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終盤にかけて、思いがけず動いたのは(今川)氏真(尾上松也)です。徳川の下に入って、信長の前でまりを蹴ったり、和歌を詠んでいたりというエピソードは残っていますが、詳しいことは分からない。とはいえ、それも一つの生き残り方だという形で、最初から書くつもりではいました。だけど終盤、彼がこのドラマにふさわしいラストを切り開いていってくれたのは、思いがけない展開でした。そういえば、寿桂尼(浅丘ルリ子)さんが(武田)信玄(松平健)を呪い殺すのも、初めは予定していませんでした(笑)。今川家は個性が強かったです。
初めはああなる予定ではなかったんです。政次が身をていして井伊谷を守るというのは、最初から決めていました。ただし、直虎は刑場に見送りに行ってお経をあげるだけのつもりでした。それを聞きながら、政次がふっと笑って死ぬ…そんなイメージで。だけど、処刑まで時間がある中、いつもは諦めが悪く、最後まで何かできることはないかと考える直虎が、この時だけ何一つ答えを出さずに見送るというのは、違うんじゃないかと思い始めたんです。その結果、政次の意志を理解している直虎ができる最大の見送り方ということで、ああいう解釈になりました。
駄じゃれやパロディーが大好きなので、お願いしたら「いいよ」と言ってくれたので、やらせていただきました。すごく楽しかったです(笑)。
私ではなく、ディレクターが考えたものですが、「嫌われ政次の一生」は素晴らしかったです。あと、「綿毛の案」はびっくりしました。「信長、浜松来たいってよ」の元ネタは『桐島、部活やめるってよ』ですが、「直虎、領主やめるってよ」とか「虎松、お家再興するってよ」とか、何でもできるんです。だから、大事に取っておいたらずっと持ち越してしまい、「そろそろ使わないと…」となって、あそこで使わせてもらいました(笑)。
最終回! だから本当に最終回を見てほしいです!
変な表現ですが、パーッと終わっていく感じなんです。この瞬間にパーッと光が当たるために、今までがあったんだ、という弾けた回になって…。書いていて「走る」というより「走らされる」という不思議な感覚になりました。
当初の予定では、直虎と龍雲丸(柳楽優弥)はもう少し早く男女感が漂うはずでした。だけど、好意は描けるものの、色っぽい感じにならなくて。その理由は、2人の間に、自分が守らなければいけない国、自分が守りたい徒党や生き方、みたいなものが横たわっていたためです。そういうものがある間に恋愛してしまう人たちは嫌だな、という気持ちが私の中にあったのかも。試行錯誤を繰り返した結果、ようやく「ここか!」というタイミングに落ち着きました。
牛一先生ごめんなさい(笑)。大きく出過ぎました。まだまだいろいろな人物の描き方がありますね…と今となっては思います。だけど、やっぱり私は自分が作った直虎さんがとても好きです。
(取材・文/井上健一)
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