「いろいろな苦労を経験しながらも、明るくたくましく、精いっぱい生きるふきを楽しんで演じています」高梨臨(ふき)【「西郷どん」インタビュー】

2018年3月3日 / 12:00

-女給という職業を演じるに当たって、何か準備をしましたか。

 最初は全くイメージできなかったので、教えていただいた映画『幕末太陽傳』(57)を見て「こういう世界なんだな」と参考にしました。所作についても礼儀正しくきれいにやる感じではないので、色っぽく足を崩したりするところは、所作指導の先生や一緒に磯田屋で働くタマ役の田中道子さんと話し合いながら、一つ一つ決めていって。あとは、磯田屋のセットが素晴らしく豪華だったので、華やかなお着物を着てそこにいるだけで、世界観に入り込むことができました。

-ドラマはいよいよ幕末期の緊迫感あふれる展開に入ってきましたが、その中でも磯田屋は息抜き的な場面になっています。現場の雰囲気はいかがですか。

 磯田屋の撮影に入るとき、お侍役の皆さんが、「女の子がたくさんいる!男ばかりで撮影していたから、すごく楽しい」と言っていたんです(笑)。だから、磯田屋が皆さんの癒しになれば…と思って(笑)。北村有起哉(大山格之助役)さんや高橋光臣(有村俊斎役)さんは、2人で設定を決めてアドリブを入れてくるので、面白い上にキャラクターも立っていて、とても勉強になります。

-磯田屋には“ヒー様”こと一橋慶喜も常連客としてやってきます。松田翔太さん演じるヒー様の印象はいかがでしょうか。

 ヒー様には、松田さん自身の魅力が反映されているような気がします。とても色気のある方ですし、ヒー様と同じく松田さんも空き時間に西郷さんの絵を描かれていて、それがまたすごく上手で。お金持ちのヒー様にはいつも女の人が群がっていますが、ただばかみたいに遊んでいるわけではなく、すごく寂しそうなところもあったり…。ふきは普段、明るく働いていますが、両親のことで寂しさも感じているので、ヒー様の寂しさにも気付いたのでしょうね。

-ふきは実在の人物ではありませんが、史実に捉われずに演じる面白さはありますか。

 基本的には自由にやらせていただいています。ふきは、時代の流れには全く関わってきませんが、借金取りに売られたりして、ある意味、時代に翻弄(ほんろう)された犠牲者です。でも、ただの農民上がりなので、自分たちではどうすることもできない。そうやって歴史にもみくちゃにされながらも、たくましく、楽しく、その場を精いっぱい生きている女性という感じになれば…と思いながら楽しんで演じています。

-大河ドラマ初出演ということで、意気込みをお聞かせください。

 初めて経験することばかりで、全てがチャレンジです。大ベテランの方をはじめ、たくさんの役者さんとお会いできるのも、大河ならではの機会なので、いろいろなものを吸収して、新しい自分が見せられるように精いっぱい頑張ります。

(取材・文/井上健一)

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