【インタビュー】『レディ・プレイヤー1』スティーブン・スピルバーグ監督「皆さんを、空想と希望のある世界にいざないたかった」

2018年4月19日 / 11:11

 ゴーグル一つで全ての夢が実現するVRワールド「オアシス」で繰り広げられるトレジャー・ハンティングの冒険を描いたスティーブン・スピルバーグ監督作『レディ・プレイヤー1』が、4月20日から公開される。13年ぶりに来日したスピルバーグ監督に話を聞いた。

スティーブン・スピルバーグ監督

-本作には、1980年代へのオマージュはもちろん、『シャイニング』(80)、『市民ケーン』(41)、『素晴らしき哉、人生!』(46)、そして三船敏郎と、監督自身がお好きな古い映画もたくさん引用されていました。80年代とこれらを混在させた理由は?

 まず、私は80年代が大好きなんです(笑)。アーネスト・クラインの原作は2041年が舞台でしたが、文化的には80年代が中心に描かれていました。そして、もしディストピア(反ユートピア)に陥ったら、人々は、一番安泰な時代に回帰したいという気持ちになると思いました。映画も、テレビも、音楽も、ファッションも含めて、文化が王様で、文化が素晴らしかった時代、非常に善良で穏やかだった時代に。
 個人的には、80年代には私に最初の子どもが生まれました。またアンブリン・エンターテインメントを設立した時代でもあります。そして恋をしました(笑)。ですから、私にとっても80年代はとても重要な意味を持っています。そうした思いが今回の原作とぴったり合ったのです。
 文化をリードするのはやはり映画だと思います。この映画に登場する古い映画は、80年代にインパクトを与えた映画群だと思います。でも『素晴らしき哉、人生!』の「友ある者は残敗者ではない」というせりふの引用を、分かってくれる人はほとんどいませんが…(笑)。

-監督は、実際にVRゲームをプレーしたことはあるのでしょうか。

 プレイステーションで「マリオ」などをやりました。最初にやったときはゴーグルを外したくありませんでした(笑)。ゴーグルを外したときの「何だ地球じゃないか」というがっかりする感じが嫌でしたね。VRでは、360度、全方向の体験ができたので、信じられないような世界だと思い、魅了されました

-もし監督が「オアシス」の中に入ったとしたら、どんなアバターを選ぶのでしょうか。

 私が一番好きなカートゥーンキャラクターのダフィー・ダックです。この映画を作っているときに、みんな自分のアバターを選びました。私の中にはダフィー・ダックが存在しています。羽根が欲しいんです(笑)。

-森崎ウィンを起用した理由と、彼の魅力についてお話ください。

 彼が笑うと、私も笑顔になれます。機嫌が悪いときでも、ウィンの笑顔を見るとすぐに気分がよくなってしまいます(笑)。それから、私には4人の娘がいますが、彼を起用すれば全員がこの映画を見てくれると思いました(笑)。彼はハンサムでカリスマ性もあるし、何よりいいやつなんです。ですから、たくさんの日本人の俳優の中から彼に決めました。

-以前「80年代はイノセントで楽観的な時代だった」と発言されていました。では、監督は、現代はどんな時代だと感じているのでしょうか。この映画のようなディストピアに向かっているとお思いでしょうか。

 この映画はあくまでフィクションです。ディストピアに向かっているとは思いません。ただ、今はとても好奇心が強く、シニシズム(冷笑的)な時代だと思います。80年代と比べると、人が人を信用しなくなっています。そして今のアメリカは思想的にも半分に分かれ、信頼や信用がなくなってきています。この映画を作りたかった大きな理由の一つは、そうしたシニシズムから逃げたかったから。皆さんを、空想と希望のある世界にいざないたかったのです。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【映画コラム】主要登場人物はたった1人のサスペンス劇『THE GUILTY/ギルティ』

映画2019年2月16日

 主要登場人物はたった1人というユニークなサスペンス劇『THE GUILTY/ギルティ』が2月22日から公開される。  警官のアスガー(ヤコブ・セーダーグレン)は、ある事件をきっかけに、現場を退き、緊急通報指令室のオペレーターを務めていた。 … 続きを読む

【インタビュー】『笑顔の向こうに』高杉真宙、初の医療作品で体験した「濃厚な時間」 新しい自分も発見

映画2019年2月14日

 日本歯科医師会の全面協力のもと、歯科医療の現場を舞台に、歯科技工士・大地ら若者たちの成長を描いた青春映画『笑顔の向こうに』(15日公開)。主演として初の医療作品に携わった高杉真宙が、作品に込めた思いや撮影時の様子、同作を通して見つけた新し … 続きを読む

【ライブリポート】佐藤流司率いるThe Brow Beat、ワンマンツアーファイナルで見せた「進化」

アイドル2019年2月13日

   デビューからわずか5カ月で日比谷野外大音楽堂での単独公演を成功させ、とどまることない勢いで突き進むThe Brow Beatが2ndツアー「The Brow Beat Live Tour 2019“Hameln”」の最終公演 … 続きを読む

「宮藤くんは、円喬と孝蔵の関係に、僕と自分自身を重ねているのかなと感じることも」松尾スズキ(橘家円喬)【「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」インタビュー】

ドラマ2019年2月10日

 予選会で世界記録を更新し、日本初のオリンピック出場を目指す金栗四三(中村勘九郎)。だがその前には、数々の困難が立ちふさがる。その奮闘を軽妙に彩るのが、ナビゲーターを務める落語家・古今亭志ん生(ビートたけし)の話芸。本作では、四三の物語と並 … 続きを読む

【映画コラム】くしくも実現した“マン対決”『ファースト・マン』と『アクアマン』

映画2019年2月9日

 まずは、人類史上初めて月面に立った男、ニール・アームストロング(ライアン・ゴズリング)を主人公に、デイミアン・チャゼル監督が、米宇宙計画の裏側を描いた『ファースト・マン』から。  本作の舞台となる1960年代は、まだ携帯電話もパソコンもな … 続きを読む

page top