【2.5次元インタビュー】ブームを席巻中!「2.5次元ミュージカル」の魅力に迫る 業界をけん引するプロデューサー・松田誠

2018年7月3日 / 17:27

 漫画、アニメ、ゲームなどのいわゆる2次元作品を、3次元化した舞台作品「2.5次元ミュージカル」。現在、年間150万人以上の観客動員を記録し、さらなる発展が見込まれるカルチャーとして高い注目を集めている。しかしながら、それがどんなものなのかを知らない人も多いのではないだろうか。今回は、日本2.5次元ミュージカル協会の代表理事を務め、演劇プロデューサーでもある松田誠氏に、「2.5次元ミュージカル」の定義、そしてその魅力を聞いた。

ミュージカル『テニスの王子様』15周年記念コンサート Dream Live 2018 (C)許斐 剛/集英社・NAS・新テニスの王子様プロジェクト(C)許斐 剛/集英社・テニミュ製作委員会

-2.5次元ミュージカル(以下、2.5次元)が生まれた背景を、日本2.5次元ミュージカル協会代表理事というお立場からご紹介ください。

 ここ数年で急激にタイトルが増えて一つの流れになっていますが、起源という意味では、宝塚歌劇団の『ベルサイユのばら』までさかのぼれると思っています。いわゆる2.5次元の台頭というと、ここ10年ぐらいだと思います。

-歌舞伎で『ワンピース』や『NARUTO-ナルト』を原作とした作品が上演され、大きな話題を呼びましたが、そういった作品とのすみ分けはどうお考えですか。

 まず、お客さまの年齢層が違います。演劇界において2.5次元のお客さまは、若い層が圧倒的に多いんです。そういう意味では、2.5次元のライバルは歌舞伎や欧米のミュージカルというよりは、ディズニーランドなんです。若い人の多くはディズニーランドに行きますよね。それと同じ感覚で、劇場に来てくれるためにはどうしたらいいか、ということを考えているので、既存の演劇ファンを取り込もうという感覚ではやっていません。新規のお客さんを開拓し、もっとたくさんの人に舞台に触れてもらいたいと考えています。

-そもそも、2.5次元の若いお客さんは、2.5次元の何に引かれているのでしょうか。

 どの2.5次元作品においてもお客さまの大半は原作ファンが多いと思います。なので、2次元の原作が持つ世界観が、3次元の舞台上で再現されていることにまず一番引かれているんだと思います。ただ、最近では、2.5次元の中でもスター的な俳優も出てきていますし、乃木坂46が『セーラームーン』を演じるというように、役者のファンから2.5次元の舞台に入るお客さまも増えていますね。

-ここからは、演劇プロデューサーとしてお話をお聞かせください。松田さんは、2.5次元を代表する作品として知られるミュージカル『テニスの王子様』(以下、「テニミュ」)をはじめ、数々の大ヒット作をプロデュースされ、2.5次元の先駆者として業界をけん引する存在となっています。「テニミュ」はどういった発想からスタートしたのですか。

 それ以前から、漫画やアニメは舞台との親和性があるということは感じていたのですが、(「テニミュ」初演)当時、『テニスの王子様』は原作の人気が高く、アニメ化もされていて、これを男の役者だけでできたら面白いなと思ったのが最初の発想でした。当時は単純に、自分がやる舞台化の題材を探していて、何か面白いものをと考えていたら漫画原作があったという感じです。

-なるほど。では、作品を作っていく上で、どのようなことを意識していらっしゃるんですか。

 正解は常に原作にあると思っているので、舞台にするために原作を無理やり歪めるのはよくないと思っています。でも、それはメンタル的なものなので伝わりにくいと思うんです。だから、僕がいつもまずこだわるのは役者を使ったチラシなどのビジュアルです。原作ファンが、「自分の大切な漫画を舞台・ミュージカルにするのはやめて」って思うのは当然の心理。だからこそ、僕らがビジュアルを出したときに、その世界観がきちんと再現されていると思ってもらいたいんです。そうすれば、少しは安心できるでしょうし、見てみようかなと思ってもらえる。もちろん、中身も、演出家と話し合いますし、舞台化するにあたって原作の何を捨てるか、大切にするのは何かなどじっくり判断しながら丁寧に作っていきます。

-松田さんがプロデュースをされているミュージカル『刀剣乱舞』は、1部をミュージカル、2部をライブという構成で話題になりました。最近では、ライブを行う公演が増えたり、役者がステージを降りて歌って踊ったりと、より楽しむことに特化したステージが多くなったと感じています。そもそも、松田さんがこういった「楽しむためのステージ」を作ろうと思われたのは、どんなお考えがあったのですか。

 あらゆるエンターテインメントの中において、演劇が勝っているものは生(LIVE)であるということだと思うので、生の特性はなるべく生かしたほうがいいと思っています。その生を実感するために、お客さまにも舞台に参加してもらう。でも、実際にはお客さまに舞台に上がってもらうことは難しいので、役者が舞台から降りていくんです。役者が横を通ったときに、風が起きる。この感覚は生だからこその体験です。例えば、役者と目が合うというだけでもテンションが上がりますよね。一種の魔法です。もちろん、それが全てだとは思いませんが、僕は使えるものはなんでも使った方がいいと思っています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

尾上松也「金田一耕助を演じる喜びがふつふつと」奥智哉「今の時代にふさわしい作品に」名作ミステリー映画で共演『八つ墓村』【インタビュー】

映画2026年9月18日

 横溝正史原作の名作ミステリーが、令和の時代によみがえる!これまで繰り返し映像化されてきた『八つ墓村』が装いも新たに映画化され、9月18日から全国公開となる。  岡山県の山奥にひっそりとたたずむ八つ墓村で起きる連続殺人の謎に、名探偵・金田一 … 続きを読む

有村架純、石田ひかり、姫野花春「見終わった後ですごく幸せな気持ちになれる映画です」『さとこはいつも』【インタビュー】

映画2026年9月18日

 沖田修一監督が、年齢も育った環境も異なる3人の「さとこ」という女性の人生が交差していく様子をオリジナルストーリーで描いた『さとこはいつも』が、9月18日から全国公開。本作で、35歳の沙都子を演じた有村架純、55歳の里子を演じた石田ひかり、 … 続きを読む

見上愛「樹里ちゃんは周りを安心させる空気感を持っている」上坂樹里「愛さんが私を直美にしてくれました」主演の2人が撮影を振り返る【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年9月17日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

丸山隆平「きっと誰も見たことがないものになる」 舞台「water」で挑む半自伝的作品【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年9月14日

 丸山隆平と、演劇団体マームとジプシーの主宰を務め、劇作家・演出家として注目される藤田貴大が企画し、作り上げる舞台「water」が9月27日から上演される。本作は、丸山の記憶の断片を散りばめながら、藤田の視点で見つけた京都という土地、そして … 続きを読む

倉悠貴 豊臣兄弟を支える軍師・黒田官兵衛を好演中「最後までしっかり演じ切りたい」【大河ドラマ「豊臣兄弟!」インタビュー】

ドラマ2026年9月13日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」(総合 毎週日曜 夜8:00~ほか)。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=羽柴秀長/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中だ。劇中、軍師 … 続きを読む

page top