「朝ドラに革命を起こしたんじゃないかな」ヒットの法則を完全無視しても有り余る自信と手応え 北川悦吏子(脚本)【「半分、青い。」インタビュー】

2018年3月28日 / 08:30

-すでに第1週分を見られたそうですが、現時点での手応えは。

 朝ドラに革命を起こしたんじゃないかなというぐらい斬新です。まず、ヒロインが胎児から出ることはチャレンジングだし、「半分、青い。」というタイトルがこれまでと比べると明らかに異端で、自分では気に入っているんですが、ともするとフランス映画みたい(笑)。いったい、どういう意味?と言われてしまう可能性も、もちろんある。それに、朝ドラは「“本当にいた人の話”で“戦争を挟む”と当たる」と言われているようですが、それらを外して書いています。そういうチャレンジをしたからこそ、新しいものが生まれたと思います。冒険させてくれたNHKさんに本当に感謝しています。

-北川さんの新しい代表作になりそうですか。

 自分では代表作というのは特にないのですが、佐藤健くんが撮影に入る前に、「もう北川さんの代表作は『ロンバケ』って言わせません」と言ってくれたのはうれしくて、楽しい気分になりました。

-その佐藤さんは、鈴愛と同じ日に生まれた幼なじみ・萩尾律を演じていますが、かなり重要な役柄のようですね。

 これは鈴愛の話でもあるけど律の話でもあって、彼がどうやって生きるかが裏テーマです。だから、映画『バクマン。』(15)を見たときに、どうしても出てほしいと思った健くんに出てもらえたことはとても大きいです。ただ優しいだけでなく、強さや意思もある律は、受けと攻めの姿勢が内在している健くんにしかできないです。彼が演じる律というキャラクターは自分が描いてきたラブストーリーの集大成になるんじゃないかな。

-鈴愛役の永野芽郁さんはいかがですか。

 早口で、表情や考えがコロコロ変わる鈴愛は芽郁ちゃんにぴったりです。オーディション時から、彼女なら左耳が聞こえなくても、たくましく生きていくだろうと感じました。あと、「スズメの口は羽より軽い」というせりふがありますが、ヒロイン発表会見の前日、芽郁ちゃんが自分がヒロインに決まったことを誰かに話さないようにホテルに泊まらされたみたいで、そこも鈴愛らしいと思いました。

-社会的ブームを巻き起こしたドラマ「愛していると言ってくれ」でタッグを組んだ豊川悦司さんの出演も話題になっていますね。

 鈴愛が弟子入りする売れっ子の少女漫画家・秋風羽織を誰がやったら面白いかと考えたときに、最初に名前が挙がったのが豊川さんで、昔の縁もあるし、間違ってやってくれないかなと思いました(笑)。圧倒的な存在感があるので、引き受けてもらって本当に良かったです。

-豊川さんと久しぶりに会った感想は?

 いい感じに大人になっていらっしゃいました(笑)。お互い頑張っていたから、また一緒に仕事ができるのだからうれしいです。「愛していると言ってくれ」の時は、ああでもない、こうでもない、と死闘を繰り広げた仲でしたけど、そんなことを思い出しながらも楽しんでやっています。また、死闘になってもドンと来い、と思っています(笑)。

(取材・文/錦怜那)

  • 1
  • 2
 

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

二宮和也「子どもたちの映画館デビューに持ってこいの作品です」『シナぷしゅ THE MOVIE ぷしゅほっぺダンシングPARTY』【インタビュー】

映画2025年5月17日

-役作りをする上で気を付けたことはありましたか。  気を付けたことで言うと、子どもたちがメインで見るので、物語の展開もそうですけど、スピード感みたいなものは割と気を付けていました。あとは、「こうやって言ったら分かるよね」というような、押し付 … 続きを読む

【週末映画コラム】異色ホラーを2本 デミ・ムーアがそこまでやるか…『サブスタンス』/現代性を持った古典の映画化『ノスフェラトゥ』

映画2025年5月16日

『ノスフェラトゥ』(5月16日公開)  1838年。不動産業者のトーマス・ハッター(ニコラス・ホルト)は、自身の城を売却しようとしているオルロック伯爵(ビル・スカルスガルド)のもとへ向かう。  トーマスの不在中、彼の新妻エレン(リリー=ロー … 続きを読む

新原泰佑、世界初ミュージカル化「梨泰院クラス」に挑む「これは1つの総合芸術」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年5月16日

-ドラマ化が大ヒットを記録したこの作品をミュージカル化することにはどのような思いがありますか。  この作品をミュージカルにするのは、すごくハードルが高いのではないかと思ったので、驚きました。ストレートプレーで上演した方が、もっとダイレクトに … 続きを読む

グレッグ・ターザン・デイビス「とにかく、ただ純粋に面白い映画を撮ることだけが、自分たちに与えられたミッションでした」『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』【インタビュー】

映画2025年5月15日

-クリストファー・マッカリー監督の印象は?  今や彼は自分のおじさんのような存在なので「マッカリーおじさん」みたいな呼び方をしていますが、自分にとっては先生ですね。彼は演出だけではなくて指導力もとても優れています。自分が恵まれていると思うの … 続きを読む

研ナオコ、認知症のおばあちゃん役で9年ぶりの映画主演「主演女優賞を狙ってます(笑)」岡﨑育之介監督「研さんの人生の奥行きがにじみ出た」『うぉっしゅ』【インタビュー】

映画2025年5月12日

ーところで本作は、研さんの9年ぶりの映画主演作だそうですね。 研 そういうことは全く頭になかったです。「何周年記念のお祝い」みたいなことがあまり好きではないんです。「何年やったからといって、何が偉いの?」と思ってしまって。自分が人間的に成長 … 続きを読む

Willfriends

page top