【インタビュー】『ワンダー 君は太陽』スティーブン・チョボスキー監督「フェイシャル・ディファレンスの子どもたちが、この映画のおかげで人生が変わったと言ってくれました」

2018年6月12日 / 12:00

 『スター・ウォーズ』が大好きで、宇宙飛行士に憧れる10歳の少年オーガスト。どこにでもいるごく普通の子だけど、ちょっと違うのは、遺伝子の疾患で人とは異なる顔で生まれてきたこと。そんな彼が、みんなと同じ学校に通い始めたことでさまざまな経験を重ね、成長していく…。『ワンダー 君は太陽』(6月15日全国公開)は、全世界800万部突破のベストセラー小説を、天才子役ジェイコブ・トレンブレイ、ジュリア・ロバーツら豪華キャストで映画化した感動作。公開に先駆けて来日したスティーブン・チョボスキー監督に、映画製作の舞台裏などを聞いた。

スティーブン・チョボスキー監督

-原作の良さが生きた映画だと感じました。手応えはいかがでしょうか。

 僕も物書きで、前作の『ウォールフラワー』は自分の小説を映画化しています。今回はそのときに学んだことを生かしました。素晴らしい役者がそろっていたことにも助けられました。うれしかったのは、映画が完成して原作者のR・J・パラシオと一緒にインタビューを受けたときのこと。「原作にあり、映画に登場せず残念だったシーンは?」と聞かれた彼女が、少し考えてから「思いつかないわ」と答えたんです。僕は「やった! 自分の仕事はこなしたぞ」と誇りに思いました(笑)。

-オーガストを演じたジェイコブ・トレンブレイくんの演技が見事です。演技についてどんな指示をしましたか。

 特別な指示はしていません。幸運だったのは、ジェイコブが、その世代に1人しかいないような希有な才能の持ち主だったことです。ジェイコブのお母さんは優れた演技コーチですし、共演者も素晴らしい人ばかり。僕の仕事は、全ての役者が自分のキャラクターを自由に掘り下げ、お互いを支えられるような現場の雰囲気を作ることだけでした。ジェイコブには、時々「集中して!」と言ったぐらいです。

-この作品ではオーガストの顔の特殊メークも重要なポイントです。小説であれば読者の想像に委ねられますが、映画化する上では誰でも分かるように視覚化しないといけません。どんなことに気を付けましたか。

 オーガストのような顔の障害を英語で“フェイシャル・ディファレンス”と言いますが、その特殊メークのデザインを決定するまで、2カ月ぐらいかかっています。最も気を使ったのは、映画として成立するためには、ジェイコブの演技がきちんと伝わるものでなければいけないということ。その点では、特殊メーク担当のアリエン・タイテンがいろいろなアイデアを出してくれました。例えば、白目を小さく見せるためにコンタクトレンズを使ったり、頭の後ろに仕込んだスイッチで目を下に引っ張る仕掛けを作ったり…。顎もCGで少し短くしています。そういった努力が評価され、アカデミー賞(メイクアップ&ヘアスタイリング部門)にもノミネートされました。

-その特殊メークに対して、同じような障害を持つ人たちからの反応は?

 フェイシャル・ディファレンスの子どもたちは、それぞれ見た目が違うのですが、リスペクトしていると感じてくれたらしく、みんな「とても良かった」と納得してくれました。

-映画を作る上で、フェイシャル・ディファレンスの人たちと会いましたか。

 今まであまりフェイシャル・ディファレンスの人たちに会ったことがなかったので、映画を作る前に会ってみたんです。最初はやっぱり違和感がありました。でも2年後、映画を作り終わったときには、もう何とも思わなくなっていました。つまりそれが、ごく普通の日常の一部になったんです。そして、この作品に関して素晴らしい出来事がありました。それは、フェイシャル・ディファレンスの子どもたちやその家族が、この映画のおかげで「人生が変わった」と言ってくれたことです。周囲の理解が深まったと。他の人と変わらないごく普通の少年としてオーガストを描きたかったので、とてもうれしかったです。

-原作では、オーガストが学校の課外授業で見る映画は『サウンド・オブ・ミュージック』(65)ですが、映画では『オズの魔法使』(39)に変更されています。その理由は?

 初めは『サウンド・オブ・ミュージック』を使うつもりだったのですが、(主演女優の)ジュリー・アンドリュースから許可が得られなかったんです。どうやら、ポリシーとして誰にも許可しないと決めているようなんです。そこで、『オズの魔法使』に変更しました。それを選んだのは、僕が初めて好きになった映画だからです。

-『オズの魔法使』は自分探しの要素もある物語なので、この映画の内容にも合っていますね。

 そうなんです。結果的には、『サウンド・オブ・ミュージック』より良かったのではないでしょうか。ジュリー・アンドリュースに感謝です(笑)。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

小林虎之介「名前と同じ『虎』の字が入った役名に、ご縁を感じています」連続テレビ小説初出演で、主人公の幼なじみを好演中【連続テレビ小説「風、薫る」インタビュー】

ドラマ2026年4月23日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「風、薫る」。田中ひかるの著書『明治のナイチンゲール 大関和物語』を原案に、明治時代、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込んだ一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)という2人のナースの冒険物語 … 続きを読む

浦井健治が演じる童磨がついに本格参戦!「童磨を本当に愛し抜いて演じられたら」舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月23日

 舞台「鬼滅の刃」其ノ陸 柱稽古・無限城 突入が6月13日から上演される。原作漫画「鬼滅の刃」はコミックスの全世界累計発行部数が2億2000万部を突破。その大人気作品の舞台化で、シリーズ6作目となる本作では、柱稽古、そして無限城の戦いを描く … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第15回「姉川大合戦」登場人物それぞれの覚悟が示された合戦【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年4月22日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(=藤吉郎/池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。4月19日に放送された第15回「姉川大合 … 続きを読む

ドラマ「惡の華」鈴木福&あの、互いの印象を語る「熱量が一緒だなと…」「こんなにお調子者でボケるとは」【インタビュー】

ドラマ2026年4月21日

 鈴木福とあのがW主演するドラマ「惡の華」が毎週木曜24時からテレ東系で放送中だ。押見修造氏の同名漫画をドラマ化した本作は、少年・少女の「不安」「葛藤」「痛み」など、思春期の心の変化を描いた壮絶な青春物語。ある日、ひょんなことから憧れのクラ … 続きを読む

礼真琴&柚希礼音が宝塚歌劇団退団後、初共演「力を合わせて頑張りたい」 「BOOP! The Musical」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年4月21日

 礼真琴と柚希礼音が出演する「BOOP! The Musical」が5月27日に開幕する。本作は、1930年代にアメリカで誕生したアニメーションキャラクター「ベティー ブープTM」が、白黒アニメーションの世界から、カラフルで活気あふれる現代 … 続きを読む

page top