エンターテインメント・ウェブマガジン
「愛していると言ってくれ」(95)、「ロングバケーション」(96)、「オレンジデイズ」(04)など数々の恋愛ドラマを世に送り出してきた脚本家・北川悦吏子氏が手掛ける新しい連続テレビ小説がついにスタートする。放送前から並々ならない熱を持って本作をアピールする北川氏がその理由を語ってくれた。
はい。私は少し前に左耳を失聴しましたが、傘を差すと左側だけ音がしないことが面白くて、これはドラマになるなと思いました。ただ、民放だとよくある話に見られてしまうから、「朝ドラでできたら画期的」と考えたのがスタートで、それが今から3、4年前のことです。そのときにはタイトルと、「ヒロインの片耳が聞こえない」「母と娘の話」という構想がありました。
朝ドラは東京と田舎を舞台にすることが基本なので、新たに知らない土地の取材をするよりは、18年間住んでいた私の故郷の岐阜を舞台にした方が書きやすいと思ったからです。いろんな思いがあり、岐阜を避けていたこともありましたが、多くの人が故郷に対して、懐かしいとか、いとおしいと思う反面、うっとうしく感じることってありますよね。そんな故郷に対する揺れ動く心も描きたいです。
自分がこの時代を生きていたから分かるということと、この年に生まれた子どもが多いらしいので、たくさんの人に共感してもらえるかなと思いました。
恥ずかしいから避けてきましたが、書けましたね(笑)。実は、恋愛も家族も変わらなくて、“人と人”を書くことが好きなんだと実感しました。放っておくと一生書かなかったと思うので、朝ドラと出会えてとても良かったです。「こんな家族があったらいいな」という気持ちで書きました。
自分で言葉を作ることは好きで、「チャラ男」という言葉を自分で思いついて「愛していると言ってくれ」の脚本に書いた記憶があります。それではやったかどうかは知りません。今回もいろいろ遊んでます。ただ、本当は、毎回同じこと言う決めぜりふって格好悪くて嫌だけど、朝ドラだし、そういうのがあってもいいのかなと思ったし、やってみたら案外楽しかったです。でも、私自身にはやらせようという、気持はないですね(笑)。それより、物語を見て欲しい。
「どんなふうに攻めていこうかな」と、これまでの朝ドラを分析していたときは精神的につらかったけど、書き始めるとノウハウが分かってきて、今では手数がどんどん増えています。「世にも奇妙な物語」の脚本を書いていたときは、テレビ番組の制作会社にいて1日に10本、企画を考える、という千本ノックのようなことをやっていましたが、当時と今とで、使っている頭は同じ気がします。それと、フジテレビのポップでおしゃれなドラマで会話劇、TBSドラマでハンディキャッパーが主人公の切なくリアルなものを書いていましたが、このドラマでは、過去に培ったもの全部を重ねている感じがします。
いつも同じことを書いている気もするけど、何が起きても生きる力があるということを伝えたい。「片耳を失聴していても生きていけるよ」、「人間は強いよ」ということを知らせたいし、「そうじゃない?」と自分自身に言い聞かせたいのかも。
映画2025年11月14日
日本海沿岸の小さな漁師町を舞台に、元ヤクザの漁師・三浦と目の見えない少年・幸太という、年の離れた孤独な2人の絆を描くヒューマンドラマ『港のひかり』が、11月14日から全国公開中だ。 主演に舘ひろしを迎え、『正体』(24)の俊英・藤井道人 … 続きを読む
2025年11月14日
YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼玉田永教と神道講釈 銭湯の湯け … 続きを読む
映画2025年11月13日
40人の武装強盗団が、ニューデリー行きの特急寝台列車を襲撃! 刀を手に乗客から金品を奪う強盗団のリーダー、ファニ(ラガヴ・ジュヤル)は、大富豪タークルとその娘トゥリカ(ターニャ・マニクタラ)を人質に取り、身代金奪取をもくろむ。だがその列車 … 続きを読む
映画2025年11月11日
何かに夢中になると他のことが目に入らなくなってしまうジュゼッペ(声:佐野晶哉)は、街の人々から「トリツカレ男」と呼ばれている。ある日、ジュゼッペは、公園で風船売りをしているペチカに一目ぼれし、夢中になるが…。作家・いしいしんじの同名小説を … 続きを読む
ドラマ2025年11月10日
草なぎ剛主演の月10ドラマ「終幕のロンド -もう二度と、会えないあなたに-」(カンテレ・フジテレビ系/毎週月曜午後10時)。第3話で強烈なインパクトを残したゆずは(八木莉可子)の母(雛形あきこ)が、再びHeaven’s messenger … 続きを読む