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兄・斉彬(渡辺謙)、父・斉興(鹿賀丈史)の死後、“国父”を名乗って薩摩藩の最高権力者の座に就いた島津久光。今後、斉彬の遺志を継いで幕政改革を目指しながらも、吉之助とは対立を深めていくこととなる。演じる青木崇高が、転機を迎えた久光の人物像、演技に込めた思いを語ってくれた。
光輝くスーパースターの兄に対して、その弟ということで、今まではネガティブな性格で頭の回転もよくない、しかも仲が悪いように描かれることが多かったと聞きました。でも実はそんなことはなく、久光のことは斉彬も評価していたそうです。ただ、西郷が絡んできたときのことを考えると、対照的に演じた方がドラマチックになる。そこで、兄上がヒーローなら、こっちはとことん人間的に演じようと思いました。
久光に関するエピソードで面白かったのが、後に廃藩置県が行なわれることを知ったとき、藩中の花火を集めて一晩中打ち上げたという話。これは人物をひも解くのに役立つのではないかと。他にも西郷から“地ごろ”(=田舎者)呼ばわりされ、ギリギリと歯ぎしりした跡がキセルに残っていたなど、どれも人間味を感じさせるエピソードばかり。今まで語られてこなかった余白を、そういうもので埋めていきたいと考えました。
私たちから見ると、西郷は偉人として評価が定まっていますが、当時の薩摩の人間の立場に立ってみたら、「西郷?どこのもんや?」という話。久光とは立場が全く違いますから、その距離感は大切にしたいと思いました。兄上にはかわいがられたかもしれないが、単にお酌がうまいだけかもしれない。そんなやつが、兄上の遺志を継いでやっていこうとする自分に対して、偉そうに異を唱えた上に、“地ごろ”呼ばわりする。久光が怒るのは当然です。よく斬られなかったと思います。
ずっと撮影を頑張っていることを知っているので、対面するシーンでも、西郷を亮平くんとして見てしまい、どこか憎み切れないところがあるんです。「これはいかん!」と思い、別のところから怒りのモチベーションを持ってきて演じています。「かつらがかゆい!」、「正座がつらい!」といったイライラを「全部おまえのせいじゃ!」とぶつける感じで(笑)。
そうですね。その中で唯一、好きにならなかったのが久光かも知れません(笑)。このドラマでは久光は嫌われ者ですし、漫画などでも悪人のように描かれていることが多い。でも、それこそ僕の大好物。ならばなおさら人間味を出して、視聴者に「憎めない」と感じてもらえるようにしたい。常にそう考えています。
最初にオファーを頂いたときから、そこは重要な部分だと思っていました。大久保から“国父”という言葉を得て、久光は自分の中で歯車が動き始める感触を得た。そこで、それ以降は自分が薩摩をコントロールしていくという姿勢を出すため、やや恰幅(かっぷく)のいい感じにして、メークや小物、差している刀、芝居の動きや声など、いろいろと変えてみました。印象的にはなっていると思います。とはいえ、なかなか久光の思惑通りに行かない部分もありますから、これからまた少しずつ変えていくつもりです。
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