「朝ドラに革命を起こしたんじゃないかな」ヒットの法則を完全無視しても有り余る自信と手応え 北川悦吏子(脚本)【「半分、青い。」インタビュー】

2018年3月28日 / 08:30

 「愛していると言ってくれ」(95)、「ロングバケーション」(96)、「オレンジデイズ」(04)など数々の恋愛ドラマを世に送り出してきた脚本家・北川悦吏子氏が手掛ける新しい連続テレビ小説がついにスタートする。放送前から並々ならない熱を持って本作をアピールする北川氏がその理由を語ってくれた。

脚本の北川悦吏子氏

-この企画は、北川さんの方からNHKに持ち込まれたと聞きましたが。

 はい。私は少し前に左耳を失聴しましたが、傘を差すと左側だけ音がしないことが面白くて、これはドラマになるなと思いました。ただ、民放だとよくある話に見られてしまうから、「朝ドラでできたら画期的」と考えたのがスタートで、それが今から3、4年前のことです。そのときにはタイトルと、「ヒロインの片耳が聞こえない」「母と娘の話」という構想がありました。

-ヒロインの故郷を岐阜県にした理由は?

 朝ドラは東京と田舎を舞台にすることが基本なので、新たに知らない土地の取材をするよりは、18年間住んでいた私の故郷の岐阜を舞台にした方が書きやすいと思ったからです。いろんな思いがあり、岐阜を避けていたこともありましたが、多くの人が故郷に対して、懐かしいとか、いとおしいと思う反面、うっとうしく感じることってありますよね。そんな故郷に対する揺れ動く心も描きたいです。

-時代設定の始めを1971年にしたのはなぜですか。

 自分がこの時代を生きていたから分かるということと、この年に生まれた子どもが多いらしいので、たくさんの人に共感してもらえるかなと思いました。

-もともと、ホームドラマに挑戦したいという願望はありましたか。

 恥ずかしいから避けてきましたが、書けましたね(笑)。実は、恋愛も家族も変わらなくて、“人と人”を書くことが好きなんだと実感しました。放っておくと一生書かなかったと思うので、朝ドラと出会えてとても良かったです。「こんな家族があったらいいな」という気持ちで書きました。

-本作では岐阜弁の「やってまった」や、北川さんの造語の「ふぎょぎょ」というフレーズが印象的に出てくるようですが。

 自分で言葉を作ることは好きで、「チャラ男」という言葉を自分で思いついて「愛していると言ってくれ」の脚本に書いた記憶があります。それではやったかどうかは知りません。今回もいろいろ遊んでます。ただ、本当は、毎回同じこと言う決めぜりふって格好悪くて嫌だけど、朝ドラだし、そういうのがあってもいいのかなと思ったし、やってみたら案外楽しかったです。でも、私自身にはやらせようという、気持はないですね(笑)。それより、物語を見て欲しい。

-15分ドラマを156本も書くことは、やはり難しいですか。

 「どんなふうに攻めていこうかな」と、これまでの朝ドラを分析していたときは精神的につらかったけど、書き始めるとノウハウが分かってきて、今では手数がどんどん増えています。「世にも奇妙な物語」の脚本を書いていたときは、テレビ番組の制作会社にいて1日に10本、企画を考える、という千本ノックのようなことをやっていましたが、当時と今とで、使っている頭は同じ気がします。それと、フジテレビのポップでおしゃれなドラマで会話劇、TBSドラマでハンディキャッパーが主人公の切なくリアルなものを書いていましたが、このドラマでは、過去に培ったもの全部を重ねている感じがします。

-キャリアの全てを駆使した本作で伝えたいメッセージとは何でしょうか。

 いつも同じことを書いている気もするけど、何が起きても生きる力があるということを伝えたい。「片耳を失聴していても生きていけるよ」、「人間は強いよ」ということを知らせたいし、「そうじゃない?」と自分自身に言い聞かせたいのかも。

 
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