【インタビュー】「THIS IS US 36歳、これから」高橋一生「家族や恋人、兄弟という題材をストレートにやる熱意に感銘を受けました」

2017年10月1日 / 10:00

 誕生日が同じ36歳の男女3人を主人公に、それぞれが人生の壁を乗り越えようとする姿を描いたヒューマンドラマ「THIS IS US 36歳、これから」が、10月1日からNHKで放送開始される。本作は、次々と明らかになる意外な真実や予想をくつがえす展開が話題を呼び、昨年アメリカで大ヒット。先ごろ発表された第69回エミー賞でも主演男優賞を受賞した話題作だ。放送に先立ち、3人の主人公の1人、ケヴィンの声を演じる高橋一生が、海外ドラマ吹き替え初挑戦となる本作での体験から海外ドラマに対する思いまで、幅広く語ってくれた。

記者会見時の高橋一生

-海外ドラマ吹き替え初挑戦とのことですが、他人の英語のお芝居に声を当てた感想は?

 言語やブレスなど、いつもとは違うものをどうしていけばいいのだろうと思いました。最初は周りの方たちに助けていただきながらでしたが、次第にふに落ちるようになり、自分の中で納得してできるようになっていきました。声を当てるというよりは、お芝居をする感覚で収録に臨んでいました。

-普段のお芝居よりも、声が少し高いように感じましたが。

 ケヴィンを演じているジャスティン・ハートリーさんの声が思ったよりも高いので、少し高めにしてみました。僕は普段、お芝居をさせていただくとき、微妙なレベルで声の質を変えているんですが、声だけだとそれが突出して聞こえるみたいです。ディレクターの方から「ちょっと違います」と言われたら調整しようと思っていましたが、大丈夫でした。

-ご自身ではご自分の声をどのように捉えていますか。

 魅力的と言っていただけるのはとてもありがたいことですが、さっきも言ったように、役によって使い分けているので、それほど自分の声に対して執着がないんです。この声が武器だとはあまり思わないようにしています。ケヴィンの声は高めなので、見ている人たちに、これが日本版ケヴィンの声として定着するとうれしいです。

-演じるケヴィンの職業は高橋さんと同じ俳優です。第1話でケヴィンが「俳優としてのプライドを守ったんだ」と叫ぶシーンがありますが、高橋さんにとって、俳優のプライドとは何でしょう。

 プライドを持たないことじゃないでしょうか(笑)。俳優って、1人では何もできないんです。脚本家の方やスタッフの方たちがいないと何も生み出せない。頂けるお話にどれだけ誠実に向き合っていけるかということが大前提として問われていると思うので、まず必要なのはプライドを捨てることだと思います。

-このドラマを初めて見た時の感想は?

 初めて見た時、「これ、本当は日本人の気質なのでは?」と思ったんです。人種や肌の色の違いというものはありますが、そういったものを抜きにして、こういった繊細なドラマは、もともと日本人が得意にしていたものだったのではないか、と。それを今、海外の方たちがやっているのを見ると、「こういうものもできてしまうのか」と感嘆しました。しかもそれを、ネガティブな物語として組み立てていない。家族や恋人、兄弟という題材は出尽くしているかもしれないけれど、それをあえてもう一度、ストレートにやる熱意に感銘を受けました。

-こういうハートウォーミングな作品がアメリカで支持されたことを、どのように感じていますか。

 とてもすてきだと思いました。アメリカという国を僕がどれだけ理解できているのかは分かりませんが、この作品が支持されたということは、この人たちもやっぱり最後は、人のことを愛したい、愛されたいというところに戻っていくんだということが分かりました。

-海外ドラマをよくご覧になるそうですが、どんなところが魅力ですか。

 例えば、脚本家がチームで動いているところなんてすごいと思います。同時進行している複数のチーム同士でコンセンサスが取れていて、お互いがコミュニケーションを取って、次につないでいく…。物語のどこにフォーカスすべきか、どこに重きを置くべきか、ということを的確につかんでいる感じがします。

-そうかもしれませんね。

 脚本だけでなく、カメラワークにしても照明にしても音にしても、それぞれの技術がしっかりエンターテインメントというものに向き合っている気がします。音一つとっても、小声でしゃべっているところをしっかりと拾っていたりしますから。向こうのそういったものが、長年、エンターテインメントに関わり続けてきた人たちがトライ&エラーを繰り返した結果、出来上がったものだと考えると、僕はこれからもお芝居をしっかりやっていこうと思います。

(取材・文・写真/井上健一)

「THIS IS US 36歳、これから」Photographs (c) 2016-2017 NBCUniversal Media, LLC. All rights reserved.


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

林裕太「北村匠海さんや綾野剛さんとのつながりを感じました」期待の若手俳優が先輩2人と作り上げた迫真のサスペンス『愚か者の身分』【インタビュー】

映画2025年10月22日

 10月24日から全国公開となる『愚か者の身分』は、第二回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を映画化した迫真のサスペンスだ。新宿の歌舞伎町で、犯罪組織の手先として戸籍売買を行う松本タクヤ(北村匠海)とその弟分・柿崎マモル、タクヤの兄貴 … 続きを読む

南琴奈「今までに見たことがないような映画を楽しんでいただけたらと思います」『ミーツ・ザ・ワールド』【インタビュー】

映画2025年10月22日

 芥川賞作家・金原ひとみが新宿・歌舞伎町を舞台に描き、第35回柴田錬三郎賞を受賞した同名小説を、松居大悟監督、杉咲花主演で映画化した『ミーツ・ザ・ワールド』が10月24日から全国公開される。二次元の世界を愛し、自己肯定感の低い主人公の由嘉里 … 続きを読む

timelesz・橋本将生「『大切な人を守りたい』という気持ちは共感できる」 菊池風磨のアドバイスも明かす【インタビュー】

ドラマ2025年10月21日

 timeleszの橋本将生が主演するドラマ「ひと夏の共犯者」(テレ東系)が毎週金曜深夜24時12分~放送中だ。本作は、大学生の主人公・岩井巧巳(橋本)が、推しのアイドル・片桐澪(恒松祐里)との夢のような同居生活を送るうちに、彼女の中にもう … 続きを読む

高橋一生、平山秀幸監督「アクションはもちろん、人間ドラマとしてもちゃんと娯楽性を持っている作品に仕上がっていると思います」「連続ドラマW 1972 渚の螢火」【インタビュー】

ドラマ2025年10月20日

 1972年、本土復帰を間近に控えた沖縄で、100万ドルの米ドル札を積んだ現金輸送車が襲われ行方を絶った。琉球警察は本土復帰特別対策室を編成。班長には、警視庁派遣から沖縄に戻って来た真栄田太一が任命される。班員は、同級生でありながら真栄田を … 続きを読む

オダギリジョー「麻生さんの魅力を最大限引き出そうと」麻生久美子「監督のオダギリさんは『キャラ変?』と思うほど(笑)」『THE オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ MOVIE』【インタビュー】

映画2025年10月17日

 伝説の警察犬を父に持つオリバーとそのハンドラーを務める鑑識課警察犬係の青葉一平(池松壮亮)のコンビ。だが、なぜか一平だけにはオリバーがだらしない着ぐるみのおじさん(オダギリジョー)に見えており…。  この奇想天外な設定と豪華キャストが繰り … 続きを読む

Willfriends

page top