【インタビュー】『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』ライアン・ジョンソン監督「『スター・ウォーズ』は、新たな世界の中で自分の居場所を見つけていく、地図のような物語」

2017年12月8日 / 14:41

 シリーズ最新作『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』が、12月15日から全国ロードショーされる。公開を前に、来日したライアン・ジョンソン監督が、“今話せる範囲”でインタビューに応じた。

ポーグとBB-8を手にしたライアン・ジョンソン監督

-監督は、本作のオファーについて「途方もない興奮と同時に恐怖も感じたが、熟考の結果、心の声に従った」と語っていますね。『ブレードランナー2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督も同じようなことを言っていましたが、名作を引き継ぐという点で、相当なプレッシャーがあったのでしょうか。

 最初に、監督をやると決めたときは、ものすごいプレッシャーを感じました。何しろ『スター・ウォーズ』の監督なのですから。それは、自分が子どもの頃から思い入れのあった世界だからこそ感じたプレッシャーでした。ところが、実際に脚本を書き始め、撮影前の準備、撮影と進んでいく中で、そうした作業に夢中になったおかげか、プレッシャーは一切感じなくなりました。こうした感覚や変化は、映画作りにおいてはどの作品でも同じです。それから、今回はとても優秀なスタッフ、キャストと一緒に、良質なプロセスを踏みながら作ることができたことも大きかったと思います。ところが映画が完成した今は、公開前特有の「果たして観客は満足するだろうか」というプレッシャーを感じています(笑)。日ごとにそれが強まってきています。

-今回は予想外の展開があるということですが…。

 今回の脚本は、前作『~フォースの覚醒』(15)のキャラクターの名前を書くところから始めました。それから映画を見て、自分が各キャラクターについて知り得たこと、感じたことを書き出してみました。そして、それぞれのキャラクターがどの方向に向かっていくのかを、自分の思うままに脚本化していきました。すると自分でも予期せぬ展開になっていったのです。ですから、初めから「ここはちょっとひねって驚かしてやろう」などと思って脚本を書いたわけではありません(笑)。でも最終的には、自分で合点がいくところにたどり着きました。

-フッテージ(素材映像)を見る限りでは、「善と悪」「光と闇」のせめぎ合い、「最後のジェダイ」など、ネガティブな面が感じられ、少し不安も覚えたのですが。

 フッテージを見た人が、怖さや不安を感じたのなら、それは逆にいいことだと思います。現実の世界と同じように、次に何が起こるか分からないというのは、ストーリーテリングの上では大事なことです。「『スター・ウォーズ』の新作が来ました。またいつもと同じだね」となるよりは、その方が面白いと思います。今回は予期せぬサプライズもありますが、同時に、見ながら満足のできる、感情的にもインパクトのある、楽しくて笑える作品になっていたらうれしいです。

-ローズ役のケリー・マリー・トランの抜てき理由は?

 今回の新しい重要なキャラクターは、ローラ・ダーンとベニチオ・デル・トロとケリーが演じた3人だけです。その中で一番大きな役どころはケリーが演じたローズです。僕は『スター・ウォーズ』のヒーローだとは想像できないような、意外性のある人をキャスティングしたかったのです。その意味では、ケリーは僕の分身でもあります。彼女は心がとてもオープンで、すてきな精神の持ち主で、それがローズという役を通して画面から感じられると思います。そんな彼女を皆さんに知ってもらえることを楽しみにしています。

 
  • 1
  • 2

特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

前田旺志郎「世の中に関心を持つ大切さに気付いた」窪塚愛流「止まっていた時間が動き出した」初共演の2人が福島原発事故を題材にした映画で感じたこと『こんな事があった』【インタビュー】

映画2025年9月16日

 東日本大震災から10年後の福島を舞台に、原発事故で引き裂かれた家族と青春を奪われた若者たちの姿を描いた『こんな事があった』が9月13日から全国順次公開中だ。監督・脚本は、『追悼のざわめき』(88)などで日本のみならず世界の映画ファンから支 … 続きを読む

グイ・ルンメイ、真利子哲也監督「お互いが思い合うからこそすれ違う。でもそこには愛があるという家族の形を描きたかった」『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』【インタビュー】

映画2025年9月12日

 ニューヨーク・ブルックリンで暮らすアジア人夫婦を主人公に、息子の誘拐事件をきっかけに夫婦の秘密が浮き彫りとなり家族が崩壊していく姿を、全編NYロケで描いた『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』が、9月12日から全国公開され … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(3)無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力

舞台・ミュージカル2025年9月12日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。 ▼無鉄砲小僧、恐れを知らぬ行動力 … 続きを読む

北村匠海 連続テレビ小説「あんぱん」は「とても大きな財産になりました」【インタビュー】

ドラマ2025年9月12日

 NHKで好評放送中の連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルにした柳井のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)夫婦の戦前から戦後に至る波乱万丈の物語は、ついに『アンパンマン』の誕生にたどり着いた。 … 続きを読む

中山優馬「僕にとっての“希望”」 舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~の再始動で見せるきらめき【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年9月11日

 中山優馬が主演する舞台「大誘拐」~四人で大スペクタクル~が10月10日に再始動する。本作は、天藤真の小説「大誘拐」を原作とした舞台で、2024年に舞台化。82歳の小柄な老婆が国家権力とマスコミを手玉に取り、百億円を略取した大事件を描く。今 … 続きを読む

Willfriends

page top