【インタビュー】『ナラタージュ』行定勲監督「松本潤くんはこの映画の立役者。有村架純さんは改めてうまい役者だと思いました」

2018年5月8日 / 12:00

-泉を演じた有村架純さんの起用は、監督の希望だったそうですね。

 泉は自分で自分を汚していく女性。それを誰に演じてもらうかと考えたとき、「こんなことなら、恋愛なんかしなければよかった」という思いが自分の中に生まれる女優がよかった。そこに有村さんの姿を想像してみたら、これ以上の人はいないだろうと。彼女は女優という仕事に真面目に向き合おうとしている人で、自分の中で感情表現というものをちゃんと考えている。テレビでインタビューに答える姿などを見ていると、出過ぎてはいないけれど、その笑顔の奥にはかたくなな部分があるように思えた。だから、きっとやってくれるだろうと。

-実際に演じてもらっていかがでしたか。

 撮影では、見たこともないような表情を何度も見せてくれました。それは、台本に言葉で書けるようなものではなく、「そうなってしまった」という顔。それこそ映画の醍醐味(だいごみ)です。あるとき、カットがかかった後、彼女が「今、気持ちが表情に出てしまったんですけど、やり過ぎですか?」と聞いてきたんです。「良かったけど、そう言うなら出ていないのも見てみたい」と答えたら、「分かりました」と言って次のテイクは出さずにやるんです。微妙な違いだけど、見るとやっぱり分かる。で、「出ていた方が面白くない?」と言ったら、彼女も「私もさっきの方がいいと思いました」と。そんな会話を何度も繰り返しました。

-そういう生々しい表情が、映画に収められているわけですね。

 「こんな女性の顔を見たことあるな」、「女って怖い」と思わせる攻撃的な表情をするんですよね。台本にはただ会話が書いてあるだけなのに。そこからそんな表情が生まれるのは、やっぱり役者の力量です。彼女は本当に素晴らしかった。改めて、うまい役者だと思いました。

-そういった部分を含めて、DVDの見どころは?

 最初に編集したときは3時間半ぐらいあって、完成した映画はそこから1時間近くカットしています。そのカットした部分を改めて編集して、「未公開シーン」として特典映像に収録しました。これがすごく良くて、みんなに「なんで切ったの?」と言われます(笑)。かなり見応えがあるので、これを見ると「3時間半バージョンを見たい」という気持ちになるかもしれません。

-今までのお話を伺っていると、3時間半バージョンも見たくなります。

 もともとはもっと漂うような感じを目指していたので、3時間半バージョンを作ったら、全然違った見応えのある作品になるでしょうね(笑)。

(取材・文・写真/井上健一)

(C)2017 「ナラタージュ」製作委員会

『ナラタージュ』Blu-ray&DVD
5月9日(水)発売&レンタル開始
Blu-ray 豪華版 ¥6800+税
DVD 豪華版 ¥5800+税
発売元:アスミック・エース/KADOKAWA
販売元:東宝
※DVD 通常版 ¥3800+税 同時リリース

 

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

内野聖陽、念願のリア役にかける思いとは 「リア王 -KING LEAR-」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年7月17日

 シェークスピア四大悲劇の一つ「リア王」が内野聖陽の主演で9月21日から上演される。舞台、映画、テレビと各方面で活躍し、硬軟・老若を問わず多彩な役柄を演じ分ける実力派の内野。ドラマ「ゴールドサンセット」の劇中劇で「リア王」を演じた経験と熱い … 続きを読む

唐田えりか「染谷将太さんのお芝居が衝撃的でした」コンビニ店を舞台にした異色ホラーで初共演『チルド』【インタビュー】

映画2026年7月16日

-堺と小河がファミレスで会話するシーンでは、染谷さんがほかのシーンとは別人のように生き生きとしていたのも驚きでした。  染谷さんのお芝居は、楽しそうなときも、わかりやすく楽しそうにするのではなく、せりふの間のちょっとした息遣いや一瞬のほほ笑 … 続きを読む

「豊臣兄弟!」第26回「信長を笑わせろ!」 人間ドラマと華やかなエンターテインメントが一体になった大河ドラマならではのエピソード【大河ドラマコラム】

ドラマ2026年7月10日

 NHKで好評放送中の大河ドラマ「豊臣兄弟!」。戦国時代、主人公・豊臣秀長(=小一郎/仲野太賀)が、兄・秀吉(池松壮亮)を支え、兄弟で天下統一を成し遂げるまでの軌跡を描く物語は快調に進行中。7月5日放送の第26回「信長を笑わせろ!」では、小 … 続きを読む

花總まりがアガサ・クリスティに 失踪の謎を追うミュージカル「AGATHA(アガサ)」で「ミステリーの世界を体感していただけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年7月9日

 イギリスを代表する推理小説家で“ミステリーの女王”と呼ばれたアガサ・クリスティが失踪した実話を元にしたミュージカル「AGATHA(アガサ)」が7月18日から上演される。本作は、アガサ・クリスティが失踪した11日間の謎を追う物語。現在(19 … 続きを読む

【K-POPもKドラマも深読みしたら韓国が見えた】#セブチを見ていると分かる、韓国の年齢の不思議

2026年7月8日

▽タメ口は崩せる、でも「ヒョン」は残る  日本でも、兄弟や親しい先輩後輩のあいだでは、呼称は残したまま口調だけくだけることがある。「お兄ちゃん」と呼びながらタメ口で話すこともあれば、「先輩」と呼びながら冗談を言い合うこともある。  もう少し … 続きを読む

page top