「演じる上では、小松帯刀の“気高さ”を大事にしています」町田啓太(小松帯刀)【「西郷どん」インタビュー】

2018年7月29日 / 20:50

 幕府軍と長州が京の町で激突した“禁門の変”をきっかけに、戦乱の火ぶたが切って落とされた大河ドラマ「西郷どん」。主人公・西郷吉之助(鈴木亮平)は、薩摩軍の総司令官として幕末の動乱を戦い抜くこととなる。そんな吉之助を支え、薩摩藩の実務を取り仕切るのが、家老の小松帯刀。演じる町田啓太が、時代劇初挑戦となる本作に懸ける意気込みと、「花子とアン」(14)以来となる鈴木亮平との共演について語ってくれた。

小松帯刀役の町田啓太

-出演が決まったときのお気持ちは?

 実は以前からいろいろなところで「時代劇をやってみたい」と言っていたんです。だから、お話を頂いたときは本当にうれしかったです。ただ、大河ドラマと聞いて、ものすごく驚き、動悸(どうき)が激しくなりました(笑)。

-小松帯刀の印象は?

 頭脳明晰(めいせき)なエリートで、人格的にも立派な人だと書かれた文献がたくさん残っていました。だから、読めば読むほどプレッシャーを感じて、「大丈夫かな…?」と(笑)。僕はどちらかというと、勉学に励むよりも体を動かすことが多かった方なので。

-ご自身と共通する部分はありますか。

 僕は今、28歳ですが、実は小松帯刀が薩摩藩の家老職に就いたのも28歳。それを知って、同い年の僕は、同じような視点で物事を見ることができるだろうかと、改めて考えさせられました。だから、国のため、藩の将来のために奔走するとはどういうことなのか、しっかり調べて向き合わなければと思いました。

-演じる上で、事前にどんな準備をしましたか。

 普段から役を演じるときは、そのキャラクターにきちんと寄り添うことを心掛けています。今回は実在の人物なので、リスペクトする気持を忘れず、できる限りご本人のことを調べた上で現場に臨もうと。そうしないと、せりふをしゃべっていても説得力が出ませんから。そのため、文献を読むだけでなく、撮影に入る前に鹿児島に行き、お墓参りをして、小松さんが育った土地の空気を肌で感じてきました。そういう経験の中からキャラクターを膨らませていけば、見てくださる方に何かを届けられるはずだと信じています。

-小松帯刀に関するエピソードで印象に残っているのは?

 たくさんありますが、特に印象的だったのが、温泉にまつわる話。温泉が大好きで、霧島温泉や指宿温泉など、いろいろな所に行かれていたそうです。坂本龍馬が夫婦で薩摩を訪れたときも、そのお膳立てをしたという記録まで残っているほど。それぐらい温泉に詳しかった人ですが、単に好きなだけでなく、気取らずに普通の人たちに混じって入浴していたそうです。上級武士でも、裸で温泉に入れば身分は分かりません。だから、そこで地元の人たちが話している本音を聞いて、時には上役に進言するなど、政治に役立てていたのだとか。そういうところからも、広く人の話を聞く耳を持っていたことが分かります。

-時代劇初挑戦の感想は?

 ドキドキでした(笑)。事前に(鈴木)亮平さんから聞いていたのですが、扮装をしてセットに入ると、そこから受けるパワーがものすごい。圧倒される部分もありますが、その中でお芝居ができる喜びの方が大きくて、毎回、気持ちが高揚しています(笑)。

-難しさを感じる部分はありますか。

 全てが難しいです。所作はもちろんですが、せりふ一言でも当時のにおいみたいなものを大事にしなければいけませんし…。現代劇と違い、感情だけでできない部分がたくさんあります。技術が必要だと痛感しました。ただ、第一線で活躍されている先輩方とご一緒させていただけるので、とても勉強になります。

-鈴木亮平さんとは「花子とアン」以来の共演とのことですが、今回改めて共演した感想は?

 「花子とアン」の頃からストイックな方でしたが、今回も初めて会ったとき、本格的に体作りをされている様子を見て衝撃を受けました。完全に西郷隆盛にしか見えません。とはいえ、真面目なだけでなく、チャーミングなところもあり、みんなを笑わせて場を和やかにしてくれる。その包容力はすごいなと…。亮平さんが現場の空気を作ってくださっていたので、僕も思い切って飛び込むことができました。本当にいろいろなことを勉強させてもらっています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

長尾謙杜&山田杏奈&石原慎也(Saucy Dog)が話題の映画でタッグ!「主題歌が主人公たちの気持ちを表している」『恋に至る病』【インタビュー】

映画2025年10月24日

 10月24日公開の『恋に至る病』は、TikTokで話題になるなどティーンを中心に絶大な支持を集める斜線堂有紀のベストセラー小説を映画化した話題作だ。  内気な男子高校生・宮嶺望と学校中の人気者・寄河景。同じクラスになった2人は距離を縮めて … 続きを読む

市毛良枝「現代の家族のいろんな姿を見ていただけると思うし、その中で少しでもホッとしていただけたらいいなと思います」『富士山と、コーヒーと、しあわせの数式』【インタビュー】

映画2025年10月23日

 祖父の他界後、大学生の拓磨は、夫に先立たれて独り残された祖母・文子と同居することになった。ある日、拓磨は亡き祖父・偉志の書斎で、大学の入学案内を見つける。それは偉志が遺した妻・文子へのサプライズだった。市毛良枝とグローバルボーイズグループ … 続きを読む

林裕太「北村匠海さんや綾野剛さんとのつながりを感じました」期待の若手俳優が先輩2人と作り上げた迫真のサスペンス『愚か者の身分』【インタビュー】

映画2025年10月22日

 10月24日から全国公開となる『愚か者の身分』は、第二回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を映画化した迫真のサスペンスだ。新宿の歌舞伎町で、犯罪組織の手先として戸籍売買を行う松本タクヤ(北村匠海)とその弟分・柿崎マモル、タクヤの兄貴 … 続きを読む

南琴奈「今までに見たことがないような映画を楽しんでいただけたらと思います」『ミーツ・ザ・ワールド』【インタビュー】

映画2025年10月22日

 芥川賞作家・金原ひとみが新宿・歌舞伎町を舞台に描き、第35回柴田錬三郎賞を受賞した同名小説を、松居大悟監督、杉咲花主演で映画化した『ミーツ・ザ・ワールド』が10月24日から全国公開される。二次元の世界を愛し、自己肯定感の低い主人公の由嘉里 … 続きを読む

timelesz・橋本将生「『大切な人を守りたい』という気持ちは共感できる」 菊池風磨のアドバイスも明かす【インタビュー】

ドラマ2025年10月21日

 timeleszの橋本将生が主演するドラマ「ひと夏の共犯者」(テレ東系)が毎週金曜深夜24時12分~放送中だ。本作は、大学生の主人公・岩井巧巳(橋本)が、推しのアイドル・片桐澪(恒松祐里)との夢のような同居生活を送るうちに、彼女の中にもう … 続きを読む

Willfriends

page top