「寺田屋騒動で仲間を死なせたという負い目が、大山のトラウマになるはず」北村有起哉(大山格之助)【「西郷どん」インタビュー】

2018年6月18日 / 10:00

-そういうお芝居については、ご自分の中でイメージを固めた上で演じるのでしょうか。

 全体のバランスを考えて、周りの出方もうかがいます。理性的だったり、カチッとした芝居をする人が多い場合、僕は逆をやり、本能的な芝居をする人が多い場合はカチッとした芝居をしてみたり…。ただそれは、計算というより、役者としての生存本能みたいなもので、無意識でやっていることが多いです。

-自分一人の考えだけではできないということですね。

 芝居は、役の関係性の中で作用、反作用があってこそ生きてきます。だから、自分のことよりも、どうしたら相手がせりふを言いやすくなるか。常にそれを考えています。例えば、大久保(瑛太)の結婚話が出たとき(第13回)、僕がその相手の悪口を言った後、大久保が「なんてことを」と反論する場面がありました。そのとき、ただ悪く言うのではなく、思い切りばかにしたようなひどい言い方をする。そうすると、瑛太くんが「なんてことを!」と言いやすくなるんです。そういうところが、芝居の面白さです。

-アドリブも多いと聞きましたが、それが生き生きとした雰囲気につながっているようにも感じます。

 そうかもしれません。ただ、方言があるので、アドリブも簡単ではないんです。標準語なら自由にできても、方言の場合は事前にことば指導の方に確認する必要がありますから。とはいえ、自由だとやり過ぎる場合もあるので、方言があるぐらいがちょうどいいのかもしれません(笑)。面白いのが、台本通りで誰もアドリブを言わない時。場が静まり返って、みんな心細くなるんです。「誰かなんか言って!」みたいな雰囲気で(笑)。アドリブはちょっとした芝居の香りづけなので、的外れなことさえ言わなければ、いろいろやってみた方がいいというのが、僕の考えです。

-新たに吉之助の弟・信吾(錦戸亮)が登場するなど、今後は若者たちが加わって大山の立場も上がっていくようですが、お芝居も変わってくるのでしょうか。

 そうですね。立場や相手によって向き合い方が変わるので、そういう多面性は出てくると思います。下の者にはビシッとした姿を見せる一方で、仲間たちと会ったときには同窓会のような感じで、肩書や立場を捨てて一緒に酒を飲む…。そういうギャップは、おのずと出てくると思うので、僕も楽しみにしています。

(取材・文/井上健一)

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