「徳川四天王まではい上がっていく万千代役に、やりがいを感じます」菅田将暉(井伊万千代/井伊直政)【「おんな城主 直虎」インタビュー】

2017年10月1日 / 20:50

 たくましい若者に成長した虎松が“井伊万千代”と名を改め、徳川家康(阿部サダヲ)に仕えることとなった。井伊家再興の第一歩を踏み出したものの、草履番から始まるその道のりは険しい。後に徳川四天王の1人、井伊直政へと出世していく万千代を演じるのは菅田将暉。初めて経験する大河ドラマの現場で感じたこと、今後への意気込みなどを聞いた。

井伊万千代/井伊直政役の菅田将暉

-撮影が始まって、今の手応えはいかがでしょう。

 最初はしぐさや所作などに慣れるのが大変でした。お辞儀一つ取っても、首からではなく胸からするなど、当たり前のことをやっていくことで、所作指導の先生からも「やっとお辞儀がきれいになったわね」と言われるようになりました。まだまだ学ばなければいけないことはたくさんありますが、今は一通り体になじんできたという感じです。

-初の大河ドラマ出演になりますが、現場の空気も出来上がっている中で、初めて撮影に臨まれた時のお気持ちは?

 すごく緊張しました。途中参加はやっぱりやりにくいですし、覚えることや慣れることが多かったので。でも、今まで感じたことがないぐらい皆さん本当に仲良くて明るくて、ものすごく“ウェルカム”という感じで迎えてくれました。顔見知りの面白いおじさんたちもたくさんいるので、今は毎日楽しいです。

-万千代はこれから、徳川四天王の1人、井伊直政へと出世していきますが、どんなイメージを持っていましたか。

 演じる前にいろいろ調べてみたら、徳川四天王の中で最も若く、戦場でも鬼のように強く、外交面でも活躍したと書かれていて、すごくカッコいい。でも、役者としてはそこに至るまでの過程が知りたくなるし、それが演じる上で一番面白いポイントです。この作品では、(脚本の)森下(佳子)さんやスタッフの皆さんが、勘の良さや行動力といった才気をにじませつつも、カッコ悪いところもいっぱい見せて泥くさく成り上がっていく人物として描いています。その姿がしっくりきました。

-実際に演じてみた感想は?

 すごく気持ちがいいです。一度失った井伊という家名を、自分がよみがえらせるという気持ちをわずか15歳で持っている。そんな万千代からは、圧倒的な生命力やバイタリティーを感じます。ただ、台本を読むまでは、パーフェクトなカッコよさを漠然とイメージしていたのですが、ふたを開けてみたら怒鳴り散らしたりするとんでもないやつで(笑)。とはいえ、それも純粋な気持ちから出ているんですけど。現場では監督が、「取りあえずやり過ぎるぐらいやってもらって、こちらでセーブします」という作り方をしてくれているので、面白いです。ちゃんとエンターテインメントをやっている感じがします。

-幼少期の虎松を演じた寺田心くんとは、何かやり取りはありましたか。

 2年ぐらい前に一度、バラエティー番組で会ったことがあって、その時はあまりにもかわいかったので、ちょっといじめちゃったんです(笑)。でも、普段の心くんは芯があって自分の行動や発言に責任感を持っているので、真っすぐな虎松はピッタリだと思いました。先日、現場で会った時は「バトンタッチですよ」と言われたので、胸を借りるような気持ちで「はい」とハイタッチしました。

-阿部サダヲさん演じる徳川家康の印象はいかがですか。

 武田信玄(松平健)や織田信長(市川海老蔵)のような戦国武将がいる中で、家康は一見、ただのおじさんにしか見えませんが、実際に対峙(たいじ)すると怖さがある。優しそうに見えつつ、危険な雰囲気もあって、読めないし、憎めないし、怖い。人の上に立つ目をしていて、飲み込まれる感じがあります。その読めなさが魅力なのかなと。

-柴咲コウさんが演じる直虎の魅力はどんなふうに感じていますか。

 美しさの中に力強さがある一方で、ふとした瞬間に女性らしさも垣間見えたりするので、応援したくなります。内に秘めたパワーも感じるので、万千代と同じ血を引く一族だなという納得感があります。直虎の周りにはこれまで、直親(三浦春馬)、政次(高橋一生)、龍雲丸(柳楽優弥)という男たちがいましたが、それぞれが男として生きる直虎を女性にしてくれる存在でした。万千代もその1人として、一家を支えていく安心感を与えられる存在になりたいです。

-柴咲コウさんの印象は?

 劇中のハキハキした感じとは真逆で、ふわふわしています。猫が大好きで、猫の話になった時、見たことないような笑顔になって。飼っている猫を「見て、見て!」と言う顔が完全に女子だったので、直虎の顔しか見ていなかった僕にとっては、結構なギャップでした(笑)。でも、その柔らかさと人を引きつける感じは、やっぱり座長ですね。

-万千代に付き従う小野万福役の井之脇海さんとの関係はいかがですか。

 共演はこれが4回目ぐらいで、この1年よく一緒にいたんです。会うたびに「大河でも一緒だね」と話していたので、ようやく実現しました。年下ですが、僕よりしっかりしていて、この間もNHKの食堂の場所を聞いたら、「こことここ。でも、ここはこの時間までしかやっていません」ときっちり教えてくれたので、ついていきました(笑)。刀の振り方から何から、質問するとなんでも答えてくれるので、甘えています。

-頼りになりますね。

 僕との関係が、感情豊かで自由な万千代と、それを支える万福の関係にも似ています。万福の幼名も“亥之助”なので、「イノ」と呼ぶとすぐに振り返ってくれますし。女性陣からも好評なので、僕は「でしょう?」と鼻高々で(笑)。

-今後、万千代を演じていく上で期待していることは?

 「自分たちは戦いもせず、負けているような気持ちがする」という万福のせりふがあるのですが、万千代は潰れた家の人間としてマイナスからのスタートになります。その悔しさが、勝ちたいという気持ちにつながり、泥水をすすりながらはい上がっていく。今このタイミングで、そんな万千代を演じられるのは、まだまだ頑張らなければとお尻をたたかれている気がして、慢心せずにいられます。何回も負けて、負けて、やっと勝つ。それが将来的に大きな人物へとつながっていくと思うので、やりがいを感じてワクワクしています。

(取材・文/井上健一)

 


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

渡辺大知「僕が演じた駒井という人物そのものがカメラの役割を果たしています」『道行き』【インタビュー】

映画2026年2月23日

 大阪から奈良に移住してきた青年・駒井は、御所市に代々暮らす老人・梅本から購入した古民家の改修工事を進めている。たびたび様子を見に訪れる梅本が語る昔の町や家に流れてきた時間の話が、駒井に大切な風景を思い出させる。『おばけ』でPFFアワード2 … 続きを読む

吉田恵里香氏「寅子の視点では描けなかったものを、どれだけ描けるか」「虎に翼」スピンオフに込めた脚本家の思い「山田轟法律事務所」【インタビュー】

ドラマ2026年2月23日

 2024年に放送されたNHKの連続テレビ小説「虎に翼」。女性として日本で初めて法曹界に飛び込んだ佐田寅子(伊藤沙莉)の歩みを描いた物語は大きな反響を呼ぶと共に、第62回ギャラクシー賞テレビ部門大賞に輝くなど、高い評価を受けた。そのスピンオ … 続きを読む

【映画コラム】2月前半の公開映画から『ほどなく、お別れです』『クライム101』『ブゴニア』

映画2026年2月21日

『ほどなく、お別れです』(2月6日公開)  就職活動に苦戦する美空(浜辺美波)には、亡くなった人の姿が見え、声を聞くことができるという秘密があった。そんな彼女の能力に気付いた葬祭プランナーの漆原(目黒蓮)は、美空を葬祭プランナーの道へといざ … 続きを読む

【物語りの遺伝子 “忍者”を広めた講談・玉田家ストーリー】(12)道明寺天満宮と歴史の英雄たち ~野見宿禰、白太夫、そして道真~

舞台・ミュージカル2026年2月19日

 YouTubeもNetflixもない時代、人々を夢中にさせた“物語り”の芸があった——。“たまたま”講談界に入った四代目・玉田玉秀斎(たまだ・ぎょくしゅうさい)が、知られざる一門の歴史物語をたどります。     ▼相撲 … 続きを読む

小林聡美、名作ドラマ「岸辺のアルバム」 舞台化は「今の時代も共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2026年2月19日

 小林聡美が主演する舞台「岸辺のアルバム」が、4月3日から上演される。本作は、数々の名作ドラマを世に残した山田太一が原作・脚本を務め、1977年に放送された連続ドラマを舞台化。一見平和で平凡な中流家庭の崩壊と再生を描く。ドラマでは八千草薫が … 続きを読む

Willfriends

page top