【インタビュー】『ブレードランナー2049』シルヴィア・フークス「アナは完璧なジョイでした」アナ・デ・アルマス「ラヴはとても複雑で難しい役」

2017年10月25日 / 16:19

 SF映画の名作『ブレードランナー』(82)の、35年ぶりの続編となる『ブレードランナー2049』が、いよいよ10月27日から公開される。劇中で、強く美しいレプリカントのラヴを演じたシルヴィア・フークスと、主人公の恋人であり相談相手でもあるジョイを演じたアナ・デ・アルマス。来日した2人に本作製作の舞台裏などを聞いた。

シルヴィア・フークス(左)とアナ・デ・アルマス

-前作が公開された時は、お二人ともまだ生まれていなかったと思いますが、初めて前作を見た時の印象は? 

シルビア 私はオランダ出身なので、同郷のルトガー・ハウアーがレプリカントの役で出ていたことが強く印象に残りました。人間離れした彼の姿が目に焼き付いて、夜眠れなくなるほど怖かったのを覚えています(笑)。

アナ 最初に見た時は幼過ぎてよく分かりませんでした。2回目はすでに女優になっている時に見たので、描かれたメッセージについて考えました。1980年代に描かれた、今、私たちが生きている現実に近い時代の映像を見て、とても不思議で、怖くて居心地が悪いような印象を受けました。
 今回は、名作の続編に出るということで、とても緊張し、いろいろなことを考えましたが、(ドゥニ・)ヴィルヌーヴ監督なので、絶対にうまくいくだろうとも思いました。彼と一緒に仕事ができるのはとてもエキサイティングでした。彼は、俳優やスタッフに自分の考えをきちんと伝え、安心して演技ができるような環境作りもしてくれたので、とてもやりやすかったです。

-今回、お二人は対照的なキャラクターを演じましたが、お互いをどのように見ていましたか。

アナ 最初に脚本を読んだ時、ラヴはとても複雑で、誰がやるにしても難しい役だと思いました。なので、シルヴィアが頭の中でどのように考えて演技をしたのかにとても興味がありました。

シルビア 脚本を読んだ時、ジョイは「お姫様になりたい」とか、「いろいろな洋服を着てみたい」と思う“女の子=少女”のようなキャラクターだなと思いました。それと同時に、彼女の中にはいろいろな女性像が表現されています。美しくて、温かくて、名前の通りに楽しくて(笑)。だから愛さずにはいられないと。アナを見た時に「何てパーフェクトなジョイなんだろう」と思いました。

-アナさんはキューバからスペインを経て、シルビアさんはオランダからヨーロッパを経てハリウッドに来られたわけですが、ハリウッドに来てから特に苦労された点はありますか。

アナ どこから話せばいいかしら(笑)。まず、ロサンゼルスに移住した時に、英語が話せなかったことが一番の問題でした。4カ月間、語学の学校に通いました。ほかにもいろいろと違うところがあって、ハリウッドでのビジネスは想像以上に巨大なものなので、アートとビジネスのバランスを上手に取らなければなりません。また、キューバ人はこういう感じだから、というステレオタイプの役が多くて、なかなかいい役とはめぐり会えませんでした。他国からハリウッドに移ってきた俳優は、皆今でもこの問題と闘っています。

シルビア 私たち2人はとてもラッキーだったと思います。今回の映画は超大作なのに、アート系の映画を作っているような親密な雰囲気がありました。ハリウッド映画は製作費が巨額なので、演じる方も、大作に出るか、低予算の独立系の映画に出るかを選ばなければなりません。私は自分なりに挑戦ができる役を選びたいと思っています。私にとっては、まず役柄が大切で、脚本や監督が誰なのかも重要です。それはヨーロッパでもハリウッドでも変わりはありません。

-共演したライアン・ゴズリングの印象は?

アナ ライアンはパートナーとして素晴らしい人です。エネルギーもユーモアも、仕事に対する情熱も持っていて、常に私たちをリードしてくれる存在です。5カ月の間、毎日そういう人が一緒にいてくれたことはとても心強かったです。彼は、紳士で、楽しくて、とても謙虚な人でありながら、同時にクールでもあるところが魅力的です。

-では、ハリソン・フォードの印象は?

シルビア 最初にお会いした時のことをよく覚えています。その時は、役のために減量していて、とてもおなかがすいた状態でした。それで、口の中にたくさんの食べ物を放り込んだちょうどその時に、向こうからクールでかっこいいハリソンさんが来たんです(笑)。あいさつされましたが、口の中に食べ物があったので、もごもごとした感じのままで言葉を返してしまいました。あのインディ・ジョーンズに…(笑)。それから、セットでは毎日のように楽しい話を聞かせてくれました。とても温かみのある方でした。 

-では最後に、日本の印象を。日本の観客にこの映画のどんなところを楽しんでほしいと思いますか。

アナ 日本の文化について、あまり深いことは知りませんが、とても魅力を感じています。ですから、人についても、文化についても、歴史についても、もっと知りたいと思います。この映画には日本に関することも登場します。それは日本からたくさんのインスピレーションを受けているからだと思います。この映画が描いた普遍的なメッセージを、皆さんに気に入っていただけることを願っています。

シルビア エーターテインメントとしても素晴らしい出来だと思いますし、さまざまなメッセージが入ったこの映画を存分に楽しんでいただければと思います。

(取材・文・写真/田中雄二)


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

【Kカルチャーの視点】家族の情緒が国境を越える、俳優ムン・ソリが語る「おつかれさま」ヒットの理由

ドラマ2025年12月26日

 今年のヒットドラマ、Netflixシリーズ「おつかれさま」。子どもから親へと成長していく女性の人生とその家族を描き、幅広い世代から支持され大きな話題を呼んだ。IU(アイユー)との二人一役で主人公エスンを演じたムン・ソリに、ドラマの振り返り … 続きを読む

田中麗奈「こじらせ男の滑稽で切ない愛の行方を皆さんに見届けていただきたいと思います」『星と月は天の穴』【インタビュー】

映画2025年12月24日

 脚本家としても著名な荒井晴彦監督が、『花腐し』(23)に続いて綾野剛を主演に迎え、作家・吉行淳之介の同名小説を映画化した『星と月は天の穴』が12月19日から全国公開された。過去の恋愛経験から女性を愛することを恐れながらも愛されたい願望をこ … 続きを読む

天海祐希、田中哲司、小日向文世、でんでん、塚地武雅「12年の集大成を見届けてください!」大ヒットシリーズ、ついに完結! 劇場版「緊急取調室 THE FINAL」【インタビュー】

映画2025年12月23日

 2014年1月にスタートしたテレビ朝日系列の大ヒットドラマ「緊急取調室」。たたき上げの取調官・真壁有希子が、可視化設備の整った特別取調室で取り調べを行う専門チーム「緊急事案対応取調班(通称:キントリ)」のメンバーとともに、数々の凶悪犯と一 … 続きを読む

【映画コラム】時空を超えた愛の行方は『楓』『ビューティフル・ジャーニー ふたりの時空旅行』『星と月は天の穴』

映画2025年12月20日

『楓』(12月19日公開)  須永恵と恋人の木下亜子は、共通の趣味である天文の本や望遠鏡に囲まれながら幸せな日々を送っていた。しかし実は本当の恵は1カ月前にニュージーランドで事故死しており、現在亜子と一緒にいるのは、恵のふりをした双子の兄・ … 続きを読む

北香那「ラーメンを7杯くらい食べたことも」天野はな「香那ちゃんのバレエシーンは見どころ」 「ラーメン」と「クラシック・バレエ」が題材のコメディーで共演 NHK夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」完成会見

ドラマ2025年12月19日

 12月19日、東京都内のNHKで、1月5日からスタートする夜ドラ「替え玉ブラヴォー!」の完成会見が行われ、主人公・千本佳里奈(ちもと かりな)役の北香那、佳里奈の親友・二木優美(ふたぎ ゆみ)役の天野はながドラマの見どころを語ってくれた。 … 続きを読む

Willfriends

page top