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SF映画の名作『ブレードランナー』(82)の、35年ぶりの続編となる『ブレードランナー2049』が、いよいよ10月27日から公開される。劇中で、強く美しいレプリカントのラヴを演じたシルヴィア・フークスと、主人公の恋人であり相談相手でもあるジョイを演じたアナ・デ・アルマス。来日した2人に本作製作の舞台裏などを聞いた。
シルビア 私はオランダ出身なので、同郷のルトガー・ハウアーがレプリカントの役で出ていたことが強く印象に残りました。人間離れした彼の姿が目に焼き付いて、夜眠れなくなるほど怖かったのを覚えています(笑)。
アナ 最初に見た時は幼過ぎてよく分かりませんでした。2回目はすでに女優になっている時に見たので、描かれたメッセージについて考えました。1980年代に描かれた、今、私たちが生きている現実に近い時代の映像を見て、とても不思議で、怖くて居心地が悪いような印象を受けました。
今回は、名作の続編に出るということで、とても緊張し、いろいろなことを考えましたが、(ドゥニ・)ヴィルヌーヴ監督なので、絶対にうまくいくだろうとも思いました。彼と一緒に仕事ができるのはとてもエキサイティングでした。彼は、俳優やスタッフに自分の考えをきちんと伝え、安心して演技ができるような環境作りもしてくれたので、とてもやりやすかったです。
アナ 最初に脚本を読んだ時、ラヴはとても複雑で、誰がやるにしても難しい役だと思いました。なので、シルヴィアが頭の中でどのように考えて演技をしたのかにとても興味がありました。
シルビア 脚本を読んだ時、ジョイは「お姫様になりたい」とか、「いろいろな洋服を着てみたい」と思う“女の子=少女”のようなキャラクターだなと思いました。それと同時に、彼女の中にはいろいろな女性像が表現されています。美しくて、温かくて、名前の通りに楽しくて(笑)。だから愛さずにはいられないと。アナを見た時に「何てパーフェクトなジョイなんだろう」と思いました。
アナ どこから話せばいいかしら(笑)。まず、ロサンゼルスに移住した時に、英語が話せなかったことが一番の問題でした。4カ月間、語学の学校に通いました。ほかにもいろいろと違うところがあって、ハリウッドでのビジネスは想像以上に巨大なものなので、アートとビジネスのバランスを上手に取らなければなりません。また、キューバ人はこういう感じだから、というステレオタイプの役が多くて、なかなかいい役とはめぐり会えませんでした。他国からハリウッドに移ってきた俳優は、皆今でもこの問題と闘っています。
シルビア 私たち2人はとてもラッキーだったと思います。今回の映画は超大作なのに、アート系の映画を作っているような親密な雰囲気がありました。ハリウッド映画は製作費が巨額なので、演じる方も、大作に出るか、低予算の独立系の映画に出るかを選ばなければなりません。私は自分なりに挑戦ができる役を選びたいと思っています。私にとっては、まず役柄が大切で、脚本や監督が誰なのかも重要です。それはヨーロッパでもハリウッドでも変わりはありません。
アナ ライアンはパートナーとして素晴らしい人です。エネルギーもユーモアも、仕事に対する情熱も持っていて、常に私たちをリードしてくれる存在です。5カ月の間、毎日そういう人が一緒にいてくれたことはとても心強かったです。彼は、紳士で、楽しくて、とても謙虚な人でありながら、同時にクールでもあるところが魅力的です。
シルビア 最初にお会いした時のことをよく覚えています。その時は、役のために減量していて、とてもおなかがすいた状態でした。それで、口の中にたくさんの食べ物を放り込んだちょうどその時に、向こうからクールでかっこいいハリソンさんが来たんです(笑)。あいさつされましたが、口の中に食べ物があったので、もごもごとした感じのままで言葉を返してしまいました。あのインディ・ジョーンズに…(笑)。それから、セットでは毎日のように楽しい話を聞かせてくれました。とても温かみのある方でした。
アナ 日本の文化について、あまり深いことは知りませんが、とても魅力を感じています。ですから、人についても、文化についても、歴史についても、もっと知りたいと思います。この映画には日本に関することも登場します。それは日本からたくさんのインスピレーションを受けているからだと思います。この映画が描いた普遍的なメッセージを、皆さんに気に入っていただけることを願っています。
シルビア エーターテインメントとしても素晴らしい出来だと思いますし、さまざまなメッセージが入ったこの映画を存分に楽しんでいただければと思います。
(取材・文・写真/田中雄二)
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