【インタビュー】「植木等とのぼせもん」山本耕史「歴史上の人物とも架空の人物とも違う難しさがある」志尊淳「小松さんが持っている熱いものを表現できれば」

2017年9月2日 / 15:32

 9月2日からNHK総合「土曜ドラマ」枠で、ドラマ「植木等とのぼせもん」(全8回)が放送される。小松政夫の自伝的小説『のぼせもんやけん』を原案に、「無責任男」を演じ、「スーダラ節」などで知られた昭和のスター植木と、彼の弟子兼運転手となり、「親父さん」と慕いながら成長していく小松との師弟関係を描いた物語。本作で植木を演じた山本耕史と、小松役の志尊淳が撮影の合間に心境を語った。

植木等役の山本耕史(左)と小松政夫役の志尊淳

-オファーを受けた時の気持ちを教えてください。

山本 自分が植木さんを演じると聞いた時はどこが合うのだろうと思いました。けれど、植木さんは楽器や歌、舞台でのコントもされていたので、やっていることはそれほどかけ離れていないなと思って。そういうところをディレクターやプロデューサーが照らし合わせてくれたのなら、できる限りのことはやろうと思いました。でも、正直イメージに合うか不安の方が大きかったです。

志尊 僕はご存命で、しかも皆さんのイメージがある方を演じることが初めてでした。小松さんのことは知ってはいましたけど、このドラマで描かれている30~40代の小松さんは資料でしか見たことがなかったですし、僕も正直、似ている部分を照らし合わせるのは難しかったです。でも、タイトルにある「のぼせもん」は夢中になりやすい性格のことで、それは僕も一緒でした。後は、小松さんが植木さんの付き人をされていた姿は皆さんも知らない部分だと思うので、自分と似ている部分を照らし合わせつつ、皆さんのイメージとうまくリンクさせられたらと思いました。最初は不安でしたけど、段々と楽しくなってきました。

-役づくりのアプローチはどういうふうに?

山本 架空の人物や歴史上の人物、現在いらっしゃる方と、いろいろなタイプがある中で、植木さんを演じるのは僕にとって珍しいタイプでした。例えば、大河ドラマで演じた土方歳三さんぐらいになれば、想像と肖像画や写真でイメージできますけど、植木さんは皆さんの脳裏に焼きついている方なので、どこまで似せるか悩みました。寄せ過ぎるとただの物まねのようになってしまうし、かといって全く寄せずに演じるなら、植木等さんではなく植木等さんをモチーフにしたキャラクターでいいじゃないかとなってしまう。ご本人の名前で思いっ切り物まねをするとあざといし、そこが難しかったです。ただ、普段の植木さんはテレビや舞台のイメージとは違って真面目な方だと聞きました。台本でも「こういうふざけた仕事ばかりやっていて、人さまの役に立つのか?」と悩む一面も出てきますが、そういう意味で普段はとても真面目で弟子や家族思いという、一人の人間として演じている感じです。

志尊 僕はクランクイン前から小松さんにお会いしたいと言っていたら、撮影が重なる日があってお会いすることができました。原作に書いてある当時のエピソード、特に植木さんとのエピソードを、それぞれのキャラクターの声まねをしながら再現してくださって、すごく分かりやすくて台本と同じことなんだと思いました。演じる上でのアドバイスはおっしゃらなかったのですが、僕自身も演じる上で一番は小松さんが持っている熱いものを自分が引き継いで表現できればと。とにかく小松さんの感じていることや、明確にその時感じたものを出そうと意識して演じるようにしていました。

-コントの部分は撮影されていかがでしたか。

山本 うたい文句に「笑あり涙ありの作品」とありますけど、「笑い」とは言ってもコントや歌は再現している感じなので、僕たちが実際にコントをやっている感じではないです。特にそこで「笑かそう」と思っているわけではなので、自分たちで勝手に面白おかしく変えたりはしていないし、ご本人たちがやられていた雰囲気に近くなるよう真面目にコントのシーンを演じている、という感じでした。

-山本さんは「スーダラ節」をされるシーンもあるそうですね。

山本 クランクイン初日に「スーダラ節」をすいすいやるシーンの撮影があって、すごく恥ずかしげにやっています(笑)。まだ役も入っていないというか、ちょっと地獄のような日でした(笑)。そこからいろいろやってみて、歌もディレクターから「もっと寄せていいです」と言われたので、かなり寄せにいきました。だから、逆に芝居は寄せ過ぎずにできるのかもしれません。皆さんが見ていたのはパフォーマンスの部分なので、そういうところは寄せつつ、普段の姿は寄せ過ぎずに、という感じです。

(取材・文/中村好伸)

山本耕史


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

千賀健永、頭が良くてゲームが上手な弟に「かわいい復讐心はありました」【インタビュー】

ドラマ2025年7月7日

 トリンドル玲奈が主演するドラマ「レプリカ 元妻の復讐」が、7日23時6分からテレ東系で放送がスタートする。本作は原作・タナカトモ氏、作画・ひらいはっち氏による同名漫画を映像化。整形して別人として生きる主人公・伊藤すみれ(トリンドル)が、人 … 続きを読む

安田顕「水上くんの目に“本物”を感じた」水上恒司「安田さんのお芝居に強い影響を受けた」 世界が注目するサスペンスで初共演&ダブル主演「連続ドラマW 怪物」【インタビュー】

ドラマ2025年7月5日

 韓国の百想芸術大賞で作品賞、脚本賞、男性最優秀演技賞の3冠を達成した極上のサスペンス「怪物」。WOWOWが世界で初めてそのリメイクに挑んだ「連続ドラマW 怪物」(全10話)が、7月6日(日)午後10時から放送・配信スタート(第1話・第2話 … 続きを読む

TBS日曜劇場「19番目のカルテ」が7月13日スタート 新米医師・滝野みずき役の小芝風花が作品への思いを語った

ドラマ2025年7月5日

 7月13日(日)にスタートする、松本潤主演の日曜劇場「19番目のカルテ」(TBS 毎週日曜夜9時~9時54分)。原作は富士屋カツヒト氏による連載漫画「19番目のカルテ 徳重晃の問診」 (ゼノンコミックス/コアミックス)。脚本は、「コウノド … 続きを読む

南沙良「人間関係に悩む人たちに寄り添えたら」井樫彩監督「南さんは陽彩役にぴったり」期待の新鋭2人が挑んだ鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』【インタビュー】

映画2025年7月4日

 第42 回吉川英治文学新人賞を受賞した武田綾乃の小説を原作にした鮮烈な青春映画『愛されなくても別に』が、7月4日公開となる。浪費家の母(河井青葉)に代わってアルバイトで生活を支えながら、奨学金で大学に通う主人公・宮田陽彩が、過酷な境遇を受 … 続きを読む

紅ゆずる、歌舞伎町の女王役に意欲「女王としてのたたずまいや圧倒的な存在感を作っていけたら」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年7月4日

 2019年に宝塚歌劇団を退団して以降、今も多方面で活躍を続ける紅ゆずる。7月13日から開幕する、ふぉ~ゆ~ meets 梅棒「Only 1,NOT No.1」では初めて全編ノン・バーバル(せりふなし)の作品に挑戦する。  物語の舞台は歌舞 … 続きを読む

Willfriends

page top