「精忠組は他の俳優がうらやましがるぐらい、いい雰囲気でした」増田修一朗(有馬新七)【「西郷どん」インタビュー】

2018年6月17日 / 20:50

-改めて振り返って、出演が決まったときのお気持ちはいかがでしたか。

 うれしかったです。有馬新七という人物を1年ほど演じましたが、これまでの役者人生で同じ役をこんなに長くやったことはありません。まして劇中で20歳近く年を取るような役も初めて。だから覚悟もありつつ、楽しみにしていました。不安やプレッシャーよりも、挑戦する気持ちの方が大きかったです。

-役作りはどのように?

 史実を勉強したところ、有馬は頭が切れる上に剣術にも長けた文武両道の人物ですが、性格的には直情型だったことを知りました。ただ今回は、知的な人物として瑛太くんの大久保一蔵がいます。だから、そういう部分は彼に任せて、僕は“武”の部分や感情のままに突っ走る薩摩隼人の危うさみたいなものを表現しようと考えました。ドラマを面白くするためには、その方がいいだろうと。

-吉之助や仲間たちとにぎやかにやっていた序盤に比べて、最近はシリアスな雰囲気も漂っていました。その辺りの有馬の変化はどのように捉えましたか。

 実際にあった出来事を変えることはできません。だから、最初のうちは吉之助を中心とした仲間たちの強い絆をしっかり表現した上で、それが次第に変化していくギャップを見せたいと考えていました。そうすることで、僕らが動乱に巻き込まれていくインパクトも強くなりますから。

-精忠組のメンバーと一緒に過ごした感想は?

 有起哉さんを先頭に、他の俳優がうらやましがるぐらい、いい雰囲気で過ごすことができました。みんなの内面にあるものと役に共通する部分が多く、一緒に食事をしたり、世間話したりといったことが、そのまま役作りになって、本番の雰囲気につながっていました。だから、その時間を過ごせなくなるのは寂しいです。新八(堀井新太)なんか、「増田さんがいなくなると寂しいなぁ」と、2カ月ぐらい前から言っていましたから(笑)。あんまり何度も言うので、「早くいなくなってほしいのか?」と(笑)。

-精忠組の中では一足先に去ることになりましたが、何かお言葉は?

 あのメンバーの中では僕が一番、世の中の認知度が低かったので、初めて顔を合わせたとき、「なぜここにいるんだろう?」と思ったぐらいです。寺田屋騒動があることも最初から分かっていたので、「僕にできるかな?」と心配でしたが、何とかやってこられたのはみんなのおかげです。心から感謝しています。最後まで一緒にやりたい気持ちはありますが、仕方ありません。後はみんなに任せて、僕は行く末を見守っていきます。

(取材・文/井上健一)

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