督と多彩な才能を発揮したマルチアーティスト、ノエル・カワードによるラブ … 続きを読む

DAIGO「クリスマス気分を盛り上げてくれる作品なので、『パーシーのクリスマス急行』にぜひ乗車してください」『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』【インタビュー】

映画2025年12月12日

 イギリスで最初の原作絵本が誕生してから80周年を迎えた人気児童向けアニメ「きかんしゃトーマス」の劇場版『映画 きかんしゃトーマス サンタをさがせ!パーシーのクリスマス急行』が12月12日から全国公開された。シリーズ初のクリスマスムービーと … 続きを読む

高橋克典「これは吉良の物語でもあるのだと感じていただけるような芝居をしたい」 堤幸彦「『忠臣蔵』は、演劇的に言えば1丁目1番地的な作品」 舞台「忠臣蔵」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月10日

 元禄時代に実際に起こった仇(あだ)討ちを題材に歌舞伎などで取り上げられて以来、何度もドラマ化、映画化、舞台化されてきた屈指の名作「忠臣蔵」が、上川隆也主演、堤幸彦演出によって舞台化される。今回、吉良上野介を演じるのは、高橋克典。高橋はデビ … 続きを読む

生田斗真が驚きの一人二役!「最初から決まっていたわけではありません」制作統括・藤並英樹氏が明かす舞台裏【大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」インタビュー】

ドラマ2025年12月8日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」。“江戸のメディア王”と呼ばれた“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の波乱万丈の生涯を描く物語は、まもなくクライマックスを迎える。謎の絵師“写楽”が、蔦重の下で歌麿(染谷将太)ら当 … 続きを読む

板垣李光人「最初から、戦争を考えて見るのではなく、実際に見て感じたことを広めていっていただければ、それが一番うれしいです」『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』【インタビュー】

映画2025年12月5日

 戦争がもたらす狂気を圧倒的なリアリティーで描き、第46回日本漫画家協会優秀賞を受賞した武田一義の戦争漫画をアニメーション映画化した『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』が12月5日から全国公開された。太平洋戦争末期、激戦が繰り広げられたペリリ … 続きを読む

Willfriends

page top