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やっぱり、1年かけて作品作りに携われることは他に無い大きな魅力です。演じていると、その時は分からなかったけれど、後になって気が付くことが山のようにあるんです。自分1人で考えても見付からなかった答えが、他の人の言葉から生まれたり…。それは、他の人とのコミュニケーションの中からだったり、面白そうだからと他の人がやっていることをまねしてみたりと、いろいろなところから出てきます。
同じ時間を過ごすうち、そういうものがより生まれやすくなっていくし、共演している相手のことを知れば知るほど、次に演じる時はお互いに懐に飛び込みやすくなる。だから、どこか準備期間をしっかり取ってやっているような感じなんですよ。僕にとっては、松下家にフォーカスが当たるまでの30数回分がまさにその準備期間のようで、とても面白い試みをさせていただいています。
特に序盤は直虎と対面する場面が多く、緊迫感のあるシーンばかりだったので、殿という印象が強いです。ただその中にも、時折はにかんだ表情を見せるなど、直虎とは違うおとわとしての素顔が見える瞬間があって、とてもいとおしく感じます。井伊谷に足を運ぶうち、常慶は絶対に“おとわ信者”になっていったはずです。
第29回で「徳川に城は明け渡すが、加勢はしない」という話を聞き、「それが井伊の戦い方なのでございますね」と言ったとき、常慶には直虎をリスペクトする気持ちが芽生えたと思うんです。その後、松下の養子になった万千代が徳川に仕えることになったので、今は松下と井伊が一つになって、やんちゃっ子を支えていこうという形になっています。その中でさまざまな問題に対して、相談しながら対処していくというのが、今の関係ですね。
でも、たまには他の井伊谷の人たちとも絡みたいです。先日、少しだけ六左衛門やしの(貫地谷しほり)と一緒になる機会があったのですが、和気あいあいとした様子がうらやましくて(笑)。出演者同士の飲み会には毎回のように参加しているのですが、現場で顔を合わせたことの無い人が多いんです。この前、メーク室で矢本くんと会ったときも、「ここで会ったの、初めてですよね」と言われました(笑)。残り少ないですが、頑張ります。
(取材・文/井上健一)
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