「西郷さんと月照は、夫婦のような関係だったのかもしれません」尾上菊之助(月照)【「西郷どん」インタビュー】

2018年5月8日 / 14:21

-西郷はさまざまな人々との出会いを経て成長していきますが、月照との関わりの中で成長を感じた部分はありますか。

 それまで伸び伸びと過ごしてきた西郷さんが、斉彬の死によって一気に核となる部分ができたのではないかと思わせる瞬間がありました。それは、斉彬の死を知ったとき、「弔い合戦じゃ」と血気にはやる仲間を、「そんなことはどうでもいい」と押さえる場面(第16回)です。殿のことよりも、今はとにかく政治のことを何とかしなければならないと訴える。その姿を見たら、泣いていた西郷さんが一気に変化したような気がしました。

-鈴木亮平さんと共演した感想は?

 鈴木さんは、作品に対する熱い思いが西郷さんに通じる部分があって、そこがとても魅力的です。現場では形や見え方よりも、とにかく心情が第一。2人の関係がどうしたらより強固なものになるかということをディスカッションしながら演じさせていただきました。だから、動きでもせりふでも、リハーサルで変化することが非常に多くて。おかげで毎回、現場に行くのが楽しかったです。

-撮影現場の印象は?

 すごく刺激的でした。鈴木さんをはじめ、皆さんが本当に熱い思いで作品に取り組んでいるので、一場面、一場面、監督を交えて「これはこうした方がいいのでは?」と意見交換が盛んでした。そういう思いが作品にも投影されているので、放送を毎週楽しみにしています。

-テレビドラマの場合、舞台とはお芝居も変わってくるのではありませんか。

 舞台の場合は大きな空間で表現しなければなりませんが、映像は相手が近くにいる上にカメラやマイクもある。だから、声の出し方、表情なども気を使います。ただ、今回は鈴木さん、共演者の方と深い信頼関係を築くことができたからこそ余計なことをあまり考えず、役に没頭できたと感じています。

-月照を演じて得たものはありますか。

 歌舞伎でも映像でも、役を生きるということは私にとって永遠のテーマです。今回、役に成り切ることの大切さや面白さを、歌舞伎の舞台ではなく映像の現場で色濃く体感させていただいたことは、これからの自分にとってとてもいい経験になりました。

(取材・文/井上健一)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

ジェイソン・ステイサム ~絶滅危惧種のアクションスター~

映画2025年12月31日

筋肉系スターの最後の生き残り  そう考えると、『エクスペンダブルズ』シリーズの現役の傭兵役というのは、ステイサムにとってはむしろ異色と言っていい。多彩な個性や国籍の寄せ集めチームという設定のおかげで、彼のナチュラルな魅力もしっかり際立ってい … 続きを読む

寺西拓人 声優初挑戦は「とても刺激的で楽しい経験でした」 「マクロス」、「アクエリオン」シリーズの河森正治監督の長編アニメーションに出演『迷宮のしおり』【インタビュー】

映画2025年12月30日

-どんな点が楽しかったのでしょうか。  舞台や実写作品の場合、役を演じていても、どこか自分が残っているんです。でも、アニメーションは外見が自分と全く異なるので、より強い没入感が味わえて。それがすごく楽しかったです。 -そういう意味では、主人 … 続きを読む

織山尚大、芸能活動10周年を迎え「今のこの年齢で演じる意味がある」 舞台「エクウス」で3年ぶりの主演【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年12月29日

 映画『うちの弟どもがすみません』やドラマ『リベンジ・スパイ』など、数々の映画やドラマ、舞台で活躍する織山尚大の3年ぶりの主演舞台となる「エクウス」が1月29日から上演される。本作は、実際に起きた事件を基に描かれた、ピーター・シェーファーに … 続きを読む

【映画コラム】「2025年映画ベストテン」

映画2025年12月28日

【日本映画】  邦画界は、今年も『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『チェンソーマン レゼ篇』『名探偵コナン 隻眼の残像』など、アニメーション作品が興行成績の上位を占めたが、実写映画でも大ヒット作が生まれた。歌舞伎を題材とした … 続きを読む

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 ▽家族を世話する母    ムン・ソリは、「クイーンメーカー」(23年)や「私たちの人生レース」(同)のように、女性の主体性や自分らしさを打ち出す役を担い、エンパワーメントの姿を体現してきた。だが「おつかれさま」では、“肩書きのない母”を真 … 続きを読む

Willfriends

page top