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たくましい若者に成長した虎松が“井伊万千代”と名を改め、徳川家康(阿部サダヲ)に仕えることとなった。井伊家再興の第一歩を踏み出したものの、草履番から始まるその道のりは険しい。後に徳川四天王の1人、井伊直政へと出世していく万千代を演じるのは菅田将暉。初めて経験する大河ドラマの現場で感じたこと、今後への意気込みなどを聞いた。
最初はしぐさや所作などに慣れるのが大変でした。お辞儀一つ取っても、首からではなく胸からするなど、当たり前のことをやっていくことで、所作指導の先生からも「やっとお辞儀がきれいになったわね」と言われるようになりました。まだまだ学ばなければいけないことはたくさんありますが、今は一通り体になじんできたという感じです。
すごく緊張しました。途中参加はやっぱりやりにくいですし、覚えることや慣れることが多かったので。でも、今まで感じたことがないぐらい皆さん本当に仲良くて明るくて、ものすごく“ウェルカム”という感じで迎えてくれました。顔見知りの面白いおじさんたちもたくさんいるので、今は毎日楽しいです。
演じる前にいろいろ調べてみたら、徳川四天王の中で最も若く、戦場でも鬼のように強く、外交面でも活躍したと書かれていて、すごくカッコいい。でも、役者としてはそこに至るまでの過程が知りたくなるし、それが演じる上で一番面白いポイントです。この作品では、(脚本の)森下(佳子)さんやスタッフの皆さんが、勘の良さや行動力といった才気をにじませつつも、カッコ悪いところもいっぱい見せて泥くさく成り上がっていく人物として描いています。その姿がしっくりきました。
すごく気持ちがいいです。一度失った井伊という家名を、自分がよみがえらせるという気持ちをわずか15歳で持っている。そんな万千代からは、圧倒的な生命力やバイタリティーを感じます。ただ、台本を読むまでは、パーフェクトなカッコよさを漠然とイメージしていたのですが、ふたを開けてみたら怒鳴り散らしたりするとんでもないやつで(笑)。とはいえ、それも純粋な気持ちから出ているんですけど。現場では監督が、「取りあえずやり過ぎるぐらいやってもらって、こちらでセーブします」という作り方をしてくれているので、面白いです。ちゃんとエンターテインメントをやっている感じがします。
2年ぐらい前に一度、バラエティー番組で会ったことがあって、その時はあまりにもかわいかったので、ちょっといじめちゃったんです(笑)。でも、普段の心くんは芯があって自分の行動や発言に責任感を持っているので、真っすぐな虎松はピッタリだと思いました。先日、現場で会った時は「バトンタッチですよ」と言われたので、胸を借りるような気持ちで「はい」とハイタッチしました。
武田信玄(松平健)や織田信長(市川海老蔵)のような戦国武将がいる中で、家康は一見、ただのおじさんにしか見えませんが、実際に対峙(たいじ)すると怖さがある。優しそうに見えつつ、危険な雰囲気もあって、読めないし、憎めないし、怖い。人の上に立つ目をしていて、飲み込まれる感じがあります。その読めなさが魅力なのかなと。
美しさの中に力強さがある一方で、ふとした瞬間に女性らしさも垣間見えたりするので、応援したくなります。内に秘めたパワーも感じるので、万千代と同じ血を引く一族だなという納得感があります。直虎の周りにはこれまで、直親(三浦春馬)、政次(高橋一生)、龍雲丸(柳楽優弥)という男たちがいましたが、それぞれが男として生きる直虎を女性にしてくれる存在でした。万千代もその1人として、一家を支えていく安心感を与えられる存在になりたいです。
劇中のハキハキした感じとは真逆で、ふわふわしています。猫が大好きで、猫の話になった時、見たことないような笑顔になって。飼っている猫を「見て、見て!」と言う顔が完全に女子だったので、直虎の顔しか見ていなかった僕にとっては、結構なギャップでした(笑)。でも、その柔らかさと人を引きつける感じは、やっぱり座長ですね。
共演はこれが4回目ぐらいで、この1年よく一緒にいたんです。会うたびに「大河でも一緒だね」と話していたので、ようやく実現しました。年下ですが、僕よりしっかりしていて、この間もNHKの食堂の場所を聞いたら、「こことここ。でも、ここはこの時間までしかやっていません」ときっちり教えてくれたので、ついていきました(笑)。刀の振り方から何から、質問するとなんでも答えてくれるので、甘えています。
僕との関係が、感情豊かで自由な万千代と、それを支える万福の関係にも似ています。万福の幼名も“亥之助”なので、「イノ」と呼ぶとすぐに振り返ってくれますし。女性陣からも好評なので、僕は「でしょう?」と鼻高々で(笑)。
「自分たちは戦いもせず、負けているような気持ちがする」という万福のせりふがあるのですが、万千代は潰れた家の人間としてマイナスからのスタートになります。その悔しさが、勝ちたいという気持ちにつながり、泥水をすすりながらはい上がっていく。今このタイミングで、そんな万千代を演じられるのは、まだまだ頑張らなければとお尻をたたかれている気がして、慢心せずにいられます。何回も負けて、負けて、やっと勝つ。それが将来的に大きな人物へとつながっていくと思うので、やりがいを感じてワクワクしています。
(取材・文/井上健一)
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