【インタビュー】『22年目の告白‐私が殺人犯です‐』野村周平「最後のどんでん返しに驚いて」石橋杏奈「疾走感やスリルを体感してほしい」

2017年6月9日 / 16:02

 時効を迎えた連続殺人事件の殺人犯・曾根崎雅人が、事件の真相を語る告白本を出版。素顔をさらして記者会見に現れ、日本中の注目を集めていく。だが、果たしてその目的は…?そんなセンセーショナルな展開が待ち受ける新感覚サスペンスエンターテインメント『22年目の告白‐私が殺人犯です‐』が6月10日から公開される。事件当時の22年前と現代を行き来しつつ、二転三転する物語が疾走感あふれるタッチで繰り広げられる本作。藤原竜也、伊藤英明ら豪華キャストがそろう中、過去編の重要人物を演じた野村周平と石橋杏奈に、撮影の舞台裏を聞いた。

石橋杏奈(左)と野村周平

石橋杏奈(左)と野村周平

-最初に台本を読んだ時と、出来上がった映画をご覧になった時の感想をお聞かせください。

野村 台本を読んだ時も面白かったんですけど、出来上がった映画を見たら、「あぁ、こうなっているんだ」と改めて思いました。こういう心をえぐるような映画は最近なかったので、「早く見てほしい」という気持ちになりました。

石橋 私はサスペンスが大好きなので、台本を頂いた時は、続きが気になって一気に読んでしまいました。そして出来上がった映画はゾクゾクするような音の使い方や疾走感がすごくて、脚本以上に面白くなっていたので、客観的に夢中で見てしまい、本当にあっという間に見終わってしまいました。

-物語の背景として、1995年に発生した阪神・淡路大震災が描かれています。幼かったお二人に当時の記憶はないと思いますが、演技の上で苦労などはありましたか。

石橋 私は福岡に住んでいたので、大きな震災を体験した方は周りにほとんどいません。仕事でお会いする方からお話を聞いたことはありますが、リアルには想像できないところがありました。自分で体験したことがあるのは、一番大きくても震度5ぐらいで、その時の恐怖よりもさらにすごいものであったことをひたすら想像して臨みました。

野村 当時の事は覚えていなくても、東京も東日本大震災でかなりすごいことになりましたよね。僕は高校2年生でしたが、あの時の衝撃は本当に大きかったです。今でも復興作業を進めているぐらいですし…。あと、僕は神戸出身なので、がれきが崩れた場所など、震災の跡が今でも残っているので、それも思い出しました。

-そういうことを踏まえた上で、石橋さんは震災で心に傷を負った役、野村さんはそれを支える恋人役ということで、どんなことを心がけて演じましたか。

石橋 感情の流れがすごく複雑なので、とにかく一つ一つ丁寧にということを心掛けました。ひたすら夢中になって撮っていたという感じで、ハードなシーンも多かったですが、だからこそすごくやりがいを感じる役柄でした。

野村 石橋さんの心に傷を負っているお芝居が本当に素晴らしかったので、そこにいるだけで感情移入できました。むしろ、石橋さんのお芝居を邪魔してはいけないという緊張感があったおかげで、その場面に緊張感が出ました。

-断片的に描かれる過去編は、それぞれの場面で表現する感情が全く異なりますよね。

石橋 バックボーンが壮絶な割に、描かれている部分はそんなに多くないので、毎回、撮影の前にその状況を想像する作業がとても大変でした。それが画面に出ていない時には、監督が「もっと!」と指示を出してくださったり、その時の状況を細かく説明して下さったりしました。

野村 前半は好青年でいようと思いながら、しっかり彼女を支える彼氏役を演じていました。後半は感情が乱れる場面が多かったですが、いろいろと想像を膨らませて感情をマックスまで持って行くことができました。簡単ではありませんが、演じていて面白かったです。

-当時を再現した美術も見事でした。演技の上で役に立ちましたか。

野村 衣装も髪形も、当時を意識したこだわりがすごく感じられたので、演じる上でも助かりました。上京するって、当時はこういうことだったんだなということなども分かって、世界観に入り込みやすかったです。

石橋 私は外見から役に入るタイプなので、今回は時代設定もきちんとしていて、演じやすかったです。メークさんに髪を整えていただいたんですが、その当時の前髪がとても薄いんですよね(笑)。あと、伊藤英明さんが演じる兄のアパートのセットは、私が片付けるということで、ものすごく汚くしてあったんです。それもすごく時代感が出ていて新鮮でした。

-入江悠監督の印象はいかがでしょう。

野村 入江監督の作品に出演するのはこれで3回目になりますが、信頼関係ができているので、やりやすかったです。言葉数が少なくて、本当に重要なことを言うだけで、あとは任せてくれます。

石橋 私は入江監督とは初めてご一緒させていただきましたが、野村くんも言っていたように、本当に重要なことしか言いません。事前に長い説明をされることもなく、カメラを回してみて違うと思ったら、重要なところだけ指示されます。言葉数が少なくてびっくりしたのですが、自分のビジョンがはっきりされている方です。NGの時は「もう1回!」というのも早いですし、オーケーの時は「うーん、オーケー…」ではなく「オーケー!」という感じだったので、演じていて気持ちが良かったです。安心して撮影できました。

-その他、撮影時の思い出などあれば。

野村 現代編の前に過去編をまとめて撮影していただいたおかげで、間が空くことがなかったのでありがたかったです。過去編は16ミリフィルムで撮影したので、「フィルムの交換は、こんなに時間がかかるんだ」などと分かったのも面白かったです。

石橋 フィルムはNGを出すとその分が無駄になってしまうので、緊張感が生まれて背筋がビシッと伸びますよね。あと、私は撮影初日が誕生日だったので、お祝いしていただいたのですが、「初日からすみません」という気分になりました(笑)。でも撮影当日が誕生日だったのは初めてで、とてもうれしかったですし、また忘れられない現場になりました。

-観客には、どんなところを見てほしいですか。

石橋 もう素直に、全部が面白かったので、その疾走感やスリル、ハラハラドキドキする感じを体感していただきたいです。

野村 始めから終わりまで、一瞬たりとも見逃せません。いい意味での裏切りがたくさんあるので、目をそらさずに見ていただいて、最後のどんでん返しに驚いて帰ってほしいです。

(取材・文/井上健一)

(C)2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会

(C)2017 映画「22年目の告白-私が殺人犯です-」製作委員会


特集・インタビューFEATURE & INTERVIEW

門脇麦、「芝居に対してすごく熱い」田中圭と夫婦役で5度目の共演 舞台「陽気な幽霊」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月2日

 田中圭を主演に迎え、若村麻由美、門脇麦、高畑淳子ら豪華共演者で贈る舞台「陽気な幽霊」が5月3日から開幕する。本作は、20世紀を代表する劇作家ノエル・カワードによるウェルメイド・コメディー。1945年にはデヴィッド・リーン監督により映画化も … 続きを読む

今田美桜「『アンパンマン』のように、幅広い世代に愛される作品に」連続テレビ小説「あんぱん」いよいよスタート!【インタビュー】

ドラマ2025年4月1日

 3月31日から放送スタートしたNHKの連続テレビ小説「あんぱん」。『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦をモデルに、何者でもなかった朝田のぶと柳井嵩(北村匠海)の2人が、数々の荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した『 … 続きを読む

坂本昌行&増田貴久がミュージカルで初共演「笑顔になって、幸せになって帰っていただけたら」 ミュージカル「ホリデイ・イン」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年4月1日

 坂本昌行と増田貴久をはじめとした豪華キャストが出演するミュージカル「ホリデイ・イン」が4月1日から開幕する。本作は、1942年に公開された映画『Holiday Inn』(邦題『スウィング・ホテル』)をもとに舞台化されたミュージカル作品。「 … 続きを読む

藤原竜也が挑む「マクベス」 「1日1日、壁を突破することが目標」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月29日

 2024年5月にスタートした、吉田鋼太郎が芸術監督を務める【彩の国シェイクスピア・シリーズ2nd】。待望の二作目となる「マクベス」が、藤原竜也を主演に迎え、5月8日から上演される。藤原に初めて挑む「マクベス」への思いや吉田とのクリエイトに … 続きを読む

竈門炭治郎を演じる阪本奨悟が語る、舞台「鬼滅の刃」の魅力 「生身の人間が演じているからこそ、リアルに共感できる」【インタビュー】

舞台・ミュージカル2025年3月28日

 「週刊少年ジャンプ」で2020年5月まで連載していた吾峠呼世晴による大ヒット漫画『鬼滅の刃』。2020年に初めて舞台化されて以降、シリーズを重ね、4月11日からはシリーズ5作目となる、舞台「鬼滅の刃」其ノ伍 襲撃 刀鍛冶の里が上演される。 … 続きを読む

Willfriends

page top