【インタビュー】『ジュラシック・ワールド/炎の王国』 製作・脚本コリン・トレボロウ「今回の大きなテーマは、恐竜と人間との関係であり、恐竜に対する共感や感情移入を追求することでした」

2018年7月4日 / 10:00

 テーマパーク「ジュラシック・ワールド」が、恐竜たちによって破壊された事件から3年。オーウェンとクレアは、火山活動を始めた島から恐竜たちを救い出そうと行動を開始するが…。シリーズ5作目に当たる『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が7月13日から公開される。前作『ジュラシック・ワールド』を監督し、今回は製作・脚本を担当したコリン・トレボロウが公開を前に来日し、『ジュラシック・ワールド』3部作全体に流れるテーマや、今後の展開について語った。

製作・脚本のコリン・トレボロウ Photo:Kazuhiko Okuno

-本作は、これまでのどのシリーズ作よりも、人間ドラマに重点が置かれていたと感じました。

 今回の大きなテーマは、動物、つまり恐竜と人間との関係であり、恐竜に対する共感や感情移入を追求することでした。もちろん、人間同士の共感や思いやり、あるいは人間としての責任も描きたかったので、その結果、とてもドラマチックな作品に仕上がったと思います。前作は、2時間の間、皆さんに思いっ切り楽しんでもらうために作りました。本作は、そこからさらに発展した奥深く豊かな物語であり、人間と恐竜との関係をより深く描くことになりました。3作目では、この後、登場人物がどうなっていくのかをしっかりと描きたいと思っています。

-本作は、前作でパンドラの箱を開けてしまった結果、それにどう収拾をつけていくかを描いているとも言えますね。

 前作のラストは、島の中で大災害があって、その結果、恐竜たちは解き放たれるのですが、それでも彼らはまだ島の中にいました。ですから人間社会にとっては、大事には至っていません。けれども、そこからさらにストーリーを前進させるためには、今われわれが当たり前だと思っている生態系のバランスを崩すことが必要でした。そこで、恐竜たちを島から出して、われわれが住む世界に連れてくることにしました。3部作の中間に当たる本作にはそうした流れが必要でした。ですから、まさに“プリズンブレーク(=脱獄)というチャプター(=章)になったわけです。今は、われわれが当たり前だと思っていた世界がそうではなくなるところまで、話を持ってきたところです。

-本作は、恐竜が夜、人間を襲うシーンが目立っていました。

 前作は、朝から始まって夜中までという、1日の経過を追う形で描きましたが、本作は何日かにわたる物語であり、新たな展開に向かって話が進んでいくので、オープニングで、みんなが慣れ親しんだジュラシック・パークっぽいものを見せたいと思いました。それを見せて、「では次に進むよ」とする意図がありました。そこからいろいろな出来事があって、最後はまた夜のシーンに戻り、今後何が起こるか分からないとなって、ぐるっと一周したという感じです。

-トレボロウさんは「今回はよりダークなテーマに挑戦した」と述べています。また、製作のスティーブン・スピルバーグは「シリーズの中で、モンスターが最初に登場する映画であり、恐竜とモンスターを掛け合わせた最初のハイブリッド映画」と語っていますが、その理由は?

 3部作の2作目ということで、よりダークで深いテーマが扱えると思いましたし、1作目を見た子どもたちも、3年たてば、より複雑な物語を理解し、吸収できるとも思いました。また、今回、監督に起用したJ・A・バヨナは、サスペンスホラーを描くことに長けているので、見ている人を怖がらせる表現方法の引き出しをたくさん持っています。なので、彼が本領を発揮できる環境を整えることが僕の仕事でした。

-今回は製作・脚本に回り、監督をJ・A・バヨナに任せた理由は?

 僕が彼を推薦し、(製作の)スピルバーグとフランク・マーシャルも、彼が監督した映画を見て、賛成してくれました。その理由は、観客にずっとこのシリーズを愛してもらうためには、物語はつながっているけれど、2作目で、映像や表現に、異なった感覚をもたらしてくれる人の存在が必要だと考えたからです。それは、僕が好きな3部作の映画で、監督を代えることで成功したものがあるからです。また、スピルバーグから「3作目の監督をしてくれ」といわれた時点で、その間に別の監督を入れるのはいいアイデアだとも思いました。そこで、僕の一番のお気に入りであるバヨナにお願いしました。実際に彼と仕事をしてみると、学ぶことがとても多かったし、僕自身も、監督としてより成長することができたと思っています。

 
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